実際の治療例 “食道に食べ物がつかえる感じがする(食道アカラシア)”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
30代 男性 食道に食べ物がつかえる感じがする
【症状】
1年程前から食事をすると食道に詰まるような感じがあり、近所の消化器内科クリニックを受診。
同院で胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けましたが異常なしとの診断で、精神的なものではないかと言われ、薬を出されましたが一向に改善しないとのことで当院を受診されました。
【問診】
詰まるような感じは食事の時に感じるものの、特に思い当たる精神的なストレスなどもないとのことで、
症状と合わせて食道の通過障害などが疑われ、ご本人と相談し再度胃内視鏡(胃カメラ)を行い状態を見てみることとしました。
【検査】
内視鏡を行うと、上部~下部食道に拡張を認め食道内に水分が貯留している状態で、胃と食道のつなぎ目に狭窄を認め、食道アカラシアという病気と診断しました。
食道の括約筋の収縮異常により胃と食道のつなぎ目が狭窄して食事の通り道が非常に細くなっています(黄色矢印)。 また筋肉の強い収縮により、筋肉が盛り上がり隆起している部分もあります(青色矢印)
食道アカラシアとは、胃と食道のつなぎ目の括約筋が異常に収縮してしまい狭窄して通過障害を起こす病気です。
固形物が通りにくくなることで、つまり感が起こったり、実際に嘔吐してしまうなどの症状が出ます。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
■関連ページ:食道アカラシア
【治療】【経過】
軽度~中等度のアカラシアに対しては異常に収縮した括約筋を内視鏡で切開するという治療があり、アカラシアを根本的に改善してくれます。
造影検査や食道の内圧測定などで状態を確認したうえで治療を行っていきますが、外来での対応が難しいため入院可能な高次医療機関に紹介し、治療を受けて頂きました。
治療後から症状は速やかに消失し、現在もつまり感などは一切感じない状態となっておられます。
食道に食べ物がつまるような感覚を起こす病気としては
- 逆流性食道炎
- 食道カンジダ症
- 食道ガンなどの腫瘍
- 好酸球性食道炎
- 食道アカラシアなどの蠕動運動異常
などが挙げられます。
この中でも好酸球性食道炎やアカラシアなどは比較的珍しい疾患であり、実際に経験したことのない医師もいるため胃カメラで見逃されてしまうことも少なくありません。
今回のように胃カメラで異常がないと言われても症状が改善ない場合には、専門施設での内視鏡を受けることも重要です。
症状でお悩みの方はお力になれることもありますので、一度ご相談ください!
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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