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風邪(急性上気道炎)

風邪」は鼻や口からのどまでの「上気道」と呼ばれる部位の炎症で 「急性上気道炎」とも呼ばれます。

 

<原因>

風邪の原因のほとんどがウイルス感染で、全体の9割以上を占めます。

時に溶連菌やマイコプラズマ、クラミジアなどといった細菌が関連する場合もあります。

また、かぜをひきやすくなる誘因としては、乾燥や寒冷・温度変化、疲れや睡眠不足による免疫の低下などがあります。

 

<症状>

・局部症状:せき、のどの痛み、鼻詰まりなど

・全身症状:発熱、だるさ、頭痛など

が出てきます。

 

ウイルスに感染すると、体のだるい感じや寒気などの全身症状とのどや鼻の乾燥感などの局部症状が出現し、その後1-2日経過して、のどの痛みや鼻水、鼻づまり、頭痛、発熱などが現れます。

そのまま治ることも多いのですが、感染による炎症が気管支などにまで進行すると、せきや痰などの症状が出始め、肺炎などになると高熱を認めます。

 

ただ、これらの症状はウイルスや菌に対しての生体の防御機能でもあり、むやみに薬で症状を抑えすぎると逆に改善が遅延することにもなってしまします。

例)

発熱→熱により感染と闘う免疫機能を高めることが出来ます。ウイルスや菌を攻撃する白血球は体温が1度上がると働きが5-6倍になるともいわれています。

→ウイルスや菌を粘液の中に閉じ込めて弱らせながら痰として体外に排出します

 

<治療>

・原因治療

風邪の原因のほとんどはウイルスなのですが、実はインフルエンザウイルス以外のウイルスに効くお薬はほとんどありません。

抗生物質は細菌による感染には効きますが、ウイルスによって起こる風邪には効果がありません。ですので、抗生物質は扁桃炎や肺炎などの細菌による感染が疑われる場合に使用します。

 

では、ウイルスによる風邪の治療はどうするのか?

結局のところ、自分の免疫で抑えて良くするしかありません。

そして、そのための薬として注目されているのが漢方薬です。

 

「漢方薬」と聞くとあまり効かないイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、実は風邪などにはよく効きます。

ただ、体格・体質・症状などによって様々な漢方の中から合うお薬を選ばないといけないので、処方する私たち医師にも知識と経験を要します。

当院では、風邪はもちろん、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアといった体質やストレスが大きく影響する疾患にも漢方を幅広く用いており、患者さん一人ひとりに合わせた処方をしております。

(当院で使用する漢方薬はもちろん保険適応のものです。自費扱いになる高額の漢方薬の治療は一切行っておりません。)

 

・対症療法

先ほど述べたように発熱や鼻水・痰などは生体の防御機能なので、症状を抑えすぎるとかえって風邪を長引かせてしますことがあります。

もちろん、高齢者の方や小さいお子さんなどで熱によって体力の消耗がある場合には解熱剤を使用したり、咳が出過ぎて呼吸困難になってしまったり眠れなかったりする場合には薬である程度症状を抑えます。

ただ、症状を完全に消すのではなく、あくまでつらくない程度に抑えつつ、免疫を高めてウイルスをやっつけるというのが、風邪の治療のイメージです。

 

<実際の治療例>

20代 男性 体のだるさ・のどの痛み・鼻水・発熱

 

【症状】

2-3日前から体のだるさと鼻水・何となくのどの違和感があられ、様子を見ていたところ、のどの痛みがつよくなり、寒気と38℃の熱が出てきたとのことで来院されました。

 

【診察】

のどの状態を見てみると、発赤が強くありましたが、細菌感染時にみられる膿などはなく、ウイルス感染による咽頭炎(風邪)と診断しました。

 

【治療】

体格がよく、体力も十分にある男性で、熱と寒気はあるものの汗が出ていないとのことから、体を温めて免疫を高める葛根湯をメインに処方しました。

<処方内容>

1.葛根湯

体を温めて免疫を高める漢方です。風邪の引きはじめで、熱があるけど汗が出ていない状態に有効です。

飲むと体が温まり発汗を伴うことが多いので、体力がありしっかりと水分が取れる方によく効いてくれます。

2.桔梗湯

のどの痛みをとってくれる漢方です。主成分の桔梗はのどや気管支の熱感を癒し、炎症や痛みをやわらげる作用があるといわれています。

3.トラネキサム酸

咽頭の炎症を抑えて痛みを和らげる薬です。

4.解熱剤

解熱剤は、39℃以上の発熱がありどうしてもつらい時だけ飲んで頂くようにしました。

また、鼻水については、鼻が詰まって呼吸が出来ないなどの辛い症状ではないため様子をいて頂くことにしました

 

【経過】

葛根湯を飲んでもらったところ、当日かなり発汗があり、翌朝には熱は37℃くらいまで下がっており、解熱剤も飲む機会はなかったそうでした。

のどの痛みも次第に和らぎ、3日目には微熱もなくなり、のどの痛みもほとんど消えたとのことでした。

 

風邪と聞くと、抗生剤をイメージする方もおられるかもしれませんが、実際には風邪には抗生剤は効果はありません。(ただし、化膿性扁桃炎・肺炎などの細菌による感染には抗生剤はよく効きます。)

また、市販薬で症状を抑えすぎてしまうと、逆に長びかせることにもなりますので、風邪の引きはじめや熱が出てすぐなどのなるべく早いタイミングで受診することが、今回のように風邪を早く治す上で重要です。

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