お腹の張り・便秘が続く…大腸がんの可能性は?受診の目安を解説
お腹の張りや便秘はよくある症状ですが、なかには大腸がんがきっかけで起こっていることがあります。
大腸がんは早期には自覚症状が乏しいことも多い一方、進行すると腸が狭くなり、便秘、便が細い、残便感、お腹の張りなどが出てくることがあります【1】。
日本でも大腸がんは多いがんで、2023年には154,039例が新たに診断されています【5】。
もちろん、便秘や腹部膨満感があるからといって、すぐに大腸がんと決まるわけではありません。
実際には、便秘やお腹の張りはさまざまな原因で起こります。
ただし、「最近になって便秘が続く」「いつもと違う張り感がある」「便通の変化が長引く」といった変化は見逃さず、自己判断で長く様子を見ないことが大切です【6】【7】。
本記事ではお腹の張りや便秘と大腸がんの関係や、その他に可能性のある疾患、受診のタイミングについて、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
お腹の張りや便秘でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
お腹の張り・便秘で大腸がんが見つかることはある?
あります。
大腸がんが進行すると、腸が狭くなることで便秘や下痢、便が細くなる、便が残る感じがする、お腹が張るといった症状が現れることがあります【1】。
特に注意したいのは、もともと便秘気味だった方よりも、これまでと違う便秘が新しく始まった場合や、お腹の張りが強くなってきた場合です。
大腸がんでは、血便が目立たず、便秘や張り感、便が出切らない感じから発見につながることもあります【1】【6】。
なぜ大腸がんでお腹の張りや便秘が起こるのか
大腸がんで便秘やお腹の張りが起こる主な理由は、腫瘍によって腸の内側が狭くなり、便やガスが通りにくくなるためです。
さらに進行すると、便やガスがほとんど通らなくなり、腸閉塞の状態に近づくことがあります。
その場合は、便が出ない、ガスが出ない、腹痛が強い、吐き気や嘔吐がある、といった症状が出てきます【1】【8】。
こんな症状があれば早めの受診をおすすめします
お腹の張りや便秘だけでも受診理由になりますが、次のような変化がある場合は、より早めの確認が大切です。
1.便秘や張りが続く
便秘など便通の変化が2週間以上続く場合は受診の目安です。
2.便が細い、残便感がある
大腸がんで腸が狭くなると、便が細くなったり、出てもすっきりしない感じが続いたりすることがあります【1】。
3.血便、黒っぽい便、暗赤色の便がある
大腸がんでは血便が比較的よくみられる症状です【1】。
4.腹痛、体重減少、貧血っぽさがある
大腸がんでは、腹痛、意図しない体重減少、疲れやすさ、貧血症状がみられることがあります【1】【6】【7】。
5.便もガスも出ない、吐き気や嘔吐がある
この場合は腸閉塞の可能性があり、急いで受診したいサインです【1】【8】。
症状があるときは「検診」ではなく「受診」です
「便秘が続くなら、まず便潜血検査で様子を見ればよいのでは」と考える方もいますが、症状がある場合は考え方が少し違います。
便潜血検査は、症状のない方の検診として大切な検査ですが、症状がすでに出ている場合は、必要に応じて大腸カメラなどの精密検査で原因を直接確認することが重要です【2】【3】。
お腹が張る・便秘で考えられる大腸がん以外の主な原因
お腹の張りや便秘は実際には大腸がん以外にもさまざまな原因があります。
便秘そのものはとても一般的な症状で、生活習慣の影響、腸の機能異常、薬剤、内分泌の病気などでも起こります。
腹部膨満感も、便秘や過敏性腸症候群などでよくみられます。
1.機能性便秘・生活習慣による便秘
もっともよくみられる原因のひとつが、機能性便秘や生活習慣に関連した便秘です。
水分不足、食事内容の変化、運動不足、排便を我慢する習慣、旅行や生活リズムの変化、加齢などで便が出にくくなることがあります。
2.過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群でも、お腹の張り、ガス、腹痛、便秘、下痢、あるいはその両方がみられます。検査で大きな異常が見つからないことが多い一方、症状は慢性的に続くことがあります。
3.薬の影響
薬剤性の便秘もよくあります。新しく薬を始めてから便秘や張りが強くなった場合は、薬の影響も考えます。
4.甲状腺機能低下症などの全身の病気
腸の動きは全身状態の影響も受けるため、甲状腺機能低下症のように体の代謝が落ちる病気では便秘が起こることがあります。
5.大腸の機能低下・通過障害
大腸そのものの動きが遅い、あるいは便をうまく出せないタイプの通過障害・排便障害でも、便秘とお腹の張りが起こります。
6.腸閉塞など緊急性のある状態
頻度は高くありませんが、腸閉塞のように便やガスが通らなくなる状態でも、お腹の強い張りと便秘が起こります便もガスも出ない、吐き気や嘔吐がある、腹痛が強い場合は、早めの受診が必要です
このように、お腹の張りや便秘には大腸がん以外にもさまざまな原因があります。
そのうえで、最近始まった便秘、お腹の張りが強くなってきた、便が細い、血便があるといった場合は、大腸がんを含めた確認が大切です
必要な検査・治療
張りや便秘は前述のように大腸がん以外でも起こり得るため、まずは症状の経過や便の変化、血便の有無、体重減少の有無などを確認し、
そのうえで、必要に応じて肛門からの診察や大腸内視鏡検査を行い、がんかどうかを調べます【3】。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸内視鏡検査では、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく観察できます。病変が見つかった場合には、組織を採取して病理診断を行い、がんかどうかを確定します【3】。
実際の内視鏡画像
大腸がんにより大腸の内腔が狭窄し(黄色矢印部分)、便やガスの流れが滞り、お腹の張りの原因となっていました。
大腸がんだった場合の治療
大腸がんの治療は、がんの深さや広がり、転移の有無、全身状態などをもとに決まります【4】。
0期からⅢ期で切除可能な場合は、内視鏡治療または手術が基本になります。また、Ⅲ期や再発リスクが高いⅡ期では、手術後に薬物療法を追加することがあります【4】。
Ⅳ期では、転移巣が切除できるかどうか、原発巣による症状があるかどうかなどを踏まえて、手術、薬物療法、放射線治療などを組み合わせて治療を考えます【4】。
実際の治療例
「お腹が張ってるけどそのうち治るだろう」「ちょっと便秘気味なだけ」と思っていた症状の背景に、大腸がんが隠れていることがあります。
特に、2週間以上続く、便が細くなっている、残便感がある、血便、貧血を伴う場合は、早めに原因を確認することが大切です。
以下は実際に当院で診療した症例です。
▶50代女性|お腹の張りが続く・便がすっきり出ないという症状から見つかったS状結腸がん
▶40代女性|「IBSだから様子見」は危険?おなかの張りが悪化…大腸カメラで“大腸がん狭窄”が見つかった実例
▶50代男性|お腹が張って吐いてしまう…原因は大腸がんによる“がん性腸閉塞”の実例
院長コメント
お腹の張りや便秘は、日常診療でもとてもよくみる症状です。そのため、「便秘くらいで受診してよいのかな」と迷う方も少なくありません。
ですが、大腸がんでも、血便より先に便秘や腹部膨満感、便が細いといった変化が目立つことがあります【1】【6】。
特に、最近になって便秘が強くなった方、お腹の張りが続く方、便の形や回数が変わった方は、早めに一度ご相談ください。
便秘薬で一時的に便が出ても、原因確認が必要なケースはあります。症状があるときは、検診を待つより、診察のうえで必要な検査につなげることが大切です【2】【3】。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、最短で当日中に大腸カメラをお受け頂ける体制を整えています。
また鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。是非ご相談ください。
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※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q:便秘とお腹の張りだけでも、大腸がんのことはありますか?
あります。大腸がんが進行すると、腸が狭くなることで便秘、お腹の張り、便が細い、残便感などがみられることがあります。ただし、これらの症状だけで大腸がんと決まるわけではないため、症状が続くときは大腸カメラなどで確認することが大切です【1】【3】。
Q:血便がなくても、大腸がんのことはありますか?
あります。大腸がんでは血便がよくみられますが、便秘、便が細い、残便感、お腹の張り、腹痛、体重減少などから見つかることもあります【1】【6】【7】。
Q:どのくらい続いたら受診した方がよいですか?
便通の変化やお腹の張りが2週間以上で続く場合は受診をお勧めします。
Q:便が細くなっていなければ、大腸がんの可能性は低いですか?
便が細くなることは大腸がんのひとつのサインですが、それがないから否定できるわけではありません。血便、残便感、腹痛、体重減少、貧血など、ほかの症状から見つかることもあります【1】【6】【7】。
Q:市販の便秘薬で便が出れば、様子を見てもよいですか?
一時的に便が出ても、原因が解決しているとは限りません。最近始まった便秘やお腹の張りが続く場合、あるいは便の形や回数が変化している場合は、症状の原因を確認するため受診をおすすめします【2】【3】。
Q:お腹が張って、ガスも出にくいのは危険ですか?
はい。お腹の強い張りに加えて、ガスが出ない、便が出ない、腹痛が強い、吐き気や嘔吐がある場合は、腸閉塞の可能性があり、早めの受診が必要です【1】【8】。
Q:症状がある場合も、まず便潜血検査を受ければよいですか?
症状がある場合は、検診として便潜血検査を受けるより、医療機関を受診して必要な精密検査につなげることが大切です。がん情報サービスでも、血便や腹痛、便通変化などの症状がある場合は、検診ではなく受診するよう案内されています【2】。
Q:どんな検査をしますか?
大腸がんが疑われる場合は、症状の確認に加えて、大腸カメラ(内視鏡検査)で病変の有無を確認し、必要に応じて組織を採取して診断します。その後、CTやMRIなどで広がりや転移の有無を調べます【3】。
Q:大腸がんだったら、必ず手術になりますか?
必ずしも全員が手術になるわけではありません。早期であれば内視鏡治療が選択されることがあり、進行度や転移の有無によっては、薬物療法や放射線治療を組み合わせて治療を考えます【4】。
Q:若い人でも、お腹の張りや便秘から大腸がんが見つかることはありますか?
あります。大腸がんは年齢とともに増え、40歳代から罹患が増えるとされていますが、若い世代でも起こらないわけではありません。年齢だけで安心せず、続く症状があれば相談が大切です【2】【6】。
まとめ
お腹の張りや便秘はありふれた症状ですが、最近始まった便秘、続く腹部膨満感、便が細い、残便感がある、血便や体重減少を伴うといった変化があるときは、大腸がんを含めた確認が必要です【1】【6】【7】。
特に、便もガスも出ない、強い腹痛、吐き気や嘔吐がある場合は、腸閉塞の可能性があり急ぎの受診が必要です【1】【8】。
症状があるときは検診ではなく、まず医療機関で相談し、必要に応じて大腸カメラや画像検査につなげていくことが大切です【2】【3】。
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関連ページ
大腸がんの症状について
大腸がんは、お腹の張り以外にも、血便、便が細い、便秘、、貧血、腹痛など、さまざまな症状で見つかることがあります。全体像を知りたい方は、「大腸がんの症状は?」もご覧ください。
大腸カメラ(内視鏡について)
医師紹介:神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
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参考文献
【1】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」
【2】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
【3】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん) 検査」
【4】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん) 治療」
【5】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸(がん統計)」
【6】Mayo Clinic “Colon cancer - Symptoms and causes”
【7】NHS “Symptoms of bowel cancer”
【8】国立がん研究センター がん情報サービス「便秘」


