実際の治療例 “うつ病の治療中・食欲がわかない”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
30代女性 うつ病の治療中 食欲がわかない
【症状】
軽度のうつ病と診断され心療内科にて治療中の方。
うつ病自体は薬で安定しているものの、以前と比べて食欲がわかず量も食べれないとのことで来院されました。
【診察】
食欲不振はうつ病からもおこりますが、うつ病自体は現在は落ち着いているとのことで消化器系や甲状腺などの他の病気の可能性や、薬の副作用などを考えました。
【検査】
まずは、実際に症状を起こすような病気がないかをチェックするため血液検査や腹部レントゲン・腹部エコー・胃カメラなどの検査を行いました。
腹部エコーでも肝胆膵などの上腹部の臓器に異常は認めず、また胃の中の病変のチェックのため胃カメラも行いましたが、ピロリ菌もなく症状の原因となる病変はない状態でした。
血液検査でも甲状腺の異常などは認めませんでしたが、腹部レントゲンでは胃や大腸にガスの貯留を認めました。
【治療】
検査結果からは、病気というよりも向精神病薬の副作用による食欲不振を考えました。
向精神病薬の服用によって胃や腸の動きが落ち、食欲不振や腹部のガス貯留が起こることがあります。
薬の副作用を考える場合、通常は内服の中止を検討することがほとんどですが、今回うつ病に対して使用している向精神病薬については心療内科の主治医から「状態が安定してきているのでしばらくは継続する方がよい」とのことで中止は難しい状態でした。
ですので、今回は心療内科の薬を継続したまま治療を行うこととし、前述のように胃の動きの低下といった機能の調整不良が薬の影響でおこるため、胃の機能改善薬などを用いて治療を行いました。
また、胃の動きを改善する漢方も有効なことが多いのですが、ご本人が漢方は飲みにくいのでできれば飲みたくないとのことで、胃の動きを改善する生薬を含んだ当院のオリジナルサプリ“i-katsu”を試してみることとしました。(サプリは錠剤なので服用できるとのことでした。)
※関連ページ:・胃腸内科が作ったサプリ「i-katsu」
<治療内容>
1.胃運動機能改善薬
胃の蠕動運動を促進することで、低下した機能を改善し食欲を回復させます。
2.サプリ
i-katsuの成分で生薬の生薬のダイダイ・萊菔子(ライフクシ)には、蠕動を促進し胃の動きを改善させ食欲を増進させる効果があります。
【経過】
治療開始後、徐々に食欲は出てきて、食べれる量も増えてきたとのことでした。
心療内科の薬もあるので、できれば薬はあまり飲みたくないとのことで、胃薬はいったん中止しサプリを継続してもらうこととしましたが、その後も食欲は維持できており、心療内科の薬は服用を続けつつ、サプリを併用し様子を見ています。
※i-katsuを使った他の治療例は “i-katsuの治療例” からご覧いただけます。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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