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突然の強い下腹部痛と冷や汗は虚血性腸炎?便秘をきっかけに発症した20代女性の実例

[2026.05.02]

突然起こる冷や汗を伴うような下腹部の強い痛み。

「便秘のせいかな」「少し様子を見れば治るかな」と考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、排便しても腹痛が改善しない場合や、痛みが強く続く場合には、単なる便秘ではなく、虚血性腸炎、感染性腸炎、大腸憩室炎、虫垂炎、腸閉塞、婦人科疾患などが隠れていることがあります。

今回は、もともと便秘気味だった20代女性が、5日ほど排便がない状態のあとに突然の強い下腹部痛と冷や汗を起こし、検査の結果、虚血性腸炎と診断された実例を消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。。

突然の下腹部痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 突然の強い下腹部痛と冷や汗は、虚血性腸炎などの大腸炎が原因のことがあります。

✅ 便秘が続いたあとに腹痛が起こる場合、大腸の内圧上昇が関係することがあります。

✅ 虚血性腸炎では腹痛・下痢・血便が典型的ですが、腹痛だけで始まることもあります。

✅ CT、腹部エコー、大腸カメラなどを組み合わせて、他の病気と見分けることが大切です。

✅ 強い腹痛、冷や汗、血便、発熱、嘔吐、症状の長引きがある場合は早めに受診しましょう。

 

突然の腹痛・冷や汗・血便でお困りの方へ

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹痛、下腹部痛、血便、下痢、便秘などの症状に対して、診察、腹部エコー、大腸カメラなどを組み合わせて原因を確認しています。

冷や汗を伴うほどの強い腹痛、血便、腹痛が長引く場合は、自己判断せずご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

突然の強い下腹部痛と冷や汗を起こす主な原因

冷や汗が出るほどの強い下腹部痛が突然起こる場合、便秘だけでなく、腸や泌尿器、婦人科領域の病気も含めて考える必要があります。

代表的には、以下のような病気が鑑別に挙がります。

  • 虚血性腸炎:大腸への血流が一時的に低下し、腹痛、下痢、血便などを起こす病気です。
  • 感染性腸炎:細菌やウイルスなどにより、腹痛、下痢、発熱、嘔吐などを起こします。
  • 大腸憩室炎:大腸の憩室に炎症が起こり、下腹部痛や発熱を起こすことがあります。
  • 急性虫垂炎:みぞおちやおへそ周囲の痛みから始まり、右下腹部痛へ移動することがあります。
  • 尿管結石:背中から下腹部にかけて強い痛みが出ることがあり、冷や汗を伴うこともあります。
  • 腸閉塞:便やガスが出にくくなり、腹痛、腹部膨満、嘔吐などを起こします。
  • 婦人科疾患:卵巣出血、卵巣茎捻転、子宮内膜症などで強い下腹部痛を起こすことがあります。

腹痛の場所、痛み方、発熱、下痢、血便、嘔吐、便秘の有無などを確認しながら、必要に応じて検査を行います。

▶突然の腹痛や冷や汗を伴う腹痛については、胃痛・腹痛外来でも詳しい内容をご確認いただけます。

虚血性腸炎とは?

虚血性腸炎とは、大腸に流れる血液が一時的に不足することで、大腸の粘膜に炎症、むくみ、ただれ、出血などが起こる病気です。

典型的には、突然の腹痛、下痢、血便で発症します。特に左側の大腸である下行結腸やS状結腸に起こりやすいとされています【1】。

虚血性腸炎は高齢の方や動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などがある方に多い病気ですが、若い方でも起こることがあります。

若い方では、便秘によって大腸の内圧が上がること、腸管の一時的なけいれん、脱水、生活リズムの乱れなどがきっかけになることがあります。

便秘が虚血性腸炎のきっかけになることがあります

便秘が続くと、大腸の中に便やガスがたまり、腸の内圧が高くなることがあります。

大腸の内圧が高くなると、腸の壁を流れる血液が一時的に届きにくくなり、虚血性腸炎のきっかけになることがあります。

実際に、便秘がある方では虚血性腸炎のリスクが高くなるという報告もあります。Suhらの研究では、便秘のある方で虚血性腸炎の相対リスクが2.78倍高かったと報告されています【2】。

ただし、便秘がある方すべてが虚血性腸炎になるわけではありません。重要なのは、便秘に強い腹痛、冷や汗、血便、発熱、嘔吐などが加わったときに放置しないことです。

 

実際の治療例|20代女性「突然始まった冷や汗を伴う強い下腹部痛」

【症状】

もともと便秘気味でしたが、最近は悪化気味で5日ほど排便がない状態でした。

便秘が続く中、夜間にいきなり強い腹痛が出現。便が出れば楽になるだろうとトイレに行き排便をしましたが全く改善せず、

痛みで冷や汗も出てきたため近くの救急病院を受診。

腹部CTを施行したところ下腹部に炎症所見があり、大腸カメラを受けるうように言われたとのことで当院を受診されました。

【診察】

診察では、腹痛の出方、便秘の経過、排便後も改善しない痛み、救急病院でのCT所見などを確認しました。

今回の経過からは、便秘をきっかけとした虚血性腸炎が疑われました。

一方で、同じように腹痛を起こす病気として、感染性腸炎、大腸憩室炎、炎症性腸疾患、大腸がん、婦人科疾患なども考える必要があります。

そのため、当院でも大腸粘膜の状態を直接確認する目的で大腸カメラを行う方針としました。

▶下腹部痛や血便、大腸炎が疑われる場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で大腸の状態を確認することがあります。また、症状や状況に応じて、腹部エコー検査を併用することもあります。

【検査】

実際の内視鏡画像です。

大腸の奥の方は綺麗にして炎症は見当たりませんでしたが、

下行結腸からS状結腸にかけて、大腸の浮腫・発赤・出血といった強い炎症を区域性に認め虚血性腸炎と診断しました

 

【治療】

虚血性腸炎の治療は、重症度によって異なります。

軽症の場合は、腸を休ませるための食事調整、安静、水分管理、整腸剤や症状に応じた内服薬などで経過を見ることがあります。重症例では入院、点滴、抗菌薬、まれに手術が必要になることもあります【1】【3】【4】。

今回の患者さんは、全身状態が安定していたため、外来で慎重に経過を見る方針としました。

  • 安静
  • 症状を抑える内服薬
  • 整腸剤
  • 腸を休ませるための食事調整
  • 症状の改善に合わせた食事再開

治療開始後、翌日には腹痛がかなり改善しました。その後、食事制限を徐々に解除しましたが再燃はなく、5日後には無事に治療終了となりました。

虚血性腸炎は軽症であれば数日で症状が改善することもありますが、症状が強い場合や血便が続く場合、発熱、嘔吐、腹部膨満、意識がぼんやりする、強い脱水がある場合などは、早急な対応が必要です【5】。

 

院長からのコメント

虚血性腸炎は前述のように血管が一時的に詰まることで引き起こされ

突然発症する

  • 腹痛(左の側腹部~下腹部に多い)
  • 下痢
  • 血便 

の3つが特徴的ですが、今回のように腹痛だけという方もおられます。

「便秘だから様子を見よう」と考えたくなる場面でも、冷や汗を伴うほどの痛み、排便後も改善しない痛み、血便、発熱、嘔吐などがある場合は注意が必要です。

腹痛の原因は、問診だけで判断できないことも多く、腹部エコー、CT連携、大腸カメラなどを組み合わせて確認することがあります。

受診の目安|このような腹痛は早めにご相談ください

次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • 冷や汗が出るほどの強い腹痛がある
  • 排便しても腹痛が改善しない
  • 便秘が続いたあとに強い下腹部痛が出た
  • 血便や下血がある
  • 腹痛に発熱、嘔吐、下痢を伴う
  • お腹の張りが強く、便やガスが出ない
  • 痛みが数時間以上続く、または悪化している
  • 過去に虚血性腸炎、大腸炎、憩室炎を指摘されたことがある
  • 大腸がんや炎症性腸疾患が心配

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹痛・血便・便秘・下痢などの症状に対して、消化器内科専門医として必要な検査を組み合わせながら診療しています。

気になる症状がある方はご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

よくある質問

Q. 虚血性腸炎とはどのような病気ですか?

虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下することで、大腸の粘膜に炎症、むくみ、ただれ、出血などが起こる病気です。突然の腹痛、下痢、血便で発症することが多く、特に左側の下腹部痛として出ることがあります。

 

Q. 虚血性腸炎では必ず血便が出ますか?

必ず血便が出るわけではありません。典型的には腹痛、下痢、血便がみられますが、初期には腹痛が中心のこともあります。血便がないから虚血性腸炎ではないとは言い切れないため、強い腹痛が続く場合は診察が必要です。

 

Q. 冷や汗が出るほどの腹痛は危険ですか?

冷や汗が出るほどの腹痛は、痛みが強いサインです。虚血性腸炎、腸閉塞、尿管結石、虫垂炎、婦人科疾患などが隠れていることもあります。痛みが強い、長引く、発熱や嘔吐、血便を伴う場合は早めに受診してください。

 

Q. 便秘が原因で虚血性腸炎になることはありますか?

便秘が続くと大腸内の圧が高くなり、大腸の血流が一時的に低下するきっかけになることがあります。便秘のある方では虚血性腸炎のリスクが高くなるという報告もあります。ただし、便秘だけでなく血流や体調など複数の要因が関係します。

 

Q. 20代でも虚血性腸炎になりますか?

はい、20代など若い方でも虚血性腸炎になることがあります。高齢の方に多い病気ですが、便秘、脱水、腸管の一時的なけいれん、生活リズムの乱れなどをきっかけに若い方でも発症することがあります。

 

Q. 虚血性腸炎と感染性腸炎の違いは何ですか?

虚血性腸炎は大腸の血流低下が原因で起こる大腸炎です。一方、感染性腸炎は細菌やウイルスなどの感染が原因です。どちらも腹痛、下痢、血便を起こすことがあり、症状だけでは区別が難しいことがあります。必要に応じて血液検査、便検査、腹部エコー、大腸カメラなどで判断します。

 

Q. 虚血性腸炎と大腸憩室炎はどう違いますか?

虚血性腸炎は大腸への血流が一時的に低下して起こる炎症です。大腸憩室炎は、大腸の壁にできた憩室という袋状の部分に炎症が起こる病気です。どちらも下腹部痛や発熱を起こすことがあり、CTや腹部エコー、大腸カメラなどで鑑別します。

 

Q. 虚血性腸炎の診断に大腸カメラは必要ですか?

必ず全員に大腸カメラが必要というわけではありません。症状や重症度によって、腹部エコーやCTで診断することもあります。ただし、大腸粘膜の状態を直接確認したい場合や、大腸がん、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎などとの鑑別が必要な場合には、大腸カメラを行うことがあります。

 

Q. 虚血性腸炎はどのくらいで治りますか?

軽症であれば数日で腹痛や下痢が改善していくことが多いです。ただし、炎症の範囲や重症度によって経過は異なります。血便が続く、発熱がある、腹痛が悪化する、お腹の張りや嘔吐がある場合は、追加検査や入院治療が必要になることがあります。

 

Q. 虚血性腸炎の再発を防ぐにはどうすればよいですか?

便秘がある方は、普段から便通を整えることが大切です。水分摂取、食事内容、睡眠、運動習慣を見直し、必要に応じて便秘薬を調整します。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などがある方は、基礎疾患の管理も重要です。

まとめ

突然の強い下腹部痛や冷や汗は、単なる便秘だけでなく、虚血性腸炎などの大腸の病気が関係していることがあります。

 ✔ 虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下して起こる大腸炎です。

 ✔ 突然の腹痛、下痢、血便が典型的ですが、腹痛が中心のこともあります。

 ✔ 便秘が続いたあとに強い腹痛が出る場合、大腸内圧の上昇が関係することがあります。

 ✔ 感染性腸炎、憩室炎、虫垂炎、腸閉塞、婦人科疾患などとの鑑別が重要です。

 ✔ 腹部エコー、CT、大腸カメラなどを組み合わせて診断します。

 ✔ 軽症では安静や食事調整で改善することもありますが、重症例では入院や手術が必要になることもあります。

 ✔ 冷や汗を伴う強い腹痛、血便、発熱、嘔吐、症状の長引きがある場合は、早めの受診が大切です。

突然の強い下腹部痛・冷や汗がある方へ

冷や汗が出るほどの腹痛や、便秘後に起こる強い下腹部痛は、虚血性腸炎などの大腸炎が隠れていることがあります。

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹痛、血便、便秘、下痢などの症状に対して、消化器内科専門医が診察し、必要に応じて腹部エコーや大腸カメラなどで原因を確認します。

症状が強い場合や長引く場合は、我慢せずご相談ください。

👉 WEB予約はこちらから 📞 お電話でのご予約:03-5940-3833

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参考文献

  1. Brandt LJ, Feuerstadt P, Longstreth GF, Boley SJ. ACG Clinical Guideline: Epidemiology, Risk Factors, Patterns of Presentation, Diagnosis, and Management of Colon Ischemia. Am J Gastroenterol. 2015;110(1):18-44.
  2. Suh DC, Kahler KH, Choi IS, Shin H, Kralstein J, Shetzline M. Patients with irritable bowel syndrome or constipation have an increased risk for ischaemic colitis. Aliment Pharmacol Ther. 2007;25(6):681-692.
  3. Washington C, Carmichael JC. Management of Ischemic Colitis. Clin Colon Rectal Surg. 2012;25(4):228-235.
  4. MSD Manual Professional Version. Ischemic Colitis. Reviewed/Revised Jul 2024.
  5. Mayo Clinic. Ischemic colitis - Diagnosis and treatment. Updated Nov 7, 2024.

医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

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巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

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