メニュー

突然の激しい腹痛・下痢・血便は虚血性腸炎?50代女性の実際の治療例

[2026.05.23]

「急にお腹が強く痛くなった」

「何度も下痢をして、途中から血が混じってきた」

「冷や汗が出るほどの腹痛があり、食あたりだけではない気がする」

このような症状が出ると、食あたりや一時的な胃腸炎をまず考える方が多いかもしれません。 しかし、突然の強い腹痛に下痢や血便を伴う場合には、虚血性腸炎のように早めの診察・検査が必要な病気が隠れていることがあります【1】【2】。

虚血性腸炎は、大腸の血流が一時的に低下することで腸に炎症やむくみ、出血が起こる病気です。 特に、左下腹部の痛み、下痢、血便という組み合わせで疑われることが多く、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸がんなどとの鑑別も重要です【1】【3】。

今回は、冷や汗が出るほどの激しい下腹部痛、下痢、血便をきっかけに当院を受診され、腹部エコーで虚血性腸炎と診断した50代女性の実際の治療経過を、消化器専門医の院長がわかりやすく解説します。

腹痛や下痢・血便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 突然の強い腹痛・下痢・血便は、虚血性腸炎で起こることがあります。

✅ 虚血性腸炎は、左側の大腸に起こりやすく、左下腹部痛として出ることがあります。

✅ 食あたりや感染性腸炎と似ているため、症状だけで自己判断することは難しいです。

✅ 血便を伴う腹痛では、潰瘍性大腸炎、大腸憩室出血、大腸がんなどとの鑑別も重要です。

✅ 症状が落ち着いた後も、必要に応じて大腸カメラで他の病気が隠れていないか確認します。

 

突然の腹痛・下痢・血便でお困りの方へ

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、血便・腹痛・下痢に対して、問診・診察・血液検査・腹部エコー・必要に応じた大腸カメラを組み合わせて原因を丁寧に確認しています。

同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

突然の腹痛・下痢・血便を起こす主な原因

突然の腹痛、下痢、血便がある場合、原因は一つではありません。 食あたりのような感染性腸炎だけでなく、大腸の血流障害、慢性的な炎症、大腸がんなどが関係することもあります。

特に血便を伴う場合は、「痔だと思っていた」「一時的な下痢だと思っていた」と様子を見ているうちに、診断が遅れてしまうことがあります。

原因 特徴 注意点
虚血性腸炎 突然の腹痛、下痢、血便。左下腹部痛が目立つことがあります。 感染性腸炎や潰瘍性大腸炎との鑑別が必要です。
感染性腸炎 腹痛、発熱、下痢、血便。食事歴や周囲の流行が手がかりになることがあります。 細菌性腸炎では血便を伴うことがあります。
潰瘍性大腸炎 血便、粘液便、下痢、腹痛が続くことがあります。 慢性的に続く場合や再発を繰り返す場合は注意が必要です。
大腸憩室出血・憩室炎 血便や腹痛を起こすことがあります。 大量出血や発熱を伴う場合は早めの評価が必要です。
大腸ポリープ・大腸がん 血便、便潜血陽性、便通異常、貧血などで見つかることがあります。 症状が軽くても、大腸カメラで確認が必要になることがあります。

血便が気になる方は、血便全体の原因や受診目安をまとめた 血便外来のページ もあわせてご参照ください。

虚血性腸炎とは?

虚血性腸炎とは、大腸の一部に一時的な血流低下が起こり、腸の粘膜に炎症・むくみ・出血が生じる病気です【1】【2】。

虚血性腸炎はどの部位にも起こり得ますが、下行結腸やS状結腸など、左側の大腸に起こることが多いとされています【1】【3】。 そのため、症状としては左下腹部痛として感じられることがあります。

背景には、次のような要因が関係することがあります。

  • 脱水
  • 便秘や強いいきみによる腸管内圧の上昇
  • 血圧低下
  • 動脈硬化
  • 心血管系の基礎疾患
  • 一部の薬剤
  • 加齢による血流変化

虚血性腸炎には、比較的軽く経過し外来治療で改善するタイプもあります。 一方で、まれに腸管壊死、穿孔、狭窄などを起こし、入院や手術が必要になる重症例もあります【1】【4】。

虚血性腸炎についてさらに詳しく知りたい方は、 虚血性腸炎の詳しい解説ページ もご参照ください。

実際の治療例|50代女性「激しい腹痛・下痢・血便」

【症状】

前日夕食後3時間ほどしてから冷や汗が出るほどの突然激しい下腹痛が出現し、しばらくして水下痢が起こり夜間に数回下痢を繰り返し、途中から血便を伴ったとのことで、翌朝に当院を初診されました。

 

【診察】

触診では左下腹部に強い圧痛を認め、症状と合わせて虚血性腸炎を疑いました。

ただし、腹痛・下痢・血便という症状は、虚血性腸炎だけでなく、次のような病気でも起こります。

  • 感染性腸炎
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 大腸憩室炎・大腸憩室出血
  • 薬剤性腸炎
  • 大腸ポリープ・大腸がん

そのため、症状だけで決めつけず、診察と検査を組み合わせて状態を確認することが大切です。

 

【検査】

腸管の状態を評価するため、腹部エコーを行いました。

下行結腸からS状結腸にかけて腸管の壁の肥厚を認め、虚血性腸炎と診断しました。

下行結腸の画像です。 水色矢印の範囲で腸管が浮腫み、粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)

▶腹部エコーは、腸管の壁肥厚、炎症、むくみ、腹水の有無などを確認できることがあり、急な腹痛や下痢・血便の初期評価に役立つ場合があります。

当院の検査については、 エコー検査のページ もご覧ください。

 

【治療】

この患者さんでは、血液検査で炎症反応は軽度上昇にとどまっていました。 また、強い貧血、腸閉塞、腹膜刺激症状などの重症所見は認めませんでした。

そのため、入院ではなく、外来で慎重に経過を確認しながら治療を行う方針としました。

治療としては、以下を行いました。

  • 腸を休めるための食事制限
  • 腹痛や炎症に対する内服治療
  • 脱水や全身状態の悪化がないかの確認
  • 症状の改善具合に応じた食事再開

虚血性腸炎の治療は重症度によって異なります。 軽症では、腸を休めること、水分補給、原因となる薬剤や基礎疾患の見直しなど、保存的治療で改善することがあります【1】【4】。

一方で、発熱が強い、腹痛が悪化する、血便が大量に続く、腹膜炎が疑われる、腸管壊死や穿孔が疑われる場合には、入院治療や外科的治療が必要になることがあります【1】【4】。

 

【経過】

治療開始後、腹痛は翌日にはかなり改善しました。 血便も徐々に落ち着き、食事制限も症状をみながら段階的に解除しました。

その後、再燃なく経過し、外来治療で改善しました。

虚血性腸炎は、適切に診断して重症度を見極めることができれば、比較的短期間で改善することもあります。 ただし、症状が似ていても別の大腸疾患が隠れていることがあるため、最初の評価がとても大切です。

【治療後に大腸カメラが必要になることがあります】

虚血性腸炎の症状が落ち着いたあとも、必要に応じて大腸内視鏡検査、いわゆる大腸カメラを検討します。

理由は、次のような病気が隠れていないかを確認するためです。

  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん
  • 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患
  • 大腸憩室症
  • 虚血性腸炎後の狭窄

虚血性腸炎そのものは改善しても、背景に大腸の狭窄や腫瘍性病変が隠れていることがあります。 そのため、血便をきっかけに受診された方では、症状が落ち着いたあとに大腸カメラで確認することが重要です。

大腸カメラについて詳しく知りたい方は、 大腸内視鏡検査のページ をご参照ください。

受診の目安

次のような症状がある場合は、早めに消化器内科へご相談ください。

  • 冷や汗が出るほどの強い腹痛がある
  • 腹痛のあとに下痢を繰り返している
  • 下痢に血が混じる
  • 血便が増えている、または繰り返している
  • 発熱を伴う
  • ふらつき、動悸、息切れがある
  • 水分が取れない
  • 痛みが時間とともに悪化している
  • 便が赤黒い、または黒い
  • 40歳以上で大腸カメラを受けたことがない

腹痛・下痢・血便でお困りの方へ

突然の強い腹痛や血便は、自己判断で様子を見るよりも、早めに原因を確認することが大切です。 巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、血便・腹痛・下痢に対して、診察・血液検査・腹部エコー・必要に応じた大腸カメラを組み合わせて診断を行っています。

👉 WEB予約はこちらから

📞 お電話でのご予約:03-5940-3833

院長からのコメント

虚血性腸炎は、急な腹痛、下痢、血便というインパクトの強い症状で発症するため、患者さんご本人もとても不安になる病気です。

実際には、軽症であれば外来治療で改善するケースもあります。 しかし、同じような症状を起こす病気の中には、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸憩室炎、大腸がんなど、治療方針が大きく異なる病気も含まれます。

特に、血便を伴う腹痛では、「一時的な下痢だろう」「痔だろう」と決めつけず、まず状態を確認することが大切です。

当院では、腹部エコーで腸管の炎症やむくみを確認し、必要に応じて大腸カメラにつなげることで、血便の原因を丁寧に見極めています。 急な腹痛・下痢・血便でお困りの方は、早めにご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

よくある質問

Q. 虚血性腸炎はどのような症状で疑いますか?

A. 典型的には、突然の腹痛のあとに下痢や血便が出るパターンです。特に左下腹部痛を伴うことがあり、食あたりや感染性腸炎と見分けがつきにくいことがあります【1】【2】。

 

Q. 血便が出たら必ず虚血性腸炎ですか?

A. いいえ。血便は、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸憩室出血、大腸ポリープ、大腸がん、痔などでも起こります。症状だけで断定せず、診察と検査で原因を確認することが大切です。

 

Q. 虚血性腸炎と食あたりはどう違いますか?

A. 食あたりでも腹痛や下痢は起こりますが、虚血性腸炎では突然の強い腹痛のあとに血便が出ることがあります。左下腹部の強い圧痛や、腹部エコーでの腸管壁肥厚が診断の手がかりになることがあります。

 

Q. 虚血性腸炎はなぜ起こるのですか?

A. 大腸の血流が一時的に低下することで起こります。脱水、便秘、血圧低下、動脈硬化、心血管系の病気、一部の薬剤などが関係することがあります【1】【3】。

 

Q. 腹部エコーで虚血性腸炎はわかりますか?

A. 症状や診察所見とあわせて、腹部エコーで腸管壁の肥厚やむくみを確認することで、虚血性腸炎を疑うことがあります。ただし、必要に応じて血液検査、便検査、CT、大腸カメラなどを組み合わせて判断します。

 

Q. 虚血性腸炎は入院しないと治りませんか?

A. すべての方が入院になるわけではありません。全身状態が安定していて、強い貧血、腸閉塞、腹膜炎などの重症所見がなければ、外来で慎重に経過を見ることもあります。一方で、重症例では入院や手術が必要になることがあります【1】【4】。

 

Q. 虚血性腸炎はどれくらいで治りますか?

A. 軽症では数日で腹痛や下痢、血便が改善してくることがあります。ただし、炎症の範囲や重症度によって経過は異なるため、自己判断せず医師の指示に従うことが大切です【4】。

 

Q. 虚血性腸炎は再発しますか?

A. 多くは一度で落ち着きますが、再発することもあります。便秘、脱水、血圧の変動、薬剤、基礎疾患などが関係することがあるため、再発予防には生活習慣や基礎疾患の管理も大切です。

 

Q. 症状が治まったあとに大腸カメラは必要ですか?

A. 必要になることがあります。虚血性腸炎の治癒確認だけでなく、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患などが隠れていないかを確認する目的があります。

 

Q. どのような血便は早めに受診した方がいいですか?

A. 冷や汗が出るほどの強い腹痛、血便の持続、発熱、ふらつき、水分が取れない、痛みがどんどん悪化する、黒い便が出る場合は早めの受診が必要です。特に腹痛と下痢を伴う血便は、消化器内科での評価をおすすめします。

まとめ

突然の激しい腹痛、下痢、血便は、食あたりだけでなく、虚血性腸炎のサインであることがあります。

  • 虚血性腸炎は、大腸の血流が一時的に低下して起こる病気です。
  • 左下腹部痛、下痢、血便という形で発症することがあります。
  • 感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸憩室出血、大腸がんなどとの鑑別が重要です。
  • 腹部エコーで腸管壁の肥厚やむくみを確認できることがあります。
  • 軽症では外来治療で改善することもありますが、重症例では入院や手術が必要になることがあります。
  • 症状が落ち着いたあとも、大腸カメラで他の病気が隠れていないか確認することがあります。
突然の腹痛・下痢・血便でお困りの方へ

血便を伴う腹痛は、自己判断で様子を見るよりも、早めに原因を確認することが大切です。 巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹痛・下痢・血便に対して、診察・血液検査・腹部エコー・必要に応じた大腸カメラを組み合わせて診断しています。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

関連ページ

医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、

消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、

内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

クリックしてGoogleMapを表示

所在地

〒170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

JR巣鴨駅 南口より徒歩3分。詳しい道順はこちら

▶📞お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

▶【WEB予約】

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

参考文献

  1. Brandt LJ, Feuerstadt P, Longstreth GF, et al. ACG clinical guideline: epidemiology, risk factors, patterns of presentation, diagnosis, and management of colon ischemia. Am J Gastroenterol. 2015;110(1):18-44. doi:10.1038/ajg.2014.395
  2. Ahmed M. Ischemic bowel disease in 2021. World J Gastroenterol. 2021;27(29):4746-4762. doi:10.3748/wjg.v27.i29.4746
  3. Trotter JM, Hunt L, Peter MB. Ischaemic colitis. BMJ. 2016;355:i6600. doi:10.1136/bmj.i6600
  4. Mayo Clinic. Ischemic colitis - Diagnosis and treatment.
  5. 日本消化器病学会 編. 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン.

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

HOME

ブログカレンダー

2026年10月
月 火 水 木 金 土 日
« 9月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME