冷や汗が出るほどの腹痛と血便の原因は?|虚血性腸炎と診断された50代女性
「急にお腹が強く痛くなった」
「何度も下痢をして、途中から血が混じってきた」
このような症状が出ると、食あたりや一時的な腸炎と思ってしまう方も少なくありません。
しかし、突然の腹痛に下痢や血便を伴う場合には、虚血性腸炎のように早めの診断が必要な病気が隠れていることがあります【1】【2】。
虚血性腸炎は、特に左側のお腹の痛み、下痢、血便という組み合わせで疑われやすく、感染性腸炎や潰瘍性大腸炎などとの見分けも大切です【1】【3】。
今回は、冷や汗が出るほどの激しい下腹部痛、下痢、血便をきっかけに当院を受診され、虚血性腸炎と診断した50代女性の実際の治療経過を専門医の院長がご紹介します。
突然の下痢・腹痛・血便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|50代女性「激しい腹痛と下痢・血便」
症状
前日の夕食後3時間ほどしてから、冷や汗が出るほどの突然の強い下腹部痛が出現しました。
その後しばらくして水下痢が始まり、夜間に数回くり返しました。さらに途中から血便も伴うようになったため、翌朝に当院を初診されました。
診察
診察では、左下腹部に強い圧痛を認めました。
急な腹痛のあとに便意が強くなり、下痢や血便が続くという症状の出方と圧痛部位から、まず虚血性腸炎を強く疑いました。
ただし、腹痛・下痢・血便という症状はは次のような病気でも起こりえます。
-
感染性腸炎
-
潰瘍性大腸炎
-
憩室炎・憩室出血
-
大腸がんや狭窄性病変
-
薬剤性腸炎 など
正しく状態を把握し、治療方針を立てるため腹部エコー検査を行いました。
検査

下行結腸のエコー画像です。 水色矢印の範囲で腸管が炎症により浮腫み、粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)
この画像所見と症状から虚血性腸炎と診断しました。
関連ページ:
▶エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
虚血性腸炎とは
虚血性腸炎とは、大腸の一部に一時的な血流低下が起こり、粘膜に炎症やむくみ、出血を生じる病気です【1】【2】。
どの部位にも起こり得ますが、左側結腸に多く、左下腹部痛として出やすいのが特徴です【2】【3】。
背景としては、
-
脱水
-
血圧低下
-
動脈硬化
-
便秘や腸管内圧の上昇
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心血管系の基礎疾患
-
一部の薬剤
などが関与することがあります【1】【3】。また、高齢者や女性に比較的多いことも知られています【1】【2】。
「血便が出たから重い病気に違いない」と不安になる方は多いのですが、虚血性腸炎には比較的軽く自然軽快するタイプも少なくありません。
一方で、右側結腸の病変や、壊死・穿孔・狭窄を伴う重症例では、入院や手術が必要になることもあります【2】【4】。
関連ページ:
専門医の院長による虚血性腸炎のさらに詳しい解説は【▶こちら】
治療
この患者さんでは、血液検査で炎症反応は軽度上昇のみでした。
また、血便による強い貧血や、炎症による腸閉塞、腹膜刺激症状などの重症所見を認めなかったため、入院ではなく外来で慎重に経過を見る方針としました。
治療としては、
-
食事制限
-
痛みや炎症に対する内服治療
-
脱水や全身状態の悪化がないかの経過観察
を行いました。
虚血性腸炎の治療は重症度で異なりますが、軽症では腸を休める・水分を補う・原因薬剤や基礎疾患を見直すといった保存的治療が基本です【1】【4】。
軽症例では2~3日ほどで症状が改善していくことも多い一方、壊死・穿孔・狭窄などを伴う場合は手術が必要になります【2】【4】。
治療経過
その後、痛みは翌日にはかなり改善しました。
食事制限も症状をみながら徐々に解除し、再燃なく治療完了となりました。
虚血性腸炎では、症状が落ち着けば比較的短期間で回復することもありますが、診断が遅れると重症化することがあるため、最初の見極めがとても重要です【1】【2】。
治療後に大腸カメラが必要な理由
虚血性腸炎が落ち着いたあとも、本当に虚血性腸炎だけだったのか、あるいはほかに大腸ポリープ・大腸がん・慢性炎症性疾患が隠れていないかを確認することが大切です。
そのため、当院では症状が改善したあとに大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を勧めています。
実際に当院でも大腸がんが原因で虚血性腸炎を発症していた方もおられます。
院長からのコメント
虚血性腸炎は、急な腹痛・下痢・血便というインパクトの強い症状が出るため、患者さんご本人もとても不安になります。
実際には、しっかり診察と検査を行えば外来で改善するケースも少なくありません。
ただし、似た症状を示す病気の中には、感染性腸炎、炎症性腸疾患、憩室炎、大腸がんなど、対応が異なる病気も含まれます。
血便を伴う腹痛は、自己判断で様子を見るより、まず消化器内科で評価を受けることが大切です。
特に、
-
痛みが強い
-
何度も下痢が続く
-
血便が増える
-
発熱やふらつきがある
-
水分がとれない
このような場合は、早めの受診をご検討ください。突然の強い腹痛や血便は早急な評価が必要です。
💡巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、血便・下痢・腹痛に対して当日中に検査・診断できる体制を整えています。
是非ご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ )
Q. 虚血性腸炎はどんな症状で疑いますか?
A. 典型的には、突然の腹痛のあとに下痢や血便が出るパターンです。特に左下腹部痛を伴うことが多く、食あたりや感染性腸炎と見分けがつきにくいことがあります【1】【2】。
Q. 血便が出たら、必ず虚血性腸炎ですか?
A. いいえ。感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室出血、大腸ポリープ、大腸がんなどでも血便は起こります。症状だけで断定せず、診察と検査で原因を見極めることが大切です【1】【5】。
Q. 虚血性腸炎は食あたりとで症状はどう違うのですか?
A. 食あたりでも腹痛や下痢は起こりますが、虚血性腸炎では突然の強い腹痛に続いて血便が出ることがあります。左下腹部の強い圧痛が手がかりになることもあります【1】【3】。
Q. 虚血性腸炎はなぜ起こるのですか?
A. 大腸の血流が一時的に低下することで起こります。脱水、血圧低下、動脈硬化、便秘、基礎疾患、一部の薬剤などが背景に関わることがあります【1】【3】。
Q. 腹部エコーでも虚血性腸炎は分かりますか?
A. 左大腸の腸管壁の肥厚や浮腫などが見え、症状と合わせて診断することが可能です。
Q. 入院しないと治せませんか?
A. すべてが入院になるわけではありません。全身状態が安定し、貧血や腸閉塞、腹膜炎などの重症所見がなければ、外来で慎重に経過をみられることもあります。一方で、重症例では入院や手術が必要です【1】【4】。
Q. どれくらいで治りますか?
A. 軽症では2~3日ほどで症状が改善し始めることがあります。ただし、症状の強さや範囲によって経過は異なるため、自己判断せず医師の指示に従うことが大切です【4】。
Q. 虚血性腸炎は再発しますか?
A. 多くの方は一度で落ち着きますが、再発することもあります。脱水や便秘、原因となる薬剤、基礎疾患の管理が大切です【2】【3】。
Q. 症状が治まったあとに大腸カメラは必要ですか?
A. はい、必要になることがあります。治癒確認に加えて、ポリープや大腸がん、ほかの慢性腸炎が隠れていないかを確認する目的があります【4】。
Q. どんなときはすぐ受診した方がいいですか?
A. 冷や汗が出るほどの強い腹痛、血便の持続、発熱、ふらつき、水分がとれない、痛みがどんどん悪化する場合は早めの受診が必要です【1】【4】。
まとめ
突然の激しい腹痛、下痢、血便は、食あたりだけでなく虚血性腸炎のサインであることがあります。
虚血性腸炎は適切に診断できれば外来で改善するケースもありますが、似た症状を示す別の病気も多く、重症例では入院や手術が必要になることもあります【1】【4】。
特に、
-
急にお腹が強く痛くなった
-
下痢をくり返した
-
血便が出た
-
痛みが強くて冷や汗が出る
-
便が落ち着いても不安が残る
このような方は、早めにご相談ください。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、問診・診察・腹部エコー・必要に応じた大腸カメラを組み合わせて、原因を丁寧に見極めています。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
関連ページ
参考文献
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Brandt LJ, Feuerstadt P, Longstreth GF, et al. ACG clinical guideline: epidemiology, risk factors, patterns of presentation, diagnosis, and management of colon ischemia (CI). Am J Gastroenterol. 2015;110(1):18-44. doi:10.1038/ajg.2014.395
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Ahmed M. Ischemic bowel disease in 2021. World J Gastroenterol. 2021;27(29):4746-4762. doi:10.3748/wjg.v27.i29.4746
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Trotter JM, Hunt L, Peter MB. Ischaemic colitis. BMJ. 2016;355:i6600. doi:10.1136/bmj.i6600
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Xu Y, Xiong L, Li Y, et al. Diagnostic methods and drug therapies in patients with ischemic colitis. Int J Colorectal Dis. 2021;36:47-56. doi:10.1007/s00384-020-03739-z
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Ripollés T, Simó L, Martínez-Pérez MJ, et al. Sonographic findings in ischemic colitis in 58 patients. AJR Am J Roentgenol. 2005;184(3):777-785. doi:10.2214/ajr.184.3.01840777
参考文献の書誌情報と、症状・診断・治療・超音波所見の要点は上記ソースで確認しました
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
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