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【実際の治療例】背中の激痛と冷や汗の原因は?飲酒後に発症した30代男性の急性膵炎

[2026.04.18]

背中の激痛で目が覚め、冷や汗が出るほどつらい。

こうした症状があると、「寝違えたのかな」「飲みすぎただけかもしれない」と思いたくなるかもしれません。

しかし実際には、急性膵炎のように早めの診断と入院治療が必要な病気が隠れていることがあります。

急性膵炎は、上腹部から背中にかけて強い痛みを起こすことがあり、重症化すると臓器障害を伴うこともあるため、痛みを我慢しすぎないことが大切です。【1】【2】【3】

本記事では急性膵炎と背部痛の関係、他に可能性のある疾患や、受診のタイミングについて、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。

背中の痛みでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

💡まずお伝えしたいポイント

・飲酒後の背中の激痛と冷や汗は、急性膵炎など緊急性の高い病気を考える症状です。

・急性膵炎は、典型的な痛み、膵酵素上昇、画像所見のうち2項目以上をもとに診断します。

・重症化のおそれがある場合は、入院可能な高次医療機関での治療が必要です。

・アルコールが原因と考えられる場合は、再発予防のため禁酒・節酒がとても重要です。

 

巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

背中の激痛を起こす主な原因

背中の激痛は、単なる筋肉痛だけで説明できないことがあります。

消化器内科でまず考える病気としては、急性膵炎、胆石関連の病気、消化管穿孔、急性胆嚢炎などがあり、さらに大動脈解離のような命に関わる病気も鑑別が必要です

消化器内科でまず考える病気としては、急性膵炎、胆石関連の病気、逆流性食道炎、消化管穿孔、急性胆嚢炎などがあり、さらに大動脈解離のような命に関わる病気も鑑別が必要です。

また背中の痛みは心筋梗塞でもみられることがあるため、冷や汗や吐き気、息苦しさを伴う場合は特に注意が必要です。【4】【5】

急性膵炎の原因としては、胆石アルコールが代表的です。飲酒量が多い方ではアルコール性急性膵炎が疑われます。【1】【2】

関連ページ

背中の痛みが続くときに考えられる内臓の病気についてはこちらのページもご覧ください。

実際の診療例|30代男性「背中の激しい痛み」

症状

今回の患者さんは30代男性です。

昨晩、友人と飲酒し、帰宅後に就寝していたところ、背中の痛みが出現しました。痛みは徐々に強くなり、冷や汗が出るほどの激しい痛みとなったため、翌朝に当院を受診されました。

急性膵炎では、みぞおちから背中にかけての強い痛み、吐き気・嘔吐、発熱、頻脈などを伴うことがあり、見た目にもかなりつらそうな印象になることが少なくありません。【2】【3】

 

診察

飲酒後に出現した強い背部痛と冷や汗という経過から、まず急性膵炎を疑いました。

ただし、この時点では急性膵炎だけに決めつけず、

  • 胆石性膵炎
  • 消化管穿孔
  • 急性胆嚢炎
  • 大動脈解離
  • 心筋梗塞

なども除外すべき病気として考えます。

 

検査

心電図

心筋梗塞を疑う所見なし

血液検査

炎症反応高値膵酵素(膵アミラーゼ)上昇あり。

腹部エコー

膵頭部の腫大を認め、症状と血液検査結果をあわせて急性膵炎と診断しました。

矢印で囲まれた部分が腫大した膵頭部です。

👉腹部エコーは、膵臓の腫大や周囲の変化をみるだけでなく、胆石性膵炎の原因検索にも有用です。

腹部エコー検査でわかることについては、腹部エコーのご案内ページで詳しく解説しています。

 

急性膵炎とは

膵臓は胃の後ろにある臓器で、消化を助ける酵素や血糖を調整するホルモンをつくっています。

急性膵炎は、この膵臓に急激な炎症が起こる病気です。【3】

症状

急性膵炎は、膵臓に急に炎症が起こる病気です。みぞおちの痛みや背中の強い痛み、吐き気、嘔吐などがみられ、冷や汗が出るほどつらい症状になることもあります。【1】【2】【3】

原因

原因として多いのは、アルコール胆石です。今回のように飲酒後に発症することもあり、飲酒量が多い方ではアルコール性急性膵炎が疑われます。【1】【2】

診断

診断は、症状の経過に加えて、血液検査で膵酵素の上昇を確認し、腹部エコーやCTなどの画像所見をあわせて行います。背中の激痛では、ほかの緊急疾患も含めて慎重に判断することが大切です。【1】【2】

治療

治療の基本は、点滴、痛みのコントロール、食事を一時的に控える対応などです。

重症化のおそれがある場合は入院での管理が必要となるため、早めに診断し、適切な医療機関で治療を受けることが重要です。【1】【2】

炎症が強くなると、膵臓そのものだけでなく、周囲の組織や全身に影響が広がり、呼吸・腎機能・循環などに障害が及ぶことがあります。

そのため、急性膵炎は「痛み止めで様子を見るだけ」で済まないことがあり、発症早期の見極めがとても重要です。【1】【2】

 

今回の治療経過

急性膵炎は重症化すると命に関わるため、当院から高次医療機関へ速やかに紹介しました。

診断と紹介が早かったため、幸いにも重症化せず、入院のうえ絶食・点滴治療で改善し、無事に退院となりました。

退院後に当院を再診され、再発予防のため禁酒の重要性についても説明し、引き続き定期的な経過観察を行っております。

受診の目安

次のような症状がある場合は、できれば当日中、症状が強ければ救急受診も検討してください。

  • 背中やみぞおちの強い痛みが急に出た
  • 痛みがどんどん強くなる
  • 冷や汗、吐き気、嘔吐を伴う
  • 発熱、息苦しさ、黄疸がある
  • 胸の圧迫感や背中の痛みに加え、呼吸苦やふらつきがある

急性膵炎では強い腹痛・背部痛、吐き気、発熱などがみられ、放置すると重症化することがあります。

また、背中の痛みは心筋梗塞の症状として出ることもあります。【3】【4】【5】

「この痛みは様子を見てよいのかな」と迷う場合も、まずはご相談ください。早めの判断が大切な病気があります。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

院長からのコメント

背中の痛みというと、まず整形外科の病気を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし、今回のように飲酒後の強い背中の痛みや冷や汗は、膵炎のような消化器の緊急疾患で起こることがあります。

急性膵炎は、早く診断できれば重症化を防げることがあります。

とくに「いつもと違う痛み」「じっとしていられないほどの痛み」「冷や汗を伴う痛み」は、様子を見すぎず、速やかな受診を検討してください。

よくある質問

Q:急性膵炎は背中だけ痛むこともありますか?

はい。急性膵炎ではみぞおちの痛みだけでなく、背中にひびくような痛みとして感じることがあります。背部痛だけが目立つこともあるため注意が必要です。【1】【2】【3】

 

Q:飲みすぎた翌日の背中痛は、すべて急性膵炎ですか?

いいえ。筋肉痛や胃腸炎のこともありますが、急性膵炎、胆石の病気、大動脈解離など緊急性の高い病気が隠れていることもあります。強い痛みや冷や汗がある場合は早めの受診が大切です。【4】【5】

 

Q:急性膵炎の診断は何で決まりますか?

典型的な痛み、膵酵素上昇、画像異常のうち2項目以上を満たすことが基本です。血液検査と腹部エコー、必要に応じてCTやMRIを組み合わせて判断します。【1】【2】

 

Q:腹部エコーでも急性膵炎はわかりますか?

はい。膵臓の腫れや周囲の変化、胆石の有無などを確認するのに役立ちます。ただし、状態によってはCTなどの追加検査が必要になることもあります。【1】【2】

 

Q:急性膵炎は入院が必要ですか?

軽症であっても慎重な経過観察が必要で、病状によっては入院管理が必要になります。重症化が疑われる場合は、モニター管理や集中治療が必要になることもあります。【1】【2】

 

Q:急性膵炎では食事はいつから再開しますか?

痛みや吐き気、腸の動きなどをみながら判断します。最近は、状態が落ち着いた軽症例では、必ずしも長い絶食を続けず、早めに食事を再開する考え方もあります。【1】【2】

 

Q:アルコール性急性膵炎はまた再発しますか?

はい。飲酒が続くと再発しやすく、慢性膵炎へ進むリスクもあります。再発予防のためには禁酒・節酒がとても重要です。【1】【2】

 

Q:胆石でも急性膵炎になりますか?

はい。急性膵炎の原因として胆石は非常に多く、代表的な原因のひとつです。そのため、急性膵炎では胆石の有無を確認することが大切です。【1】【2】

 

Q:若い人でも急性膵炎になりますか?

はい。30代など比較的若い世代でも起こります。とくに飲酒歴、胆石、脂質異常症、薬剤などが関係することがあります。【1】【3】

 

Q:どんなときは救急受診を考えたほうがよいですか?

背中やみぞおちの激痛、冷や汗、繰り返す嘔吐、息苦しさ、黄疸、ふらつきがあるときは、救急受診を考えてください。急性膵炎だけでなく、心筋梗塞などの緊急疾患も鑑別が必要です。【3】【4】【5】

まとめ

背中の激痛と冷や汗は、単なる疲れや寝違えではなく、急性膵炎のような早めの対応が必要な病気のサインであることがあります。

今回の症例では、血液検査と腹部エコーで急性膵炎を疑い、速やかに高次医療機関へ紹介したことで、重症化を避けて改善につなげることができました。

特に飲酒後の強い背中の痛み、みぞおちの痛み、吐き気、冷や汗がある場合は、我慢しすぎず早めにご相談ください。

早めの診断が、その後の経過を大きく左右します。【1】【2】【3】

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逆流性食道炎由来の背部痛についてはこちら
胆石・胆のう炎由来の背部痛についてはこちら
膵がん由来の背部痛についてはこちら
胆のうや膵臓・十二指腸・逆流性食道炎が関連した背中の痛みの実例はこちら
腹部エコー検査についての詳細はこちらからご確認いただけます

参考文献

  1. Tenner S, Vege SS, Sheth SG, et al. American College of Gastroenterology Guidelines: Management of Acute Pancreatitis. Am J Gastroenterol. 2024;119(3):419-437.
  2. 急性膵炎診療ガイドライン2021第5版.
  3. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Pancreatitis.
  4. CDC. About Heart Attack Symptoms, Risk, and Recovery.
  5. 名古屋市立大学医学部附属東部医療センター. 重症急性膵炎.

医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、

消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、

内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

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