実際の治療例 “お尻から血が出る(直腸ポリープ)”
「排便のたびにお尻から血が出る」「トイレットペーパーに赤い血がつく」「痔と言われたけれど出血が続いている」
このような症状があると、多くの方はまず「痔かな?」と考えます。実際、排便時の出血の原因として痔はとても多い病気です。
しかし、お尻から血が出る症状は、痔だけでなく、大腸ポリープ・直腸ポリープ・大腸がん・大腸炎などでも起こることがあります。
特に、痔の治療をしても出血が続く場合や、便に血が混じる症状を繰り返す場合には、肛門だけでなく大腸の中まで確認することが大切です。
今回は、近くの肛門科で「痔」と診断されたものの出血が続き、当院で大腸カメラを行ったところ、20mm大の直腸ポリープが見つかった30代男性の実際の治療例をもとに、「お尻から血が出る原因」と「受診の目安」について専門医の院長が分かりやすく解説します。
お尻からの血便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
お尻からの出血を起こす主な原因
お尻から血が出る、排便時に赤い血がつく、トイレットペーパーに血がつくといった症状では、まず痔を思い浮かべる方が多いと思います。
ただし、血の色や量だけで原因を正確に判断することは難しく、見た目が鮮血でも大腸や直腸の病気が隠れていることがあります。
| 原因 | 特徴 |
|---|---|
| 痔・裂肛 | 排便時に鮮血が出ることが多く、痛みを伴うこともあります。 |
| 直腸ポリープ・大腸ポリープ | ポリープが便とこすれて出血することがあります。自覚症状が少ないこともあります。 |
| 大腸がん・直腸がん | 血便、便が細い、便秘や下痢、残便感、貧血、体重減少などを伴うことがあります【4】。 |
| 大腸炎 | 腹痛、下痢、粘液便、発熱などを伴うことがあります。 |
| 憩室出血 | 痛みが少ないまま、多めの血便が出ることがあります。 |
血便の原因や受診の目安について詳しく知りたい方は、以下のページもご参照ください。
直腸ポリープとは?
直腸ポリープとは、大腸の一番肛門に近い部分である「直腸」の粘膜にできる隆起性の病変です。
大腸ポリープの多くは自覚症状がありませんが、直腸は便が通過する場所であり、肛門にも近いため、ポリープの表面が便とこすれて出血することがあります。
そのため、直腸ポリープでは「お尻から赤い血が出る」「便の表面に血がつく」「トイレットペーパーに血がつく」といった症状が出ることがあります。
また、大腸ポリープの中には将来的に大腸がんと関係するものもあり、内視鏡で発見して適切に切除することが、大腸がん予防にもつながると考えられています【1】【2】【3】。
実際の治療例|30代男性「お尻から血が出る」
【症状】
1か月ほど前から、排便に伴って赤い血が出ることが何度かありました。
近くの肛門科を受診したところ「痔」と診断され、座薬で治療を受けました。しかし、その後も出血が続いたため、当院を受診されました。
排便時の出血では痔が原因のことも多いですが、今回のように、痔の治療をしても改善しない場合には、直腸や大腸の病気を確認する必要があります。
【診察】
診察では、まず出血の状況を確認しました。
- いつから出血しているか
- 排便時だけか、排便と関係なく出るか
- 血の色は鮮やかな赤か、暗赤色か、黒色か
- 腹痛、下痢、便秘、便が細い、残便感があるか
- 体重減少や貧血を指摘されたことがあるか
- 大腸がん・大腸ポリープの家族歴があるか
今回の方は、すでに痔として治療を受けていたにもかかわらず出血が続いていました。
そのため、内痔核だけでなく、直腸ポリープ、大腸ポリープ、大腸がん、大腸炎などの可能性も考え、大腸カメラ(内視鏡検査)で確認する方針としました。
【大腸カメラ】
内視鏡を行うと、肛門直下にある内痔静脈叢がうっ血=内痔核(肛門の内側の痔疾患)を認めましたが、程度は軽く出血は認めませんでした。
少しスコープを進めると、直腸に20㎜大のポリープを認めました。
うっすらと出血しており、今回の出血の要因と考えられました。
サイズの大きなポリープでしたがNBIというモードで観察し、ガン化してない良性ポリープと診断し、内視鏡的に切除しました。
【治療・経過】
病変の切除後は血便も消失し、病理検査結果も良性ポリープであり、治療完了となりました。
大腸カメラでは、肛門に近い直腸だけでなく、大腸全体を直接観察できます。血便の原因が痔なのか、ポリープなのか、炎症なのか、がんなのかを確認するうえで重要な検査です。
大腸カメラ検査の流れや当院での苦痛軽減の工夫については、以下のページで詳しく解説しています。
お尻から血が出たときの受診の目安
次のような症状がある方は、痔と決めつけず、消化器内科で相談することをおすすめします。
- 排便時に赤い血が出る症状を繰り返す
- トイレットペーパーに血がつく状態が続く
- 痔の薬を使っても出血が改善しない
- 便の表面に血がつく
- 便に血が混じる
- 血便に加えて腹痛や下痢がある
- 便秘や下痢を繰り返している
- 便が細くなった
- 残便感がある
- 貧血を指摘された
- 大腸がん・大腸ポリープの家族歴がある
- 便潜血検査で陽性を指摘された
院長コメント
排便時に赤い血が出ると、多くの方が「痔だろう」と考えます。
もちろん、実際に痔が原因のことは多いです。しかし、今回のように、肛門科で痔と診断されていても、出血の本当の原因が直腸ポリープであるケースがあります。
特に、出血を繰り返す、薬を使っても改善しない、便に血が混じる、便通の変化を伴うといった場合には、大腸の中に原因がないか確認することが重要です。
大腸ポリープや早期大腸がんは、発見が早ければ内視鏡で治療できる場合があります。一方で、症状を放置して進行してしまうと、手術や抗がん剤治療が必要になることもあります。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。
「たぶん痔だと思うけれど、出血が続く」という方は、自己判断せず一度ご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問
Q. お尻から血が出る原因は痔が多いですか?
A. はい、排便時の出血の原因として痔は多い病気です。ただし、痔だけでなく、直腸ポリープ、大腸ポリープ、大腸がん、大腸炎などでも血便が出ることがあります。出血が続く場合は、痔と決めつけず大腸の検査を検討することが大切です。
Q. 痔と大腸ポリープの出血は見分けられますか?
A. 血の色や出血のタイミングだけで完全に見分けることは難しいです。どちらも鮮やかな赤い血として見えることがあります。肛門の診察だけでなく、大腸カメラで直腸や大腸の中を確認して初めて原因がわかることがあります。
Q. 鮮血便でも大腸がんの可能性はありますか?
A. あります。鮮やかな赤い血は肛門に近い場所からの出血で起こりやすいですが、直腸がんやS状結腸がんなどでも鮮血便として出ることがあります。便が細い、残便感、便通異常、貧血、体重減少などを伴う場合は特に注意が必要です。
Q. 直腸ポリープで血便が出ることはありますか?
A. はい、あります。直腸ポリープは肛門に近い場所にできるため、便が通過するときにこすれて出血することがあります。今回の症例でも、20mm大の直腸ポリープの表面からうっすら出血しており、血便の原因と考えられました。
Q. 痔と診断されても出血が続く場合はどうすればよいですか?
A. 痔の治療をしても出血が続く場合は、直腸ポリープ、大腸ポリープ、大腸がん、大腸炎など、肛門以外の原因を確認する必要があります。消化器内科で相談し、必要に応じて大腸カメラを受けることをおすすめします。
Q. お尻から血が出たら大腸カメラは必要ですか?
A. すべての方に必ず必要というわけではありませんが、出血を繰り返す、痔の治療で改善しない、便通異常がある、便潜血陽性を指摘された、家族に大腸がんの方がいる場合などは、大腸カメラで確認することが大切です。
Q. 20代・30代でも大腸ポリープはできますか?
A. できます。大腸ポリープや大腸がんは年齢とともに増えますが、20代・30代でも見つかることがあります。若い方でも、血便が続く場合や家族歴がある場合は、年齢だけで安心せず検査を検討しましょう。
Q. 大腸ポリープはその場で切除できますか?
A. ポリープの大きさ、形、場所、がんを疑う所見の有無などによって異なります。小さなポリープや内視鏡的に切除可能と判断される病変は、その場で切除できることがあります。一方、大きい病変やがんが疑われる病変では、専門的な治療方針を検討する必要があります。
Q. 大腸ポリープを切除した後も検査は必要ですか?
A. 必要です。切除したポリープの病理結果、大きさ、数、形によって、その後の大腸カメラの間隔が変わります。新しいポリープができることもあるため、医師の指示に沿って定期的に経過観察を受けることが大切です。
Q. どのような血便は早めに受診すべきですか?
A. 出血を繰り返す、血の量が多い、便に血が混じる、便が細い、腹痛や下痢を伴う、貧血を指摘された、体重が減っている、便潜血陽性を指摘された場合は早めの受診をおすすめします。特に、痔と思っていても改善しない場合は注意が必要です。
まとめ
お尻から血が出る症状は、痔が原因のことも多いですが、痔だけで説明できない場合もあります。
✔ 排便時の鮮血は、痔だけでなく直腸ポリープでも起こります。
✔ 直腸ポリープは、便とこすれて出血し、血便の原因になることがあります。
✔ 痔と診断されても出血が続く場合は、大腸カメラで確認することが重要です。
✔ 大腸ポリープの中には、大腸がんと関係するものもあります。
✔ 早期に発見できれば、内視鏡で治療できる可能性があります。
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
参考文献
- 日本消化器病学会 編. 大腸ポリープ診療ガイドライン2020 改訂第2版. 南江堂, 2020.
- 日本消化器内視鏡学会. 大腸ESD/EMRガイドライン 第2版. Gastroenterological Endoscopy. 2019.
- Kaltenbach T, et al. Endoscopic Removal of Colorectal Lesions: Recommendations by the US Multi-Society Task Force on Colorectal Cancer. Gastrointestinal Endoscopy. 2020.
- American Cancer Society. Colorectal Cancer Signs and Symptoms.
- Centers for Disease Control and Prevention. Screening for Colorectal Cancer.
- National Cancer Institute. Colorectal Cancer Prevention (PDQ®).
