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エコー(超音波)検査

 
 
腹部エコー検査では、胃カメラや大腸カメラでは観察できない、肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓・膀胱・前立腺などの病気を見ることが出来ます。
 
また、胃や大腸も進行がんや潰瘍、強い炎症などはエコーでも指摘することができ、痛みや苦しさがなく、ベッドサイドですぐに出来るため非常に有効な検査です。
 
また当院の検査は消化器領域専門の超音波検査士(超音波医学会認定技師)が行います。
 
 

1.エコー検査ってなに?

エコー検査は別名「超音波検査」とも言います。

体の外から超音波を発生するプローブを当てて病気や異常を探す検査です。

検査用のプローブです。部位や臓器によって使い分けます。

体にプローブを当てて検査を行います。

 

 

2.特徴は?

①準備がいらず、すぐできる

プローブをあてるだけなので、当日すぐに検査が出来ます。

※ただし腹部エコーは空腹時か食後8時間以降が理想です。(食後は胃が見にくくなったり、胆のうが収縮して観察しづらくなります。)

 

②痛くない、苦しくない

・外からプローブをあてるだけなので、痛みはありません。

 

③いろんな臓器が見れる

・上腹部 の臓器:肝臓、胆嚢、腎臓、膵臓、大動脈、脾臓、胃⦅一部⦆、リンパ節

・下腹部の臓器 :前立腺※1、膀胱※1、子宮※1、卵巣※1、虫垂※2、大腸※2、小腸※3、腹水

・頸動脈

・甲状腺

などが観察できます。

 

※1 条件等により見えない場合もあります

※2 炎症がある場合のみ

※3 炎症・拡張がある場合のみ

 

④結果がすぐわかる

・画像を見ながらすぐに診断をするので、結果を当日すぐにご説明出来ます。

 

 

3.費用は?

項目 1割負担 3割負担

腹部エコー検査

¥530 ¥1,590

甲状腺エコー検査

¥350 ¥1,050

頚動脈エコー検査

¥350 ¥1,050

※ 診察代などが別途かかります。

※いずれも保険適応可能ですが、1回の診療で1部位のみの検査となります。

 腹部・甲状腺・頸動脈エコーをすべて観察するには3回の受診が必要です。

※検査は17時まで
※日曜日・月曜日午後は検査不可
 

 

4.腹部エコー

肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓・腸・膀胱・前立腺・婦人科臓器を検査します。

 

▽こんな方にお勧めの検査です

①腹部症状のある方

✅上腹部痛

✅胃痛

✅下腹部痛

✅背部痛

✅下痢・便秘などの便通異常

✅腹部の違和感、張りなど

 

②検診や血液検査で異常を指摘された方

✅肝機能

✅腎機能

✅腫瘍マーカー

✅血尿、蛋白尿

✅コレステロール、中性脂肪

✅以前指摘されたエコー異常の経過観察

 

③がんの早期発見

がんは症状が出てからでは手遅れのこともあり、症状が出る前に見つけることが大切です。

早期発見のためには定期的な検査が重要ですが、エコーは簡単に痛みなく受けれるため定期検査に向いています。

 

特に膵臓がん・肝臓がんなどは症状の出にくいため、定期検査でしっかりと観察することが大切です。

 

検査方法 [検査時間 目安:10~15分]

検査室へ入りましたら、シャツは胸のあたりまで持ち上げ、ズボンやスカートは腰骨あたりに下げてください。

準備ができましたら、ベッドに仰向けでお待ちください。
検査部位にゼリーを塗り、プローブと呼ばれる超音波を発する探触子を当てながらモニターで臓器の形態などを観察していきます。
観察しやすくするため、検査担当者の声に合わせて息を吸ったり吐いたり、体の向きを変えたりしていただきます。
画像を見やすくするため、お部屋を少し暗くして検査を行います。

エコー

注意事項

  • 胆嚢の観察が出来なくなるため、検査前は食事を取らないでください。
    午前の検査では朝食を、午後の検査では昼食を抜いてください。
    また牛乳などの脂肪分を含む飲み物も控えてください。
  • 我慢できる範囲でお小水を溜めておいてください(腹部エコーの方のみ)。
    お小水が溜まっている方が、観察しやすい場合があります。

 

関連ページ:

 

5.頸動脈エコー

頸動脈の動脈硬化の状態をみる検査です。 全身の動脈硬化の程度や脳梗塞のリスクの評価が出来るので、必要に応じて予防治療が行えます。

 

首の側面にゼリーを塗り、プローブをあて検査を行います。

 

▽こんな方にお勧めの検査です

①動脈硬化・脳梗塞のリスクのある方

高血圧高コレステロール・中性脂肪、糖尿病・集患喫煙があると脳梗塞のリスクが高くなります。

②めまいやふらつき・失神などがある方

③過去に脳梗塞(症状がない人も含む)と言われた方

 

6.甲状腺エコー

甲状腺の腫大や癌などの腫瘍がないかをみます。

甲状腺は、首の前側の喉ぼとけの下のところにあり、ホルモンを分泌し、代謝を正常に保つ役割を持った臓器です。

 

首の前面にゼリーを塗り、プローブをあて検査を行います。

▽こんな方にお勧めの検査です

①首の前面が腫れている方

②健康診断などで甲状腺の数値の異常を指摘された方

③症状のある方

動悸 眼球の飛び出し 手の震え 異常な暑がり・寒がり 体重減少・体重増加 とても疲れやすい 便秘 顔や手足のむくみ など

④のどの違和感が気になる方

 

 

7.Q&A ~当院の腹部エコーの工夫~

 

◆なぜ、膵臓はエコー検査で観察し辛いのか?

「膵臓がんは怖い」と、耳にしたことはないでしょうか。

毎年検査受けていたにも関わらず、気づいたら大きくなっていた。

そんな話を聞いたことがあります。

何故でしょうか。

 

エコー検査において、膵臓は非常に見づらい臓器です。

上の図のように、膵臓は解剖学的に頭部・体部・尾部で区切られています。

膵臓と胃、十二指腸の位置関係の図です。

膵臓の体部は胃や十二指腸との重なりが少ないため、比較的観察しやすい場所です。

しかし、頭部は十二指腸にぐるりと囲まれ、更に尾部は完全に胃の裏にもぐりこんでいます。

 

胃や十二指腸の中には空気が入っています。

エコーは空気に触れると減衰が大きくなり、画像を出すことが出来なくなるため、

矢印部分は非常に観察しづらい場所となってしまうのです。

 

もし、この死角にがんが出来てしまったとしたら。

膵臓がんは他の部位に浸潤しない限り痛みが出にくいため、発見できるのは「相当大きくなってから」ということにもなり得ます。

これが世間で「膵臓がんは怖い」と言われる所以です。

 

当院ではこの死角を出来るだけ少なくするため、積極的な体位変換検査に取り入れています。

仰向けの観察のみでは、膵臓問わず様々な臓器で死角が生じます。それに対し上体を起こして頂いたり、横向きになって頂いたりすることで重力方向に内臓が動き、それまで見えなかった部位が明瞭に観察できます。

下の写真はとある患者さんの膵臓の写真です。

仰臥位での観察です。この時点では膵頭部、体部、尾部に明らかな病的所見は見当たりません。

しかしコメントにあるように、尾部が胃のガスの影響で一部描出不可能でした。

当院では、この患者さんに対し右側臥位をとって頂きました。

側臥位にすることにより内臓が動き、ガスの影響も少なくなり、いい条件が重なったことで尾部の観察が可能になりました。

と同時に仰臥位では発見し得なかった病変を認めました(矢印)。大きさは8×7㎜です。

もちろん、体位変換によって全ての人が好条件になるわけではありません。しかし、当院では死角を減らすため必ず体位変換を行うようにしています。

 

■お小水をためて検査を受ける理由は?

お小水をためる必要があるのは、腹部エコー検査の方のみです。

頸動脈エコー甲状腺エコーをご希望の方はお小水をためていただく必要はありません。

 

では、なぜお小水をためる必要があるのか?

答えは下の写真を見てください。

クリックして拡大

緑枠に囲まれた黒い部分が膀胱です。

排尿後であるため内腔のみえる面積が少なく、周囲の腸管ガスの影響でぼんやりしています。

一方、下の写真は、十分にお小水がたまっている膀胱です。

クリックして拡大

約1.5㎝の膀胱がんが偶然見つかった一例です。

しっかりお小水がたまっているため、内腔がしっかり観察できます。はりが出ることで、周囲の腸管ガスの影響もほとんど受けません。

この様に条件が良ければ、1㎝以下の小さな膀胱がんも、発見することが可能です。

 

お小水をためて検査を受けることのメリットはまだあります。

膀胱が膨らむことでその背中側にある臓器、男性であれば前立腺、女性であれば子宮や卵巣がよく観察できるようになります。

※子宮・卵巣はお小水を溜めていても見えない場合もあります。

前立腺がよく見える場合はその大きさを測り、肥大の有無を確認します。

子宮や卵巣がみえた場合は、腫大や腫瘍がないかどうかを確認します。

 

このように膀胱、前立腺、子宮、卵巣は条件が良ければ観察可能です。

かといって、検査まで無理にお小水を我慢していただく必要はなく、つらい場合は排尿してしまって構いません。あくまでも我慢できる範囲で結構です。

 

■エコーでみえるもの、見えないもの

検査中、患者さんからよく「エコーで何がみえるの?」という質問をうけます。

ひとつひとつ挙げたらきりがないので、ここでは大雑把にエコーでみえるものとみえないものをご紹介します。

まず、エコーでみえないものは主にこの二つです。“骨”“ガス(空気やおなら)”です。エコーはこの二つにぶつかると、減衰・反射を起こし画像を作ることが出来なくなります。

時折、「背中が痛いから、背中からエコーを当てて検査をしてほしい。」という患者さんがいらっしゃいますが、背中はエコーの天敵、“骨”で覆われているばかりか、その奥に“空気の塊である肺”が存在するため、背中からエコーを当てても情報を得ることは難しく、基本的にはお腹側から検査をします。

 

それでは、エコーでみえるものはなんでしょうか。

それは“骨より柔らかくてガスを含まないもの”と“水”です。

具体的にいうと臓器なら肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆嚢、大動脈(詳しくはエコー検査:3を参照してください)などがみえます。

そしてそれらに出来た

良性の腫瘍がんポリープなどを見つけることが出来ます。

またその他に、形や大きさの変化色の変化などを観察しています。

 

◆ポリープ

エコーでみえるポリープは、主に“胆嚢ポリープ”です。

たまに患者さんからポリープがあると伺い、必死になって胆嚢ポリープを探していると、よくよく聞いてみたら大腸のポリープの話だった、ということがあります。

前述のとおり、大腸には腸内細菌が産生したガスが存在するため、残念ながらエコーでは大腸の壁の厚さは測れても、内側は観察できません。大腸の内側の観察には大腸カメラが有用です。

この写真は胆嚢と、矢印はそこに出来たポリープです。胆嚢の中は胆汁という液体で満たされているため、内腔が黒く観察できます。この写真の胆嚢ポリープは直径3~4㎜程ですが、1㎝をこえてくると癌との鑑別が必要になります。

検査の8時間以内にお食事をしてしまうとこの胆嚢が収縮してしまい、内腔がつぶれてポリープの観察が出来なくなってしまいます。

そのため、午前中の腹部エコーをご希望の方には朝食を、午後の腹部エコーをご希望の方には昼食を抜いて頂いております。

 

◆形や大きさの変化

形の変化や、大きさの変化をみつけた場合、検査中の痛みの程度などを確認しながら、炎症かどうかを考えながら検査をします。

例えば、上の写真は腫大した虫垂(いわゆる盲腸)の写真です。圧痛が一致したため、急性虫垂炎と判断しました。

 

 

◆色の変化

エコーでは色の変化をみることもできます。白と黒の世界ですが、その中でもわずかな色調の変化に気づくことで新たな疾患に気づくことができます。

上の写真は脂肪肝の様子です。脂肪肝は通常の肝臓より全体的に白っぽく描出されますが、主観で評価にばらつきが生じないよう、“脂肪肝”と診断するには決まりがあります。それは腎臓より肝臓の色が白く、かつ脾臓より肝臓の色が白いことです。

写真をみてお分かりになるように、三つ並んだ臓器の中で、一番白いのは肝臓です。

これにより、“脂肪肝”という診断がつきます。

 

■太っているとエコーで見辛いって本当?

本当です。

脂肪はエコーを通しづらいので、図で表現するとこうなります。

脂肪が多い人は、少ない人に比べ一枚ベールをかけたような、ぼやっとした画像になります。

実際の写真で見比べてみましょう。

左が痩せた患者さん、右が太った患者さんの膵臓の写真です。二つを比較し、右の膵臓のほうが下に写っているのに気づかれると思います。太った方は当然脂肪の量が多く、膵臓の上に厚い脂肪がのってくるため、このような高さの違いとして現れます。

しかし、見え方自体にはあまり違いが無いように思われるでしょうか。

ガイドの線を外してもう一度提示します。

ご覧のとおり周囲の脂肪にとけこみ、ベールをかぶった膵臓です。

観察は非常に困難です。

エコーは脂肪を通過する際、減衰します。その脂肪の厚さがあればあるほど(距離がのびるほど)減衰も大きくなります。

結果、脂肪の厚い人すなわち太った人は、“エコーで見づらい”ということになります。

 

こういう場合の対処法として、機械操作で焦点を合わせたり、最新の機械を使用するなど環境面を整えることはもちろん、技術的に効果的なのは“圧迫”する事です。

お腹の上から圧迫することで、プローブと臓器の距離を物理的に近づけることができ、脂肪を通過するエコーの距離を縮めることができます。また圧迫は、ちょっとしたコツで周囲の胃や腸のガスを移動させることも可能です。そのため圧迫しない場合に比べ明瞭に臓器が観察できます。

 

逆に痩せた患者さんに対しては、圧迫することでみえなくなってしまう臓器もあるので、殆ど力を加えずに検査するなど、患者さんの体型に合わせて工夫をしています。

 

8.実際にエコーで見つかった症例

①胃がん

60代の男性。食欲不振と体重減少のため来院されました。

エコー所見

エコーでは胃の壁が約7㎝の範囲で著明に肥厚し、胃がんを疑う所見です(矢印)。

実際に胃カメラを行うと、進行がんが見つかり、手術を行いました。

早期がんをエコーで見つけることは困難ですが、進行がんであればエコーで指摘できることも多く、エコーは体に負担をかけず簡単にできるので、症状のある方はまずエコーを受けてみるのもいい方法だと思います。

 

②大腸がん

60代の女性。最近、便が細くなってきた、お腹が張りやすくなった、とのことで来院されました。

エコー所見

エコーでは、大腸の一部に約4㎝の範囲で不整な壁の肥厚を認め、同部分が狭窄していました。(矢印)。

この狭窄によって便が細くなり、通過が悪くなってお腹の張りが出ていたのです。

大腸がんによる狭窄を考え、大腸カメラを行ったところ、やはり大腸がんを認めました。幸いにも転移がなく、手術で完治できました。

 

③膵臓がん

50代の男性。特に症状はありませんでしたが、知り合いが膵臓がんで亡くなったとのことで心配され来院されました。

エコー所見

エコーでは膵臓内に約2㎝の腫瘍を認め(矢印部分)、主膵管の拡張を伴っています。

症状が出る前の早期の発見で、周りの臓器や血管への浸潤がなかったため、手術による根治ができました。

※膵臓がんは症状が出た時には進行していることが多いため、定期的にエコーを受け早めに見つけることが重要です!

 

その他の症例はこちら

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

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