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実際の治療例 “検診でバレット食道と言われ心配”

[2025.04.02]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40代  女性 検診でバレット食道と言われ心配

【症状】

特に自覚症状はありませんでしたが、人間ドックで胃カメラ(内視鏡)を受けた際に”バレット食道”を指摘され、ご自身で調べている間に不安になり当院にご相談に来られました。

 

【診察】

人間ドックの結果を持参されていましたが、胃カメラの写真の添付がなくバレット食道の詳細な状態が不明だったため、ご本人と相談して再度胃カメラを行い状態を評価することとしました。

 

【胃カメラ(内視鏡)】

胃カメラでは指摘されていたようにバレット食道を認めました。

実際のバレット食道の写真です。 黄色のライン部分が本来の胃と食道のつなぎ目部分です。胃の粘膜が食道側まで進展して青のラインまでせり上がってきています。 この黄色と青のラインで囲まれた部分がバレット食道です。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

【バレット食道について】

バレット食道は胃と食道のつなぎ目から食道下部にかけての食道粘膜(扁平上皮といいます)が、胃の粘膜(円柱上皮といいます)に置換されている状態をいいます。

食道側への胃の粘膜の広がりによって

  1. 3cm未満のショートバレット食道(SSBE
  2. 3cm以上のロングバレット食道(LSBE

とに分けられ、LSBEの方がSSBEに比べ食道がんのリスクが倍ほど高いというデータがあります。

※ちなみに今回の方は3㎝未満のSSBEにあたります。

 

<原因>

バレット食道の原因は胃酸や胆汁の食道への逆流(いわゆる逆流性食道炎です)によって起こるといわれています1)2)

胃酸や胆汁の逆流によって、食道粘膜が炎症を繰り返し、改善の過程で細胞が置き換わっていくと考えらえています。

クリックすると拡大表示します

また、胃酸と胆汁が組み合わさることによってバレット食道のリスクが上がるともいわれています2)

 

そしてバレット食道には食道腺がんの発生に関係する腸上皮化生が80%程に認められており

バレット食道があるということは、食道がんに対してリスクのある状態といえます。

 

【治療】

一度発生したバレット食道が改善することはありませんので、

  • ガンの発生リスクを減らすためバレット食道が進展しないようにすること
  • バレット食道は食道腺がんの発生のリスクになるため、定期的な胃カメラを行うこと

が大切です。

治療については逆流性食道炎を伴っているか否かで方針が変わります。

 

◆逆流性食道炎を伴う場合

胃カメラで逆流性食道炎併発している場合、胸やけやのどの違和感などの症状がある場合はまずしっかりと逆流性食道炎の治療を行い、

その後に定期的に胃カメラでバレット食道の進展や逆流性食道炎の再発の有無をチェックしていきます。

※逆流性食道炎の治療は

  • 胃酸分泌過多を抑える制酸剤
  • 胃の動きを改善させ逆流しないようにする運動機能改善薬
  • 逆流性食道炎を起こしにくくする生活習慣作り

などを行います。詳細は下記リンクからご覧いただけます

逆流性食道炎の治療について

 

◆逆流性食道炎を伴わない場合

①経過観察

逆流性食道炎を伴わない際には基本的にはバレット食道の状態を経過観察していきます。

バレット食道の状態によって半年-1年毎の胃カメラを行います。

②予防

バレット食道が広がらないように予防的に薬やサプリを用いることもあります。

※当院ではバレット食道の伸展予防には胃酸分泌過多を適正化するサプリ「i-katsu」を多くの場合に使用しております。

「i-katsu」は乳酸菌と生薬で作られており、薬と違い副作用が出ることがなく長期の服用に関しても安全性が高く、予防のために使用するのに非常に向いているためです。

◆関連ページ:なぜ逆流性食道炎に「i-katsu」が効くのか?

 

今回は逆流性食道炎は認めませんでしたが、本人が将来的な食道がんが心配でバレット食道の伸展予防を希望されたためi-katsuサプリを使用し、定期的な胃カメラでバレット食道の経過見ることとしています。

 

バレット食道が気になる方・お悩みの方はお力になれますので、ご相談ください!

WEB予約へ TEL:03-5940-3833

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

i-katsuの詳細はこちらから

■関連ページ■

バレット食道

食道腺がん

逆流性食道炎

当院オリジナルサプリi-katsu

なぜ逆流性食道炎に「i-katsu」が効くのか?

胃内視鏡(胃カメラ)

検査・診察予約

参考文献:

1)Fass R, Hell RW, Garewal HS, et al. Correlation of oesophageal acid exposure with Barrettʼs oesophagus length. Gut 2001; 48: 310-313

2)Koek GH, Sifrim D, Lerut T, et al. Multivariate analysis of the association of acid and duodeno-gastrooesophageal reflux exposure with the presence of oesophagitis, the severity of oesophagitis and Barrettʼs oesophagus. Gut 2008; 57: 1056-1064

3)日本消化器病学会胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021 p137-138

4)Matsuzaki J, Suzuki H, Kobayakawa M, et al. Association of Visceral Fat Area, Smoking, and Alcohol Consumption with Reflux Esophagitis and Barrettʼs Esophagus in Japan. PLoS One 2015; 10:

5) Matsuhashi N, Sakai E, Ohata K, et al. Surveillance of patients with long-segment Barrettʼs esophagus: Amulticenter prospective cohort study in Japan. J Gastroenterol Hepatol 2017; 32: 409-414

6) Chandrasekar VT, Hamade N, Desai M, et al. Significantly lower annual rates of neoplastic progression in short- compared to long-segment non-dysplastic Barrettʼs esophagus: a systematic review and meta-analysis. Endoscopy 2019; 51: 665-672

7)天野祐二,安積貴年,坪井 優,ほか.本邦における Barrett 食道癌の疫学―現況と展望.日本消化器病学会誌 2015; 112: 219-231

8) Cooper S, Menon S, Nightingale P, et al. Risk factors for the development of oesophageal adenocarcinoma in Barrettʼs oesophagus: a UK primary care retrospective nested case-control study. United European Gastroenterol J. 2014; 2: 91-98

9) Cook MB, Kamangar F, Whiteman DC, et al. Cigarette smoking and adenocarcinomas of the esophagus and esophagogastric junction: a pooled analysis from the international BEACON consortium. J Natl Cancer Inst 2010; 102: 1344-1353

10)Parasa S, Vennalaganti S, Gaddam S, et al. Development and Validation of a Model to Determine Risk of Progression of Barrettʼs Esophagus to Neoplasia. Gastroenterology 2018; 154: 1282-1289

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