【実際の治療例】半年続くげっぷの原因は逆流性食道炎?PPIで改善せずN-katsuで改善した50代女性
「げっぷが何度も出る」「食後だけでなく、日中もげっぷが気になる」「胃薬を飲んでもあまり変わらない」
このような症状でお困りの方は少なくありません。
長く続くげっぷには、逆流性食道炎や胃の動きの乱れ、食道や胃の知覚過敏が関わっていることがあります。
逆流性食道炎では、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流することで、胸やけだけでなく、げっぷ、のどの違和感などの症状が出ることがあります【1】【2】。
また、通常の逆流性食道炎の治療で改善しない場合は、原因を見直し治療方針を整える必要があります【2】【4】。
今回は、半年ほど前から頻回にげっぷが出るようになった50代女性が、胃カメラで軽度の逆流性食道炎を認め、PPIでは改善が乏しかったものの、当院で粘膜保護と知覚過敏改善を目的にN-katsuサプリを使用し改善した実例を専門医の院長がご紹介します。
長引くげっぷでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。
お気軽にご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
症状を起こす主な原因|げっぷが続くときに考えること
げっぷは、胃の中にたまった空気が口から出る生理的な反応です。食事中に空気を飲み込んだり、炭酸飲料を飲んだりすると、誰にでも起こります。
ただし、次のような原因があると、げっぷが頻回になったり、長く続いたりすることがあります。
1. 逆流性食道炎
胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜に炎症や刺激を起こす病気です。胸やけが有名ですが、げっぷ、のどの違和感、胸のつかえ、咳、声のかすれなどで気づかれることもあります【1】【3】。
2. 胃の動きの低下・機能性ディスペプシア
胃の排出が遅れたり、胃がうまく広がらなかったりすると、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの不快感、げっぷが出やすくなることがあります。
3. 空気嚥下症・呑気症
無意識に空気を飲み込むことで、胃や食道に空気がたまり、げっぷが増える状態です。緊張、ストレス、早食い、会話しながらの食事などが関係することがあります。
4. 胃炎・胃潰瘍・ピロリ菌感染
胃の粘膜に炎症があると、胃もたれや不快感とともに、げっぷが目立つことがあります。ピロリ菌感染が背景にある場合もあります。
5. 胃がん・食道がんなどの重大な病気
多くはありませんが、げっぷが長く続く背景に、胃や食道の病気が隠れていることもあります。とくに体重減少、食欲低下、吐き気、黒い便、飲み込みにくさを伴う場合は注意が必要です。
実際の症状|50代女性「半年ほど前から頻回にげっぷが出る」
症状
半年ほど前から、頻回にげっぷが出るようになり、日常生活でも気になるとのことで来院されました。
診察|鑑別疾患として何を考える?
頻回なげっぷで受診された場合、次のような点を確認します。
- いつからげっぷが出ているか
- 食後に多いか、空腹時にも出るか
- 胸やけ、胃もたれ、みぞおちの痛みがあるか
- のどの違和感、咳、声のかすれがあるか
- 体重減少、食欲低下、吐き気、黒色便があるか
- 市販薬や制酸剤(PPI)で改善したか
- 食事内容、早食い、炭酸飲料、飲酒、ストレスの影響
- 胃カメラを最近受けているか
そして原因疾患としては、
逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症、機能性ディスペプシア、空気嚥下症、胃炎、胃潰瘍、ピロリ菌感染、食道裂孔ヘルニア、食道がん、胃がんなどを考えました。
状態を確認し、治療方針を立てるため、胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
胃カメラ
実際の内視鏡画像です。胃と食道のつなぎ目部分に炎症があり(黄色部分)、軽度の逆流性食道炎と診断しました。
逆流性食道炎とは
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜に炎症を起こす病気です。
本来、胃と食道の境目には、胃の内容物が逆流しにくいようにする仕組みがあります。
しかし、加齢、食道裂孔ヘルニア、肥満、食後すぐに横になる習慣、脂っこい食事、飲酒などの影響で逆流しやすくなることがあります。
逆流性食道炎の代表的な症状は胸やけですが、実際には次のような症状で受診される方もいます。
- げっぷ
- 胃酸が上がる感じ
- みぞおちの不快感
- のどの違和感
- 胸のつかえ
- 咳
- 声のかすれ
- 吐き気
- 胃もたれ
逆流性食道炎は、酸による粘膜障害だけでなく、食道の運動、逆流防止機構、粘膜の炎症、神経の感受性などが複雑に関わる病気とされています【3】。
逆流性食道炎によってげっぷが出るのはなぜ?
逆流性食道炎でげっぷが出やすくなる理由は、主に3つあります。
1. 胃と食道の境目がゆるむタイミングで、空気と胃酸が上がりやすくなる
げっぷは、胃にたまった空気を外へ出すために起こります。
このとき、胃と食道の境目にある下部食道括約筋が一時的にゆるみます。この一時的なゆるみは、胃の空気を出すための自然な反応ですが、同時に胃酸や胃の内容物が食道へ逆流しやすくなることがあります【3】。
そのため、げっぷが多い方では、げっぷのたびに酸逆流が起こったり、逆に逆流の刺激によってげっぷが誘発されたりすることがあります。
2. 食道粘膜が敏感になり、少しの逆流でも不快に感じやすくなる
逆流性食道炎があると、食道粘膜が刺激を受けます。
炎症が強くなくても、酸や胃内容物の刺激が繰り返されることで、食道の神経が過敏になり、通常なら気にならない程度の逆流や空気の動きでも「不快」「げっぷが出そう」と感じやすくなることがあります【5】。
今回の患者さんも、胃カメラ上は軽度の逆流性食道炎でしたが、PPIで十分改善しなかったことから、酸そのものだけでなく、酸逆流に対する粘膜の知覚過敏が症状に関わっている可能性を考えました。
3. げっぷを繰り返すことで、さらにげっぷが出やすくなることがある
げっぷが何度も出ていると、体がその動きに慣れてしまい、無意識のうちに空気を飲み込んだり、食道の方へ空気を入れてから出したりするような状態になることがあります。
最初は逆流性食道炎や胃の不快感がきっかけだったとしても、げっぷを繰り返しているうちに、「げっぷが出やすいクセ」のような状態になってしまうことがあります。
この場合、胃酸を抑えるPPIを飲んでも、げっぷが十分に改善しないことがあります。
以上のように、げっぷが続く場合は、単に胃酸を抑えるだけでなく、粘膜の状態、食道の過敏性、生活習慣、無意識の空気の飲み込みなどを総合的に見ることが大切です。
治療|PPIで改善しなかったげっぷにN-katsuを使用
今回の患者さんでは、胃カメラで軽度の逆流性食道炎を認めたため、まず逆流性食道炎の標準治療である制酸剤(PPI)による治療を行いました。
しかし症状の改善が乏しい経過でした。
PPIは胃酸分泌を抑える薬ですが、げっぷの原因が胃酸の逆流だけではなく、粘膜の知覚過敏や非酸性逆流、食道の刺激に対する反応性にある場合、十分に改善しないことがあります【2】【5】。
そこで、当院では、酸逆流に対して食道やのどの粘膜が過敏に反応している可能性を考え、粘膜保護と知覚過敏改善を目的にN-katsuサプリを治療として使用しました。
その結果、使用開始から約1か月でげっぷは半減し、約2か月でほぼ改善しました。
もちろん、すべてのげっぷがN-katsuで改善するわけではありません。
げっぷの原因は人によって異なるため、胃カメラや診察で原因を見極めたうえで、治療方針を考えることが重要です。
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受診の目安|げっぷで病院に行くべきタイミング
次のような場合は、消化器内科での相談をおすすめします。
- げっぷが数週間から数か月続いている
- 市販薬や胃薬で改善しない
- 胸やけや胃酸が上がる感じがある
- のどの違和感、咳、声のかすれを伴う
- 胃もたれ、食欲不振、吐き気がある
- 体重が減っている
- 飲み込みにくい、胸につかえる
- 黒い便が出る
- 50代以降で胃カメラをしばらく受けていない
- 症状が気になって生活に支障が出ている
特に、長引く症状や薬で改善しない症状では、胃カメラで食道や胃の状態を確認しておくことが大切です。
院長からのコメント
げっぷは、患者さんからすると「こんなことで受診していいのかな」と思われやすい症状です。
しかし、実際の診療では、げっぷの背景に逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、食道の知覚過敏、胃炎、まれに食道や胃の重大な病気が隠れていることがあります。
今回の患者さんは、胃カメラで軽度の逆流性食道炎を認めたものの、PPIでは十分に改善しませんでした。
このような場合、「胃酸を抑えれば治るはず」と考え続けるのではなく、酸に対する粘膜の過敏性や、逆流に対する反応性まで考えて治療を組み立てることが大切です。
当院では、胃カメラで病気を確認するだけでなく、症状の出方や薬への反応も含めて、患者さんごとに治療方針を調整しています。
お困りの方はお力になれますのでご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
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よくある質問
Q. げっぷが多い原因は逆流性食道炎ですか?
A. 逆流性食道炎が原因になることがあります。胃酸や胃の内容物が食道へ逆流すると、胸やけだけでなく、げっぷ、のどの違和感、胸のつかえなどが出ることがあります。ただし、げっぷの原因は逆流性食道炎だけではないため、長引く場合は診察で確認することが大切です。
Q. 胸やけがなくても逆流性食道炎でげっぷが出ますか?
A. はい、あります。逆流性食道炎では典型的な胸やけが目立たず、げっぷ、胃酸が上がる感じ、のどの違和感、咳、声のかすれなどが中心になることがあります。
Q. PPIを飲んでもげっぷが治らないのはなぜですか?
A. PPIは胃酸を抑える薬ですが、げっぷの原因が酸の量だけでなく、非酸性逆流、食道粘膜の知覚過敏、空気の飲み込み、胃の動きの乱れなどにある場合、十分に改善しないことがあります。
Q. げっぷだけでも胃カメラを受けた方がいいですか?
A. げっぷが一時的であれば様子を見ることもありますが、数週間から数か月続く場合、胃薬で改善しない場合、50代以降で胃カメラをしばらく受けていない場合は、胃カメラで食道や胃の状態を確認することをおすすめします。
Q. 逆流性食道炎によるげっぷは自然に治りますか?
A. 生活習慣の改善で軽くなることもありますが、症状が長く続く場合や日常生活に支障がある場合は、治療が必要になることがあります。原因に応じて、酸を抑える薬、生活指導、粘膜保護、知覚過敏への対応などを組み合わせます。
Q. N-katsuはげっぷに使うことがありますか?
A. 当院では、逆流による粘膜刺激や知覚過敏がげっぷに関わっていると考えられる場合、治療の一環としてN-katsuを使用することがあります。すべてのげっぷに有効というわけではないため、胃カメラや診察で原因を見極めたうえで使用を検討します。
Q. げっぷが多いと胃がんの可能性はありますか?
A. げっぷだけで胃がんを強く疑うことは多くありません。ただし、食欲低下、体重減少、吐き気、黒い便、貧血、胃痛、飲み込みにくさなどを伴う場合は注意が必要です。症状が長引く場合は胃カメラで確認することが大切です。
Q. げっぷを減らすために生活で気をつけることはありますか?
A. 早食いを避ける、よく噛んで食べる、炭酸飲料を控える、食後すぐに横にならない、脂っこい食事や飲酒を控える、腹部を締めつける服装を避けることが役立つ場合があります。
Q. ストレスでげっぷが増えることはありますか?
A. あります。ストレスや緊張で空気を飲み込みやすくなったり、食道や胃の感覚が過敏になったりすることで、げっぷが増えることがあります。ただし、ストレスだけと決めつけず、長引く場合は消化器の病気がないか確認することが大切です。
Q. げっぷが続く場合、何科を受診すればいいですか?
A. 消化器内科の受診をおすすめします。逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、食道や胃の病気などを確認するため、必要に応じて胃カメラやピロリ菌検査などを行います。
まとめ
✔ 頻回なげっぷは、食べ過ぎや早食いだけでなく、逆流性食道炎や食道粘膜の知覚過敏が関わっていることがあります。
✔ げっぷが半年以上続く場合、逆流性食道炎や胃の動きの低下、空気の飲み込みなどが原因になることがあります。
✔ 胃カメラで軽度の逆流性食道炎が見つかっても、症状の強さと炎症の程度が必ずしも一致しないことがあります。
✔ PPIで胃酸を抑えても改善しない場合、酸だけでなく、食道粘膜の知覚過敏や非酸性逆流も考える必要があります。
✔ 今回の50代女性では、PPIで改善が乏しかったものの、粘膜保護と知覚過敏改善を目的にN-katsuを使用し、1か月でげっぷが半減、2か月でほぼ改善しました。
✔ げっぷが長引く場合は、単に胃酸を抑えるだけでなく、症状の出方や胃カメラ所見をもとに原因を見直すことが大切です。
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
参考文献
- 日本消化器病学会編. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂, 2021.
- Katz PO, Dunbar KB, Schnoll-Sussman FH, et al. ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022;117(1):27-56.
- Kasugai K, Ogasawara N. Gastroesophageal Reflux Disease: Pathophysiology and New Treatment Trends. Internal Medicine. 2023.
- Sawada A, Fujiwara Y. Belching Disorders and Rumination Syndrome: A Literature Review. Digestion. 2024.
- Sawada A, et al. Esophageal Reflux Hypersensitivity: A Comprehensive Review. Gut Liver. 2023.
