腹痛・下痢が治らない原因は?|感染性腸炎・大腸炎の実例と受診目安
「5日以上下痢が続いている」「整腸剤を飲んでも全然よくならない」──。
腹痛や下痢が数日たっても治らないと、「胃腸炎だからそのうち治るかも」と様子を見てしまう方は少なくありません。
しかし、発熱を伴う水下痢が続く場合や、整腸剤を飲んでも改善しない場合は、単なる一時的な不調ではなく、感染性腸炎や炎症の強い大腸炎が隠れていることがあります。
とくに、血便、強い腹痛、脱水症状、症状の長引きがあるときは、早めに原因を見極めることが大切です。
今回は、腹痛・下痢が治らない原因がカンピロバクター腸炎だった40代女性の実例を通して、受診の目安、必要な検査、治療の考え方を専門医の院長がわかりやすく解説します。
長引く下痢でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|40代女性「腹痛と下痢が治らない」
【症状】
5日ほど前から発熱と腹痛と水下痢があり、近くの内科を受診し胃腸炎と診断され整腸剤の処方となりましたが、改善しないとのことで当院を受診されました。
【診察】
触診では下腹部に痛みがあり、水下痢はまだ1日10回以上続いている状態でした。
発熱を伴っていたこと・症状が長引いていることなどから細菌性の感染性腸炎を疑い、腹部エコーやレントゲン・血液検査を行いました。
【検査】
腹部エコーで右大腸中心に炎症像および血液検査にて炎症反応の上昇があり、中等度の大腸炎と診断しました。
【実際の画像】水色矢印の範囲で腸管が浮腫み粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)
【治療】
右中心に起こる急性の大腸炎はカンピロバクターや病原性大腸菌による細菌感染が多く、主に食中毒が原因となります。
今回も問診で確認すると、最初に症状がでた日の4日前に鶏の刺身を食べたとのことで、カンピロバクター腸炎を考え治療を行いました。
治療内容
①内服治療;整腸剤 漢方薬
下痢・腹痛といった胃腸炎症状を和らげます。
②抗生剤
カンピロバクター菌に対して使用します。抗生剤は細菌性の腸炎に対して、炎症反応や症状が強い場合に用います
③食事指導
大腸炎の場合は水分が吸収できずに激しい水下痢を起こしてしまいます。
そのため水分摂取はOS1やポカリスエットなどの体に吸収されやすいもの、食事はおかゆなどの消化しやすいものを召し上がっていただきました。
【経過】
治療開始後3日目くらいから次第に和らぎ、5日後にはほぼ改善。
整腸剤を数日間継続していただき終診となりました。
▶腹痛や下痢が数日続く場合は、感染性腸炎の症状・原因・治療法と予防法もあわせてご覧ください。
腹痛・下痢が治らないときに考える主な病気
腹痛や下痢が数日たっても改善しない場合、まず考えるのは感染性腸炎です。
とくに、発熱、水のような下痢、強い腹痛、食事歴(生肉・加熱不十分な鶏肉など)がある場合は、カンピロバクターなどの細菌感染が疑われます。
カンピロバクター腸炎は、原因となる食品を摂取してから2〜5日後に症状が出ることが多く、腹痛・下痢・発熱を起こします。
一方で、下痢が長引く、血便がある、夜間も症状が続く、体重減少がある場合には、感染性腸炎だけでなく、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や、大腸がんなども鑑別が必要です。
また、急性の胃腸炎が治ったあとも、お腹の張りや腹痛、下痢が続く場合には、感染後過敏性腸症候群(感染後IBS)に移行していることもあります。
そのため、「整腸剤を飲んでも治らない」「何日も続いている」というときは、自己判断で長く様子を見るより、原因を整理して診断につなげることが大切です。
▶下痢が長引くときは、下痢の原因と治療法も参考になります。
院長からのコメント
細菌性の腸炎は症状も激しく長引くことが多く、また激しい胃腸炎後は過敏性腸症候群になるリスクがあることが分かっており1)、
発症初期段階で適切な診断と治療を行うことが大切です。
また症状が長引く場合・薬が効かない場合や血便を伴う場合は感染性腸炎の他に潰瘍性大腸炎や大腸がんなどの病気も考えられるため、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行い実際に大腸の状態を確認することもあります。
症状でお困りの方はお力になれますので当院にご相談ください。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、最短で当日中に腹部エコーや大腸カメラをお受け頂ける体制を整えています。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q. 腹痛と下痢が5日以上続くのは、ただの胃腸炎ですか?
A. 数日で自然に軽快する胃腸炎もありますが、5日以上続く場合は、感染性腸炎や大腸炎などを考える必要があります。特に、発熱を伴う、水のような下痢が何度も続く、腹痛が強いといった場合は、早めに消化器内科で相談することが大切です。
Q. 整腸剤を飲んでも下痢が治らないときは、何が考えられますか?
A. 一時的な胃腸炎ではなく、細菌性の感染性腸炎や、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、まれに大腸がんなどが隠れていることがあります。症状が長引く場合や悪化する場合は、血液検査、便検査、腹部エコー、大腸カメラなどを検討します。
Q. カンピロバクター腸炎では、どんな症状が出ますか?
A. 発熱、腹痛、水下痢、吐き気などがみられることがあります。人によっては血便を伴うこともあります。症状が強い場合は、単なるお腹の風邪と思って様子を見ず、受診して原因を確認することが大切です。
Q. 鶏の刺身や加熱不十分な鶏肉で感染することはありますか?
A. あります。カンピロバクターは、加熱が不十分な鶏肉や鶏刺しなどが原因となることがあります。食後しばらくして発熱や腹痛、下痢が出た場合は、食事内容も診断の大切な手がかりになります。
Q. 腹部エコーで大腸炎はわかりますか?
A. 腹部エコーで腸管のむくみや壁の厚み、炎症が疑われる所見が見えることがあります。特に、急性の大腸炎では右側結腸を中心に変化がみられることもあり、血液検査などとあわせて診断の参考になります。
Q. 感染性腸炎では抗生剤が必ず必要ですか?
A. 必ずしも全員に必要というわけではありません。症状の強さ、発熱の有無、炎症の程度、原因として疑われる菌などをみながら判断します。症状が軽い場合は整腸剤や食事・水分管理で改善することもありますが、症状が強い場合は抗生剤を使うことがあります。
Q. 下痢が続くときは、どんな飲み物や食事がよいですか?
A. 脱水を防ぐことが大切なので、経口補水液やスポーツドリンクなどで少しずつ水分をとりましょう。食事は、おかゆ、うどん、やわらかく煮たものなど、消化しやすい内容が向いています。脂っこいもの、刺激の強いもの、アルコールは控えるのが安心です。
Q. どんな症状があれば、早めに受診した方がよいですか?
A. 発熱が続く、血便がある、腹痛が強い、水分がとれない、下痢の回数が多い、症状が1週間近く続く場合は早めの受診をおすすめします。脱水や強い炎症を起こしていることがあり、点滴や詳しい検査が必要になることもあります。
Q. 下痢が長引くときは、大腸カメラが必要ですか?
A. 必要になることがあります。特に、血便を伴う場合、症状がなかなか改善しない場合、体重減少がある場合には、感染性腸炎だけでなく、潰瘍性大腸炎や大腸がんなども含めて確認するために大腸カメラを検討します。
Q. 胃腸炎が治ったあとも、お腹の調子が戻らないことはありますか?
A. あります。強い胃腸炎のあとに、お腹の張りや腹痛、下痢が続き、過敏性腸症候群のような状態に移行することがあります。感染が治まったあとも症状が続く場合は、治療方針が変わることがあるため、一度相談するのがおすすめです。
Q. 感染性腸炎は人から人にうつりますか?
A. うつる場合があります。感染性腸炎は、病原体が口から入る「経口感染」で起こります。多くは食品を介した食中毒ですが、感染者の吐物や便に触れた手で口元を触る、手洗いが不十分なまま共有のタオルやドアノブなどを介して病原体が広がる、汚染された手で食品を扱う、といった場面でも感染することがあります。また、吐物や便を放置して乾燥すると、病原体が舞い上がって感染につながることもあるため、適切な処理と十分な手洗いが大切です。
Q. 感染性腸炎でも仕事に行ってよいですか?
A. 症状の強さや仕事内容によって異なります。一般的な感染性腸炎では一律の就労停止が必要になるとは限りませんが、下痢や腹痛、発熱がある間は無理をせず休養をとることが大切です。特に、飲食業や食品を扱う仕事では、周囲へ感染を広げる可能性があるため注意が必要です。症状が続いている間は出勤を控え、職場のルールや医師の指示に従うようにしましょう。
Q. 飲食業や食品を扱う仕事では、いつから復帰できますか?
A. 飲食業や食品製造など、食品を直接扱う仕事では特に慎重な判断が必要です。嘔吐や下痢などの症状がある間は、食品への二次感染を防ぐため、基本的には休養が勧められます。とくにノロウイルスが疑われる場合は、職場や保健所の指導に従い、必要に応じて便検査の扱いも含めて判断します。復帰時期に迷う場合は、自己判断せず職場責任者や医療機関に相談するのが安心です。
Q. 下痢が1週間以上続く場合は、どんな病気が考えられますか?
A. 感染性腸炎のほか、潰瘍性大腸炎や大腸がんなど、慢性的な腸の病気が隠れている可能性があります。特に、血便を伴う、体重が減る、症状がなかなか改善しないといった場合は、感染性腸炎だけでなく大腸の詳しい評価が必要です。こうした場合には、大腸内視鏡検査を検討します。
Q. 食中毒はどのくらいで治りますか?
A. 原因となる菌やウイルスによって異なりますが、軽症であれば2~3日ほどで改善することもあります。ただし、カンピロバクター腸炎や一部の細菌性腸炎では、1週間近く症状が続くこともあります。水分がとれない、発熱が続く、腹痛が強い、下痢が長引くといった場合は、早めの受診が大切です。
Q. 感染性腸炎の再発を防ぐにはどうすればよいですか?
A. 生肉や加熱不十分な食品は避け、十分に加熱して食べることが大切です。また、食事の前やトイレの後の手洗い、調理器具の衛生管理、外食や旅行先での食品の取り扱いに注意することで、感染のリスクを下げることができます。家族内で感染者がいる場合は、吐物や便の処理を適切に行い、共用部分の衛生管理にも気を配りましょう。
関連ページ
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
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参考文献:
- 厚生労働省. 食中毒.
- Centers for Disease Control and Prevention. Symptoms of Campylobacter Infection.
- Centers for Disease Control and Prevention. Clinical Overview of Campylobacter.
- 厚生労働省. ノロウイルスに関するQ&A.
- 厚生労働省. HACCPの考え方を取り入れた 食品衛生管理の手引書.
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Diarrhea.
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Diagnosis of Diarrhea.
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Ulcerative Colitis.
- Barbara G, Grover M, Bercik P, et al. Rome Foundation Working Team Report on Post-Infection Irritable Bowel Syndrome. Gastroenterology. 2019;156(1):46-58.e7.
