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実際の治療例【長引く下腹部痛…婦人科で異常なし→実は「過敏性腸症候群」】

[2023.10.15]

「婦人科では異常なしと言われたけれど、下腹部痛が続いて不安…」

そんな悩みを抱えて当院を受診された30代女性の症例をご紹介します。

下腹部痛は、婦人科疾患だけでなく大腸や腸の機能異常が原因のこともあります。

今回は検査で大きな病気が見つからず、過敏性腸症候群(IBS) と診断され、治療により改善した実例です。

症例|30代女性「下腹部痛が続く」

【症状】

学生時代から腹痛が出やすく繰り返しやすい体質でしたが、我慢できる程度だったので特に検査や治療は受けずに様子を見ていました。

ここ数か月間、下腹痛が出てくる頻度が増加し、まず婦人科を受診されましたが異常はなく、消化器内科での診察を勧められ当院を受診されました。

【診察】

診察時には特に痛みはありませんでしたが、特に食後に症状が出ることが多いとのことでした。

婦人科では異常がないとのことで、腹部レントゲン・腹部エコー・大腸内視鏡(大腸カメラ)などの検査を行い消化器疾患の有無をチェックすることとしました。

【検査】

腹部レントゲンでは異常ガスなどはなく、腹部エコーでも痛みの原因となる疾患は認めませんでした。

また、大腸内視鏡も行いましたが、異常は認めず問題ない状態でした。

婦人科でも消化器でも問題は認めないため、過敏性腸症候群による腹痛と考えました。

関連ページ:過敏性腸症候群

【治療】

転職を契機に生活のリズムが変わったり、慣れない仕事にストレスを感じることが多かったのが原因かもしれないとのことでした。

現在はだいぶ仕事に慣れてはきたものの、今は下腹部痛がストレスとなっており、痛みによるストレスが腸の知覚を過敏にし、さらに痛みを感じさせるという悪循環になっていると考えられました。

治療としては、知覚過敏を抑える漢方や整腸剤を使用し経過を見ることとしました。

・整腸剤

腸内細菌のバランスを整えることで、便通や知覚過敏の改善が期待できます。

・漢方薬(人参湯)

食後に症状が出やすいとのことで、食後の腸の蠕動を適度に保ち知覚過敏やお腹の冷えからくるような痛みに効果があります。

【経過】

薬を飲み始めて1週間ほどすると下腹部痛が出現する頻度が減ってきて、1か月ほどで下腹部痛はほぼなくなったとのことでした。

その後は症状が出た時だけ服用して頂くこととしましたが、落ち着いた状態が続いておられます。

症状がストレスになりさらに症状を起こす」という状態であったため、症状の改善とともに安定した状態になったと考えられます。

ただし腹痛がある場合は、過敏性腸症候群以外にも婦人科疾患大腸憩室炎などの他の病気の可能性ももちろんあるため、しっかりと検査で状況を見極めた上で治療を行う必要があります

症状でお悩みの方はお力になれますので一度当院にご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

まとめ

 
  • 下腹部痛は婦人科・消化器の両方で精査が必要

  • IBSはストレスや生活環境の変化が関与することが多い

  • 整腸剤や漢方治療で症状改善が期待できる

  • 他疾患(大腸がん・憩室炎など)を除外するため大腸カメラは重要

「長引く下腹部痛=すぐ婦人科」ではなく、消化器内科の検査で原因が明らかになるケース があります。

お悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

▶【WEB予約

▶お電話:03-5940-3833

よくある質問FAQ

Q1:過敏性腸症候群はストレス以外でも起こりますか?

A:はい。感染性胃腸炎の後に発症する「感染後IBS」も知られています。特に女性・若年層でリスクが高いと報告されています。

感染性胃腸炎を起こした後に約10%程度の方に発症し、実は過敏性腸症候群の1/6程度は感染性胃腸炎が要因となっており、少なくとも胃腸炎後2-3年は過敏性腸症候群の発症のリスクが高いという研究結果があります

Q2:過敏性腸症候群は遺伝しますか?

A:一部の遺伝子(セロトニン関連やTNFSF15)が関連していると報告されています。

Q3:診断には大腸内視鏡が必要ですか?

A:はい。大腸がんや炎症性腸疾患と区別するために、大腸カメラでの除外診断が推奨されます。

過敏性腸症候群の代表的な症状である「腹痛や下痢・頻便感・お腹の渋り感」などは、大腸がん・潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患などの他の病気でも起こりうるため、大腸内視鏡を行い否定しておくことが重要です。

実際に過敏性腸症候群 が疑われている患者さんに大腸内視鏡を行うと約30%に何らかの器質疾患が見つかったというデータもあります。

Q4:過敏性腸症候群は治らない病気ですか?

A:いいえ。投薬や生活習慣の改善により症状をコントロールでき、多くの方で改善します。

また過敏性腸症候群による腹痛や下痢などを抑えることで、症状によるストレスや不安感が軽減され、結果過敏性腸症候群よくなるというパターンも多くみられます。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、

消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、

内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

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所在地

170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

 
参考文献

 

  • Longstreth GF, Hawkey CJ, Mayer EA, et al. Characteristics of patients with irritable bowel syndrome recruited from three sources: implications for clinical trials. Aliment Pharmacol Ther. 2001;15(7):959-964.
  • Thabane M, Kottachchi DT, Marshall JK. Systematic review and meta-analysis: the incidence and prognosis of post-infectious irritable bowel syndrome. Aliment Pharmacol Ther. 2007;26(4):535-544.
  • Barbara G, Grover M, Bercik P, et al. Rome foundation working team report on post-infection irritable bowel syndrome. Gastroenterology. 2019;156(1):46-58.e7.
  • Czogalla B, Schmitteckert S, Houghton LA, et al. A meta-analysis of immunogenetic Case-Control Association Studies in irritable bowel syndrome. Neurogastroenterol Motil. 2015;27(6):717-727.
  • Gu HX, Zhang YL, Zhi FC, et al. Organic colonic lesions in 3,332 patients with suspected irritable bowel syndrome and lacking warning signs, a retrospective case-control study. Int J Colorectal Dis. 2011;26(7):935-940.

 

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