実際の治療例 “突然始まった胃の激痛”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
50代 男性 突然始まった胃の激痛
【症状】
就寝中に突然みぞおちの強い痛みで目が覚め、その後も断続的にみぞおちを掴まれるような強い痛みが続いており数回嘔吐もあったとのことで、当日朝に当院を受診されました
【問診】
痛みがでる直前の夕食に寿司を食べたとのことであり、症状の原因として
- アニサキス症
- 感染性腸炎(食あたり)
を考えました。
感染性腸炎なのかアニサキス症なのかで治療方針が全く異なり、またアニサキス症の場合は胃と小腸のどちらかを見極める必要があり、まずは腹部エコーやレントゲンで状態を評価することとしました。
【検査】
・腹部エコー レントゲン
レントゲンでは異常所見は認めませんでしたが、腹部エコーで胃の壁の限局的な肥厚を認め、胃のアニサキス症を考え胃カメラを行うこととしました
※感染性腸炎の場合はレントゲンで異常ガスが出現したり、腹部エコーで腸管の炎症像が描出されます。
また小腸アニサキスの場合は、小腸に限局的な壁の肥厚像を認めます。
・胃カメラ
胃の壁に食いついたアニサキスを認め、周囲の粘膜が浮腫を起こしている状態でした。
鉗子を用いて回収しました。
【治療】【経過】
アニサキスによる痛みは、アニサキスが胃壁に食いつくことで体がアニサキスを異物と認識してアレルギー反応を起こすことで誘発されます。
ですので、アレルゲンであるアニサキスを取り除くことで症状が消えることがほとんどです。
今回も内視鏡終了後には痛みは消え、無事に治療完了となりました。
アニサキス症はイカやサバ・アジなどの海鮮を食べて数時間後に激しい胃痛として発症することが多く、「強い痛みがありちょっと和らいでまた強い痛みが出る」というような断続的な胃痛のパターンをとることが多いのが特徴的です。このような痛みがあるときは我慢せずに早めに医療機関への受診が重要です。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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