冬に感染性腸炎が増える理由とは?原因・症状・検査・治療を専門医が徹底解説
「冬になると胃腸炎が流行する」とよく聞きますが、実際に毎年11〜2月頃は感染性腸炎の患者さんが大幅に増加します。
特に嘔吐・下痢を急に発症するタイプは冬季に多く、職場や学校、家庭内で集団発生することも珍しくありません。
この記事では
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冬に感染性腸炎が増える医学的な理由
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どのような症状が出るのか
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必要な検査
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治療と注意点
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受診のタイミング
を、専門医がわかりやすく解説します。
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🔷概要:感染性腸炎とは
ウイルスや細菌が腸に炎症を起こすことで、急な下痢・嘔吐・腹痛が出る病気です。
冬に増える代表が「ノロウイルス腸炎」で、夏に多いのは「細菌性腸炎(サルモネラ・カンピロバクター・腸炎ビブリオなど)」です。
しかし、冬でも細菌性腸炎は一定数発生し、とくにカンピロバクターは冬にも増える傾向があります【1】。
🔷冬の時期に感染性腸炎が増える原因
① 低温・乾燥環境でウイルスが活性化
冬は空気が乾燥し、ウイルスが飛散・長時間生存しやすくなります。
特にノロウイルスは非常に環境耐性が強く、低温ほど活発に感染力を維持します【1】。
② 人の活動が室内中心になり、密になりやすい
暖房の効いた部屋は乾燥しやすく、ウイルスが飛びやすい環境です。
人が密になり、接触機会が増える冬は感染が広がりやすくなります。
③ 食中毒の原因菌(カンピロバクターなど)が冬に増える
一般的に細菌性腸炎は夏が多いと言われますが、カンピロバクターは冬に増加すると報告されています【2】。
理由は、
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鶏の体内で冬に菌が増えやすい
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冬は加熱不足料理(鍋・焼き鳥)を食べる機会が増える
ことが原因と考えられています。
④ 免疫力が低下しやすい季節
寒さ・自律神経の乱れ・睡眠不足が重なると、腸の免疫も低下します。
普段なら軽症で済む感染も、症状が強くなりやすい傾向があります。
🔷症状
感染性腸炎でよく見られる症状は以下です:
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突然の吐き気・嘔吐
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下痢(水様便)
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腹痛・腹部膨満
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発熱(細菌性に多い)
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倦怠感
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血便(カンピロバクター/赤痢菌などでみられることあり)
ウイルス性の場合は「嘔吐を伴うことが多い」、細菌性の場合は「腹痛と下痢が強い」ことが多いです。
🔷鑑別疾患
冬の嘔吐・下痢だからといって、すべてが胃腸炎とは限りません。
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急性虫垂炎
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虚血性腸炎
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大腸憩室炎
- 潰瘍性大腸炎
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腸閉塞
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膵炎
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胆のう炎
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COVID-19(コロナ)・インフルエンザ
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過敏性腸症候群(感染後)
これらも似た症状を起こすため、症状が強い・長引く場合は早めに受診をおすすめします。
🔷必要な検査
当院では症状に応じて以下を行います:
血液検査(炎症の有無・脱水の評価)
白血球・CRPなどで炎症の度合いを確認。
腹部エコー
小腸炎・大腸炎・虫垂炎・胆のう炎との鑑別に有用。
便培養 / 便PCR
細菌性腸炎(カンピロバクター・サルモネラ等)の診断に有用。
大腸内視鏡(大腸カメラ)
潰瘍性大腸炎や虚血性腸炎などの感染以外の大腸炎との鑑別が必要な際に行います。
🔷治療
感染性腸炎の治療は原因によって異なります。
● ウイルス性腸炎
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脱水補正(経口/点滴)
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整腸剤
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食事療法
抗生物質は不要で、対症療法が中心となります。
● 細菌性腸炎(カンピロバクター・サルモネラなど)
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整腸剤
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脱水補正
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症状に応じて抗生物質(重症例・高熱・血便の場合)※カンピロバクターは抗菌薬で症状が早く改善することが多い【3】
💡 下痢止めは注意
細菌性腸炎では症状が悪化するため、市販の下痢止めは原則使用しません。
🔷実際の症例
【症状】
- 5日ほど前から発熱と腹痛と水下痢
- 近くの内科を受診し胃腸炎と診断され整腸剤の処方されるも、改善しないとのことで当院を受診。
【診察】
触診では下腹部に痛みがあり、水下痢が1日10回以上
発熱を伴っていたこと・症状が長引いていることから細菌性の感染性腸炎を疑い、腹部エコーと血液検査を施行。
【検査】
血液検査
・炎症反応の上昇
腹部エコー
・右大腸中心に炎症像を認める。
水色矢印の範囲で大腸が浮腫み粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)
【診断・治療】
右中心に起こる急性の大腸炎はカンピロバクターや病原性大腸菌による細菌感染が多く、主に食中毒が原因。
発症の4日前に鶏の刺身を食べたとのことで、カンピロバクター腸炎を考え治療を行いました。
治療内容
①内服治療;整腸剤・漢方薬➡下痢・腹痛といった胃腸炎症状を和らげます。
②抗生剤➡カンピロバクター菌に対して使用します。
③食事指導➡水分摂取はOS1やポカリスエットなどの体に吸収されやすいもの、食事はおかゆなどの消化しやすいもの
【経過】
治療開始後3日目くらいから次第に和らぎ、5日後ににはほぼ改善。
🔷院長からのコメント
冬は「ノロウイルスだけが増える」と思われがちですが、実際には細菌性腸炎も同時に増加します。
初期に受診し治療を行うことで早期に改善が見込めます。
また、
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長引く
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発熱が強い
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血便がある
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脱水気味
といった場合は潰瘍性大腸炎などの別の病気が隠れていることもあります。
症状がある際に我慢せず、早めにご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
関連ページ
▶【実際の治療例】「急性胃腸炎」と診断されたが治らない腹痛と血便…実は虚血性腸炎だった
🔷よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ冬に胃腸炎が多いのですか?
A. ウイルスが低温で活性化すること、乾燥で飛散しやすいこと、室内で人が密になりやすいことが理由です【1】。
Q2. ノロウイルスと細菌性腸炎の違いは?
A. ノロは嘔吐が多く、細菌性は腹痛・血便が特徴です。
Q3. 冬でも細菌性腸炎はありますか?
A. カンピロバクターは冬に増えることが知られています【2】。
Q4. いつ受診すべき?
A. 半日以上水が飲めない・発熱・血便・強い腹痛がある場合は受診を推奨します。
Q5. 検査は何を行いますか?
A. 血液検査・エコー・大腸内視鏡などで原因を調べます。
Q6. 下痢止めは使っていい?
A. 細菌性の可能性があるため市販薬下痢止めの使用は推奨しません。
Q7. 家族にうつりますか?
A. ノロウイルスは非常に感染力が強いため、家庭内感染が多いです。
Q8. どんな食事が良いですか?
A. ゼリー食やプリン、おかゆ・うどん・卵料理など、繊維質の少ない消化の良い食事を。
Q9. 感染後に過敏性腸症候群になることもありますか?
A. 10〜30%で起こると言われています【4】。
🔷まとめ
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冬はウイルス・細菌ともに腸炎が増える季節
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嘔吐主体はノロ、腹痛・血便は細菌性に多い
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鑑別にエコー・血液検査・便PCRが有用
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脱水に注意、細菌性では抗生物質を検討
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長引く症状は過敏性腸症候群への移行に注意
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🔷医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
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🔷参考文献
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厚生労働省 感染症発生動向調査(ノロウイルス流行状況)
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Foodborne Pathogens and Disease. Seasonal Prevalence of Campylobacter Infection.
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Clinical Infectious Diseases. Campylobacter enteritis treatment.
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Gastroenterology. Post-infectious IBS incidence.
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
