なぜ当院の大腸カメラは「痛みがなく」「苦しくない」の?
大腸内視鏡で痛みが出る主な原因
患者さんから、
「以前に他院で大腸カメラ(大腸内視鏡)を受けた際に、鎮静剤を使ったのに痛くてとても辛かった」
というお話をよく伺います。
これにはいくつか理由があります
- 医師のスキルが低い
- 患者さんの大腸の形や癒着の影響
- 鎮静剤の使い方が適切でない
などです
当院で行っている痛みの少ない大腸カメラの工夫
当院では内視鏡のエキスパートである専門医の院長が大腸カメラの検査を行い、患者さんの大腸の状態に合わせてスコープの種類を変えたり、お一人お一人に合わせ鎮静剤を調整することで、苦痛のない検査を受けていただくようにしております。
1.大腸カメラに熟練した内視鏡専門医の院長による低痛挿入法
- 腸管が引っ張られ痛みが発生
- そのままの形を維持して挿入すると痛みが出ない
2.患者さんの大腸の形や癒着の影響
- 手術歴があり癒着が予想される方;痛みが出にくいように柔らかくて細い内視鏡
- 過長気味の大腸の方:コシがある内視鏡
3.鎮静剤の使い方が適切でない
内視鏡の際に鎮静剤を使っても辛いというのにも理由があります。
- 鎮静剤の量が少ない
- 鎮静剤が体質的に効きづらい。鎮静が覚めやすい
- 普段から抗不安薬や安定剤を飲んでいる
などです。
当院ではこれらの効かない理由に対して対策を行い、苦痛のない検査を受けていただくようにただ鎮静剤を使うだけでなく、お一人お一人に合わせ工夫して鎮静剤を使用しております。
a.鎮静剤の量が少ない
鎮静剤は種類により体重あたりの目安量があり、超過すると副作用が出てしまったり鎮静からの覚醒が遅くなったりすることがあります。
ただ少量増やすだけでも効きが具合が変わり、体重だけでなく患者さんの年齢や性別によって微調整することで、極力副作用を出さずに効果を発揮させることができます。
当院では鎮静剤の量を0.1㎎(1gの1万分の1)単位で調整しており、必要最小限の薬の量でも無痛で、かつ副作用の頻度も少なく安全に検査を行うことができます。
b.鎮静剤が体質的に効きづらい。鎮静剤が覚めやすい
鎮静剤は種類がいくつかあり種類によっては体質的に効きづらいことがあり、効きづらいからと言って量を増やすと副作用が出てしまうこともあります。
当院では種類の違う鎮静剤を組み合わせ、1種類では効かない方でも鎮静効果が出るような体制で検査を行っております。
また、覚めやすい体質の方は検査中に鎮静から醒めてしまうことがあります。そうした際にも途中で適量を追加投与出来るようにしております。
c.普段から抗不安薬や安定剤を飲んでいる
心療内科や精神科で薬を飲んでいる方は、鎮静剤に対して耐性ができており鎮静がかなり効きづらい状態となっています。
このような場合でも上記のような量や種類の調整で対応できることがほとんどで、多くの方が苦痛なく検査を受けていただいております。
4. 検査後のお腹の張りを減らす炭酸ガス(CO2)送気
また当院では検査後の「張り」についても対策を行っております。
実際の検査例|50代女性「大腸カメラがトラウマなので何とか楽に受けたい」
【症状】
1年前に大腸カメラ(大腸内視鏡)を受けた際に辛すぎてもう2度と受けたくないとトラウマになっていましたが、
今回人間ドックで便潜血陽性を指摘され、大腸カメラを受けるように言われ、当院にて楽に大腸カメラを受けれたという友人の方から勧められ受診されました。
【診察】
以前の大腸カメラについて伺うと
- 前処置の液体の下剤の味が苦手で飲むのがかなり大変だった
- 鎮静剤を使ったにもかかわらず全然効かずにかなり痛かった
- 検査を担当した医師からは癒着があり大腸が細くなっている(大腸狭窄)と言われ、結局奥まで入らなかった
とのことでした。
今回はそれぞれの問題点に以下の対応しながら大腸カメラを行うことにしました。
◆対応策◆
①前処置の下剤については味が苦手➡水やお茶で飲める錠剤の下剤を用いる。
②鎮静剤が効かない➡鎮静剤を組み合わせて、安全にかつ痛みを感じにくい鎮静を行う
③大腸癒着・狭窄➡癒着部・狭窄部を少しでもスムーズに通過できるように胃カメラ用の細いスコープを用いる。
【検査】
下剤を錠剤に変更したことで、前処置は問題なく行うことが出来ました。
実際に大腸カメラを行うと、S状結腸は癒着があり硬化しており、一部で狭窄を認めスコープはかなり通過しにくい状態でした。
S状結腸は癒着のため硬く、早期による伸展も不良でした。慎重にスコープを進めると狭窄部分(黄色矢印)も認めました。
この状態だと通常の大腸カメラ用のスコープは通過が難しかったり、無理に通過させようとするとかなり強い痛みが生じたり、腸に穴が開く(穿孔)合併症のリスクが出てきます。
今回は胃カメラ用の細いスコープで検査を行ったため、前医で通過できなかった狭窄部も無事に超えることが出来ました。
大腸カメラ(黄色矢印)と胃カメラ(茶色矢印)です。 並べてみると、大腸カメラに比べ胃カメラはかなり細いことがわかります。 ただ、長さも短くスコープのコシもないため、胃カメラを使っての大腸の挿入はかなりのテクニックを要します。
奥の方にはポリープを認めこちらも無事に切除し、また鎮静剤をうまく使用することで最後まで痛みを感じずに検査を受けて頂けました。
下行結腸にポリープを認め、便潜血陽性の原因と考えました。 サイズからすると前回もすでにあったと思われますが、狭窄部を超えれなかったため発見できなかったと考えます。 今回はしっかりと切除することが出来ました。
腹部の手術や腸の炎症の既往などがあると腸の癒着や狭窄が起こり、大腸カメラが苦痛を伴うケースや奥まで入らずに途中で断念してしまうケースが時にあります。
(今回の患者さんは過去に帝王切開と左卵巣嚢腫の切除の手術歴がある方でした)
ただ、なぜ大腸カメラが苦しかったのか原因を把握して対応することで、たいていの場合は苦痛なく楽に受けることが可能であり、
また初回の検査であっても検査中に鎮静剤の量を調整したり、スコープを入れ替えたりと柔軟に対応しております。
大腸カメラがトラウマになっている方、怖くて受けることが出来ていない方は是非一度ご相談ください!
まとめ
大腸内視鏡は「痛い検査」というイメージがありますが、痛みの原因を理解し、適切な工夫を行うことで、苦痛を軽減できる可能性があります。
✔ 痛みの原因には、腸の引き伸ばし、癒着、腸の形、鎮静剤の効き方などがあります。
✔ 軸保持短縮法などの挿入技術により、腸を無理に伸ばさず検査することが大切です。
✔ 患者さんの腸の状態に合わせてスコープを選択することで、苦痛を減らせる場合があります。
✔ 鎮静剤は体質や服薬状況に合わせて調整が必要です。
✔ CO2送気により、検査後のお腹の張りを軽減しやすくなります。
関連ページ
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
アクセス
所在地
〒170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11 十一屋ビル4階
交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階巣鴨駅前胃腸内科クリニック
JR巣鴨駅 南口より徒歩3分。詳しい道順はこちら
▶📞お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833
▶【WEB予約】
参考文献
- 日本消化器内視鏡学会. 大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン. 2020.
- 日本消化器内視鏡学会. 内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン 第2版. 2020.
- Guacho JAL, et al. Insufflation of Carbon Dioxide versus Air During Colonoscopy: Systematic Review and Meta-analysis. 2021.
- 日本消化器内視鏡学会. 消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン.
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
