実際の治療例【大腸がん術後の経過観察で発見された“見逃されやすい早期がん”】専門医が解説
大腸がんは「手術して終わり」ではなく、その後の定期的な経過観察がとても重要です。
手術した部位の再発がないかを確認することはもちろんですが、それとは別に、大腸の別の場所に新しいポリープや早期がんができていないかを定期的に確認することも大切です。
実際に、大腸がんの再発や新たなポリープは術後のフォローアップで発見されることが少なくありません。
今回ご紹介するのは、大学病院で手術を受けた30代男性が、術後の定期検査を当院で行った際に、高次医療機関でも見落とされやすい扁平型の早期がん(鋸歯状腺腫由来の早期がん)が見つかった症例です。
特に大腸がん家系の方や、過去にポリープ切除を受けた方にとっては、「どのように見つけ、どのように治療するのか」を知ることが、将来の再発予防につながります。
大腸がん術後の経過観察・大腸ポリープ切除後の再検査をご希望の方へ
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、大腸カメラによる大腸がん術後の経過観察や、大腸ポリープ切除後のフォローアップを行っています。
過去に大腸がんや大腸ポリープを指摘された方、ご家族に大腸がんの方がいる方は、お気軽にご相談ください。
症状がなくても、大腸がん術後に大腸カメラを行う理由
大腸がん術後の経過観察では、「手術した場所の再発がないか」だけを見ているわけではありません。
大腸がんになった方では、別の場所に新しいポリープや早期がんが見つかることがあります。そのため、大腸全体を丁寧に観察し、将来的にがんにつながる可能性のある病変を早い段階で見つけることが大切です。
大腸がん術後の大腸カメラでは、主に次のような点を確認します。
- 手術した部位に再発がないか
- 新しい大腸ポリープができていないか
- 早期大腸がんが隠れていないか
- 鋸歯状腺腫・鋸歯状病変など、見つかりにくい病変がないか
- 炎症や出血の原因になる病気がないか
早期大腸がんは無症状で見つかることも多いため、「症状がないから大丈夫」と判断せず、主治医と相談しながら定期的な検査を続けることが重要です【3】。
▶ 関連ページ:無症状なのに見つかる大腸がんについて詳しくはこちら
鋸歯状腺腫とは?見つかりにくい大腸ポリープの一種です
鋸歯状腺腫・鋸歯状病変とは、大腸ポリープの一種です。病理検査で見ると、腺管の形が「のこぎりの歯」のように見えることから、この名前がついています。
大腸がんは、従来から知られている「腺腫」というポリープから発生することが多いとされてきましたが、近年では、鋸歯状病変から大腸がんに進む経路も重要と考えられています【1】【2】。
鋸歯状病変には、次のような特徴があります。
- 平坦で丈が低く、盛り上がりが目立ちにくい
- 周囲の正常な粘膜と色が似ていることがある
- 粘液が付着して見えにくいことがある
- 大腸のヒダの裏側に隠れることがある
- 右側大腸や横行結腸などにできることがある
- 若年層にも発生する
そのため、鋸歯状腺腫・鋸歯状病変を見つけるには、内視鏡機器の性能だけでなく、腸管内をきれいにする前処置、ヒダの裏まで観察する技術、病変を疑う経験が重要になります。
▶ 関連ページ:当院の大腸カメラ検査の流れ・費用はこちら
実際の症例|30代 男性 大腸がんの治療後の経過観察
【症状】
3年前に大学病院で大腸がんの手術を受けており、その後は手術を受けた病院で大腸内視鏡による定期検査を受けていました。
これまでの検査では、大腸がんの再発や新しいがん・ポリープは指摘されていませんでした。
その後、「今後の内視鏡による経過観察は近くのクリニックでもよい」とのことで、当院へ紹介となりました。
来院時には、腹痛、血便、便秘、下痢、体重減少などの自覚症状はありませんでした。
【診察】
特に自覚症状はありませんでしたが、前回の内視鏡から1年程経過したとのことで、 早速当院にて大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けて頂くこととしました。
【内視鏡検査】
大腸内視鏡では、手術部分の再発は見止まませんでしたが、横行結腸部分に25㎜大の扁平なポリープを認めました(矢印部分)。
この病変は、盛り上がりが強くないため一見すると周囲の粘膜にまぎれやすく、通常観察だけでは見落とされる可能性のある病変でした。
さらにNBI拡大観察で詳しく確認したところ、表面構造や血管模様に乱れを認め、早期がんを疑う所見があり、その場で切除しました。
【経過】
切除したポリープを顕微鏡検査(病理診断)で確認するとやはりがんの状態でした。
ただ幸いにも転移の心配のない早期がんでしたので、内視鏡治療で治癒切除となりました。
今回のように、大腸がん術後の経過観察で見つかった病変が、内視鏡治療で対応できる段階で発見されることがあります。
これは、定期的な大腸カメラを続ける大きな意義の一つです。
今回の症例からわかる大切なこと
今回の症例で特に重要なのは、患者さんに自覚症状がなかったことです。
大腸がんや早期大腸がんは、血便、腹痛、便が細い、便秘、下痢などの症状で見つかることもありますが、早期の段階では症状が目立たないことがあります【3】。
また、鋸歯状腺腫・鋸歯状病変は平坦で目立ちにくいため、過去に大腸カメラを受けていても、病変の場所や腸管洗浄の状態、観察条件によっては発見が難しいことがあります。
大腸がん術後の方にとって、経過観察の大腸カメラは「再発がないかを確認する検査」であると同時に、新しい早期がんや前がん病変を見つける検査でもあります。
当院の大腸カメラで見逃しを減らすために行っている工夫
鋸歯状腺腫・鋸歯状病変のような平坦で見つかりにくい病変を発見するためには、丁寧な観察が重要です。
当院では、大腸カメラの質を高めるため、次のような工夫を行っています。
- 高精細モニター・超高解像度の次世代内視鏡システム「EVIS-X1」での検査
- NBIなどの画像強調観察
- 拡大観察による表面構造・血管模様の確認
- 大腸のヒダの裏側まで丁寧に観察する工夫
- 必要に応じたフードの使用
- 鎮静剤を使用した苦痛に配慮した検査
大腸カメラは「受けること」も大切ですが、同時に「どのように観察するか」も非常に重要です。
特に、大腸がん術後の方、過去に大腸ポリープを切除したことがある方、家族歴がある方では、病変の見逃しを減らすために、丁寧な観察が求められます。
▶ 関連ページ:なぜ当院の大腸カメラは痛くなく・苦しくないのか
受診の目安|大腸がん術後・ポリープ切除後の方へ
次のような方は、症状がなくても一度ご相談ください。
- 大腸がんの手術後で、定期的な大腸カメラが必要な方
- 大腸ポリープを切除したことがある方
- 鋸歯状腺腫・SSL・SSA/Pなどを指摘されたことがある方
- ご家族に大腸がんの方がいる方
- 便潜血検査で陽性になった方
- 血便、便が細い、便秘・下痢の変化、残便感が続く方
- 過去の大腸カメラから時間が空いている方
- 以前の検査で「経過観察」と言われたが、その後受けていない方
大腸がん術後やポリープ切除後の検査間隔は、過去の病変の種類、大きさ、数、病理結果、家族歴などによって変わります【1】【4】。
「何年ごとに受ければよいかわからない」という方も、これまでの検査結果や紹介状があれば、今後の検査計画についてご相談いただけます。
▶ 関連ページ:大腸カメラを受けるべき人の目安はこちら
院長コメント
大腸がんは、手術後の経過観察が非常に大切な病気です。
術後の検査というと、「手術した場所に再発がないか」を確認するイメージが強いかもしれません。しかし実際には、今回のように手術部位とは別の場所に、新しいポリープや早期がんが見つかることがあります。
特に鋸歯状腺腫・鋸歯状病変は、平坦で周囲の粘膜にまぎれやすく、見つけるのが難しいことがあります。
だからこそ、大腸がん術後の方やポリープ切除歴がある方では、症状があるかどうかだけで判断せず、適切なタイミングで大腸カメラを受けることが大切です。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。
「手術後の経過観察をどこで受ければよいかわからない」「以前ポリープを取ったが、その後検査を受けていない」「家族に大腸がんがいて不安」という方は、お気軽にご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問
Q. 大腸がん術後は、どれくらいの頻度で大腸カメラを受けるべきですか?
A. 大腸がん術後の大腸カメラの間隔は、手術前後の病状、病変の進行度、過去のポリープの有無、家族歴などによって変わります。一般的には術後の経過観察として定期的な内視鏡検査が検討されますが、具体的な間隔は主治医と相談して決めることが大切です。
Q. 大腸がんを手術したあとも、新しいがんができることはありますか?
A. はい、あります。手術した部位の再発だけでなく、大腸の別の場所に新しいポリープや早期がんが見つかることがあります。そのため、大腸がん術後は症状がなくても定期的な経過観察が重要です。
Q. 鋸歯状腺腫とは何ですか?
A. 鋸歯状腺腫は大腸ポリープの一種で、将来的に大腸がんにつながることがある病変です。平坦で周囲の粘膜と色が似ていることがあり、通常のポリープより見つかりにくい場合があります。
Q. 鋸歯状腺腫はなぜ見逃されやすいのですか?
A. 鋸歯状腺腫は、盛り上がりが少なく平坦で、周囲の粘膜と色が似ていることがあります。また、大腸のヒダの裏に隠れたり、粘液が付着して見えにくかったりすることもあります。そのため、丁寧な観察が重要です。
Q. 鋸歯状腺腫はがんになりますか?
A. すべてががんになるわけではありませんが、鋸歯状腺腫・鋸歯状病変の一部は大腸がんにつながる可能性があると考えられています。大きさや形、病理結果によって対応が変わるため、指摘された場合は医師の指示に従って経過観察や切除を行うことが大切です。
Q. 大腸がん術後に症状がなくても検査は必要ですか?
A. はい、必要です。早期大腸がんや大腸ポリープは、症状がないまま見つかることがあります。大腸がん術後は、再発だけでなく新しい病変の早期発見のためにも、定期的な大腸カメラが重要です。
Q. 大腸ポリープを切除したことがある人も定期検査が必要ですか?
A. はい。大腸ポリープを切除したことがある方では、その後に新しいポリープができることがあります。切除したポリープの種類、大きさ、数、病理結果によって再検査のタイミングは変わります。
Q. 家族に大腸がんがいる場合、早めに大腸カメラを受けた方がいいですか?
A. ご家族に大腸がんの方がいる場合、年齢や家族歴の内容によっては早めの検査を検討した方がよいことがあります。特に若くして大腸がんになったご家族がいる場合や、複数の血縁者に大腸がんがいる場合は、一度消化器内科で相談することをおすすめします。
Q. 大腸カメラで早期がんが見つかった場合、その場で治療できますか?
A. 病変の大きさ、深さ、形、場所によっては、その場で内視鏡切除が可能な場合があります。ただし、がんが深く入り込んでいる可能性がある場合や、内視鏡治療だけでは不十分と判断される場合には、高次医療機関での追加治療が必要になることがあります。
Q. 大腸がん術後の経過観察をクリニックで受けても大丈夫ですか?
A. 病状が安定しており、主治医からクリニックでの内視鏡フォローが可能と判断されている場合には、クリニックで大腸カメラを受けることができます。これまでの治療内容や検査結果がわかる資料があると、より適切に経過観察の計画を立てやすくなります。
まとめ
大腸がん術後の経過観察は、再発を確認するだけでなく、新しいポリープや早期がんを見つけるためにも重要です。
✔ 大腸がん術後は、症状がなくても定期的な大腸カメラが大切です。
✔ 鋸歯状腺腫・鋸歯状病変は、平坦で見つかりにくいことがあります。
✔ 早期大腸がんは無症状で見つかることがあります。
✔ 大腸がん術後、ポリープ切除歴、家族歴がある方は、検査間隔を医師と相談しましょう。
✔ 丁寧な観察により、内視鏡治療で対応できる段階で病変を見つけられることがあります。
関連ページ
無症状のまま見つかる大腸がんについては、以下のページでも詳しく解説しています。
大腸カメラ(内視鏡について)はこちらからご確認頂けます
- ▶ 大腸カメラの詳細(検査のやり方・詳しい流れなど)
- ▶ なぜ当院の大腸内視鏡は「痛くなく」「苦しくない」の?
- ▶ 大腸カメラはどんな人が受けるべき?
- ▶ 専門医が教えます!大腸カメラは何歳から受けるべき?
参考文献
- 日本消化器内視鏡学会.大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン.Gastroenterological Endoscopy. 2020.
- 日本消化器病学会.大腸ポリープ診療ガイドライン2020 改訂第2版.南江堂.2020.
- 国立がん研究センター中央病院.大腸がんの症状について/大腸がん検査について.
- Gupta S, et al. Recommendations for Follow-Up After Colonoscopy and Polypectomy: A Consensus Update by the U.S. Multi-Society Task Force on Colorectal Cancer. Gastroenterology. 2020.
- 大腸癌研究会編.大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版.金原出版.2024.
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック 院長 神谷雄介
日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医
