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コラム【なぜお腹の張りが続くのか?その原因と必要な検査・治療について】

[2025.08.22]

「お腹が張って苦しい」「ガスが溜まった感じが続く」――

こうした腹満の症状は、多くの方が一度は経験するものです。

一過性のものであれば心配ありませんが、長引く場合や強い痛みを伴う場合には、大腸がんや腸閉塞といった 器質性の病気 が隠れていることもあります。

一方で、検査では異常が見つからない 機能性の不調 によって起こる腹満も少なくありません。

この記事では、腹満の原因を 器質性(臓器の異常)機能性(働きの異常) に分けて解説し、受診の目安もご紹介します。

1.腹満の原因|器質性と機能性の違い

腹満の原因は大きく分けて

  • 器質性(内臓の物理的な異常)

  • 機能性(内臓の働きの異常) 

   の2種類があります。

 器質性の原因(内臓の物理的な異常)

器質性は、腸や臓器に「物理的な異常」があるためにお腹が張る状態です。

特に急激な腹痛や嘔吐を伴う場合は緊急性があります。

  • 大腸がん・小腸腫瘍:腸の通過が妨げられ、便やガスが溜まる

  • 腸閉塞(イレウス):癒着、ヘルニア、炎症による狭窄

  • 便秘(宿便)や腸内異物

  • 腹水貯留(肝硬変・がん性腹膜炎・心不全など)

  • 炎症性疾患:憩室炎、クローン病など

機能性の原因(内臓の働きの異常) 

検査では器質的な異常がなくても、腸の動きやガス排出が乱れることで腹満を感じることがあります。

  • 過敏性腸症候群(IBS):ガスの貯留感や便通異常

  • 機能性ディスペプシア:胃の排出遅延や消化機能の低下

  • 消化不良・膵機能低下

  • 小腸内細菌異常増殖(SIBO)

  • 腸管蠕動運動異常(CIPO)
  • 食生活の影響:炭酸飲料、豆類、人工甘味料、高FODMAP食

  • ストレス・自律神経の乱れ

  • ホルモン変化(妊娠・更年期など)

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2.検査は?

腹満の原因を正しく判断するためには、症状に応じた検査が必要です。

血液検査

炎症反応・貧血・腫瘍マーカー・原因となりうる臓器の数値の確認

エコー・レントゲン

腹水や腸閉塞の有無、腸炎や、ガスのたまり・便秘の状態の確認

胃カメラ(胃内視鏡)

胃がんなどの胃の病気が疑われた場合に行います。

大腸カメラ(大腸内視鏡)

大腸がん大腸炎などの大腸疾患をチェック

小腸カプセル内視鏡・小腸MRI

症状の原因が小腸疾患の可能性がある場合に考慮。

※小腸検査は高次医療機関にご紹介となる場合もあります。

関連ページ
  • 胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます
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3.治療は?

原因によって治療法は大きく異なり、その原因に合わせて適切に治療を行わないと張りが治らずに続いてしまうことになります。

器質性の場合

  • 大腸がん・小腸腫瘍:内視鏡切除や外科手術

  • 腸閉塞:絶食・点滴治療、場合によっては手術

  • 便秘:下剤や浣腸で改善、重度の場合は入院治療

  • 腹水:利尿薬や腹水穿刺、基礎疾患の治療

機能性の場合

  • 薬物療法:整腸剤・胃腸の運動改善薬・抗不安薬など

  • 食事療法:低FODMAP食・発酵食品の調整

  • 生活改善:ストレスケア・睡眠改善・運動習慣

など

4.受診の目安

次のような症状がある場合は、早めに受診をおすすめします。

  • 急激な腹痛や嘔吐を伴う

  • 排便や排ガスが止まっている

  • 血便がある、便潜血検査で陽性

  • 数週間以上続く腹満や便通異常

当院では 胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコーなどを組み合わせて原因を詳しく調べ、症状に応じた治療を行っています。

ただの便秘だと思っていたら大腸がんだった」というケースもありますので、お腹の張りが続くときは放置せずにご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

.実際の治療例

① 50代 女性 腹部のはり

【症状】
  • 数か月前から何となく下腹部の違和感
  • 2か月ほど前からは週3日程度お腹の張り
  • 2週間ほどは張りを常に感じ、便もすっきり出ない

とのことで当院を受診されました。

【診察】

触診では腹部ガスによる鼓音と張り、便は少量で液状のことが多いとのことから、大腸の通過障害を疑いました

【検査】

腹部レントゲンでは大腸のガスによる腸管の拡張を認め、

腹部エコーでは大腸に腫瘍性の狭窄を疑う所見があり、大腸がんを疑い大腸カメラ(内視鏡)を施行しました

大腸カメラではS状結腸に腫瘍を認め、生検にて大腸がんと診断しました。

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がんが大腸の内腔を圧排し通り道が細くなることで、違和感張り便がすっきり出ないといった症状が生じている状態(通過障害)でした。

【治療・経過】

状態としてはすでに進行がんで内視鏡では治療困難な病変であり、手術が必要な状態でした。

がん治療拠点病院に紹介し、同院で手術+術後化学療法(抗がん剤治療)を行いました。

その後、幸いにも今のところは術後の転移はなく経過観察を続けておられます。

【院長からのコメント】

大腸がんは初期症状に乏しく、進行すると腸管内を圧排して腹部の違和感や張りが出てくることがあります。

進行に伴い、症状も数か月単位で徐々にひどくなっていくことが多いです。

1-2週間様子をみても改善がない場合は、早めに大腸カメラ(大腸内視鏡)などの検査を受けることで、悪化する前に病気を見つけることができます。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

② 20代 男性 食べてすぐ胃が張る

【症状】

以前から食は細い方とのことでしたが、1か月ほど前から食事をするとすぐに胃が張って満腹になるとのことで当院を受診されました。

【診察】

転職による環境的なストレスが多いとのことで、機能性ディスペプシア(特に疾患があるわけではないのに胃の機能の調整機能が崩れて起こる症状)を疑いました。

【検査】

器質的な病気のチェックのため腹部レントゲン・腹部エコー・胃カメラ検査を行いました。

腹部レントゲンでは異常ガスなどはなく、腹部エコーでも肝胆膵などの上腹部の臓器に異常なし。

胃カメラも良性の胃底腺ポリープを認める程度でピロリ菌もなく、症状の原因となる病変はない状態でした。

【治療】

以上の結果から機能性ディスペプシアと診断し、投薬治療を行いました。

食後すぐの胃の張りは、胃の動き(弛緩・排出)といった機能の調整不良で起こることが多く、胃の動きを改善する薬アコチアミド漢方)を投薬。

【経過】

アコチアミドは胃の弛緩や排出機能を改善し腹満感や張りを和らげてくれるというデータがしっかりと証明された薬1)で、機能性ディスペプシアのガイドラインでも推奨されています2)

実際に投与開始して5日程経つと症状が少しづつ緩和。

2週間後再院時には食後の張りがまだ若干気にはなるが、来院前からするとだいぶ良くなっており、

8週目には症状はほとんど改善したとのことでアコチアミドは中止としました。

以前から食が細いのも気になっているとのことで、体質的な部分を改善するため漢方は継続し、

また当院オリジナルサプリのi-katsuに含まれるダイダイ・麦芽・萊菔子は胃の運動を促進し食欲を増幅させる作用があるため3)、あわせてi-katsuも飲んで頂くこととし、現在では以前に比べると食事量も増えてきたとのことであり、このまま漢方とサプリを継続していく方針としています。

参考文献:

1)Nakamura K,et al:J Gastroenterol 52(5):602,2017   2)日本消化器病学会編 :機能性消化管疾患ガイドライン2021  3)堀江 俊治等 和漢医薬学雑誌  24(Supplement), 79, 2007-08-20

 

③ 60代 男性 お腹が張った状態が治らない

【症状】

3か月ほど前からお腹が張りを自覚。どんどん張りが悪化し、当院を受診されました。

【診察】

触診では腹部の緊満した張りを認め、腹水の貯留を疑い、腹部レントゲン・腹部エコーの検査を実施。

【検査】

腹部レントゲンでは異常ガスは認めませんでしたが、腹部エコーでは多量の腹水を認めました。

【治療】

血液検査では肝機能障害やたんぱく質の一種であるアルブミンの低下を認め、かなりの大酒家でありアルコール性肝硬変が一番に考えられました。

腹水が多量で日常生活に支障が出ている状態で入院治療が必要な状態であったため、高次医療機関にて治療を行ってもらうこととなりました。

【経過】

入院後の検査でアルコール性肝硬変との診断が確定し、禁酒・食事制限・投薬治療にて腹水はかなり減少し、1ヶ月後に退院されたとのことでした。肝硬変になると、肝がんのリスクが高くなりますが、現時点では幸いガンはなく、禁酒と投薬治療で肝臓の専門外来の通院を続けておられます。

【院長からのコメント】

腹部の張りの原因の一つに腹水があります。

腹水は今回のように肝硬変で出現したり、炎症やガンなどでも起こります。エコー検査で指摘できることが多く、お腹の張りを認めた場合にはエコー検査は非常に重要になってきます。

④ 40代 女性 ガスが溜まってお腹がはる

【症状】

学生時代からガスによる腹部膨満を繰り返していたが、最近頻度と強さが増加。

【検査】
  • 腹部レントゲンで大腸ガスを確認

  • 大腸カメラでは異常なく、機能性のガス貯留(広義の過敏性腸症候群) と診断

【治療】

機能性のガス貯留は腸の働きの低下や腸内細菌のバランスの乱れで生じることが多く、その点を改善するような治療を行いました。

<治療内容>

①腸の運動機能改善薬・漢方薬

腸の蠕動運動などの働きを改善するような薬となります。

西洋薬と漢方薬でそれぞれ作用機序が異なるため、合わせて使うことで相乗効果も期待できます。

②整腸剤

腸内細菌のバランスを整えることで動きの改善や張りの改善に役立てます。

③食事指導

ガスを産生しやすくなる食品などを極力控え(低フォドマップ食)、腸の蠕動を改善するように食物繊維水分摂取を心がけるようにしました。

【経過】

治療開始10日で症状が軽快、1か月で頻度・程度ともに大幅改善。

症状の改善に伴い減薬や休薬も勧めましたが、ご本人が継続しておきたいと希望され現在も続けています。

【院長からのコメント】

今回の過敏性腸症候群のような機能性の症状については整腸剤や漢方が有効なことが多く、いずれも副作用の出現頻度が比較的少ないため、症状の改善後も予防的に飲んでいただくこともあります。

また、同じような症状であっても、機能性でなく大腸がん潰瘍性大腸炎のような器質的な病気でも起こることがあり、症状がある場合は大腸内視鏡を受けて病気がないかを確認することも大切です。

症状でお困りの方はお力になれますので、お気軽にご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

6.まとめ|お腹の張り(腹満)の原因と受診の目安

  • 腹満の原因は大きく2種類
     1. 器質性(臓器の異常):大腸がん・腸閉塞・便秘・腹水・炎症性疾患など
     2. 機能性(働きの異常):過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、SIBO、食生活やストレスの影響など

  • 検査の重要性
     血液検査・エコー・レントゲン・胃カメラ・大腸カメラなどで原因を調べます。
     特に 数週間以上続く腹満や便通異常、血便がある場合 は大腸内視鏡が推奨されます。

  • 治療は原因に応じて異なる
     器質性の場合は手術や点滴などが必要になることもあります。
     一方で、機能性の場合は整腸剤・胃腸運動改善薬・漢方・食事指導・生活習慣改善などで改善が期待できます。

  • 受診の目安
     「急な腹痛や嘔吐」「排便や排ガスが止まった」「血便がある」「腹満が長引く」といった症状は早めの消化器内科受診が必要です。

👉 当院では、胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコーを組み合わせて詳しく原因を調べ、症状に応じた治療をご提案しています。
👉 「ただの便秘と思ったら大腸がんだった」という例もあるため、気になる方は放置せず早めの検査をおすすめします。

📌 胃カメラの詳細はこちら
📌 大腸カメラの詳細はこちら
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7.よくある質問FAQ

Q1. お腹の張り(腹満)はどんな病気が原因になりますか?

A. 腹満の原因は大きく「器質性(臓器の物理的な異常)」と「機能性(働きの異常)」に分けられます。

・器質性の原因:大腸がん・小腸腫瘍・腸閉塞・便秘・腹水(肝硬変など)・炎症性疾患(憩室炎、クローン病など)

・機能性の原因:過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、SIBO(小腸内細菌異常増殖)、食生活やストレスの影響など

Q2. 「ただの便秘」と「病気によるお腹の張り」はどう見分ければいいですか?

A. 数日程度の便秘で改善する場合は心配ないことが多いですが、次のような症状がある場合は病気の可能性があります。

・血便がある、便潜血検査で陽性だった

・急な腹痛・嘔吐を伴う

・排便や排ガスが全く出なくなった

・数週間以上続く張りや便通異常

これらは大腸がんや腸閉塞などの器質的疾患で起こることがあり、早めの内視鏡検査が推奨されます。

👉 関連ページ:便潜血検査陽性の場合は大腸カメラを受けた方がいいの?

Q3. お腹の張りの検査には何がありますか?

A. 症状や年齢によって検査を選びます。

・血液検査:炎症反応・腫瘍マーカー・肝機能・膵機能など

・腹部エコー・レントゲン:腸閉塞や腹水、便秘の有無を確認

・胃カメラ(胃内視鏡):胃がん・胃炎などを確認

・大腸カメラ(大腸内視鏡):大腸がん・ポリープ・炎症性腸疾患のチェック

・小腸検査(カプセル内視鏡・小腸MRI):小腸の病気が疑われる場合

Q4. 治療はどうなりますか?

A. 原因によって治療は大きく異なります。

器質性の病気

 大腸がん→内視鏡切除や手術

 腸閉塞→絶食・点滴・手術

 腹水→利尿薬や穿刺・基礎疾患の治療

機能性の不調

 整腸剤・胃腸運動改善薬・漢方薬

 食事指導(低FODMAP食など)

 ストレスケア・生活習慣改善

👉 関連ページ:低フォドマップ食による過敏性腸症候群の治療方法と実際の治療例

Q5. どのタイミングで受診すべきですか?

A. 以下の症状がある場合は早めの受診が必要です。

・急激な腹痛や嘔吐を伴う

・排便や排ガスが止まっている

・血便が出る、便潜血検査で陽性

・数週間以上続く腹満や便通異常

「ただの便秘だと思っていたら大腸がんだった」というケースもあります。気になる症状がある方は放置せずご相談ください。

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医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

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所在地

170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

 

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