【要注意】3年続く便潜血陽性を放置|自覚症状なしで見つかった直腸早期がん
「検診で便潜血陽性といわれたけれど、症状もないし大丈夫だろう」
と放置してしまう方は少なくありません。
しかし、便潜血陽性は大腸がんやポリープのサインであることがあり、適切な検査を受けなければ見逃してしまう危険性があります。特に大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどないことも多く、「痛くない」「血便がない」「便通も普通」という状態でも見つかることがあります。
今回は 3年連続で便潜血陽性が続いていた50代男性 に、大腸カメラ(大腸内視鏡)を行ったところ一部がん化した直腸ポリープ(早期がん)が発見され、内視鏡治療で根治に至った実例をご紹介します。
幸い、内視鏡治療で根治できる段階で見つかりましたが、もしさらに放置していれば進行がんとして見つかっていた可能性もあります。
本記事では便潜血と大腸がんとの関係や、受診のタイミングについて、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
便潜血陽性の方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
便潜血陽性とは?大腸がん検診で何を見ているのか
便潜血検査は、便の表面を採取して、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。日本の大腸がん検診では、主に40歳以上の方を対象に年1回の便潜血検査が行われます。
便潜血陽性は「大腸がんが確定した」という意味ではありません。便に血液が混じる原因は一つではなく、痔のような良性疾患から、大腸ポリープ、大腸がん、大腸炎、憩室出血などまで幅広く考えます。
一方で、便潜血陽性は大腸がんや大腸ポリープを見つける重要なきっかけにもなります。大腸がんは毎日出血しているとは限らないため、2日法のうち1日分だけ陽性であっても精密検査の対象になります【1】。
また、便潜血検査をもう一度受けることは精密検査の代わりにはなりません。再検査で陰性になったとしても、大腸がんやポリープがないことを証明できるわけではないためです【1】。
便潜血陽性について詳しく知りたい方へ
便潜血陽性は、痔だけでなく大腸ポリープや大腸がんなどが隠れていることがあります。
放置リスクや検査の必要性、状況別の実例は、以下のページで詳しく解説しています。
→ 便潜血陽性とは?原因・放置リスク・大腸カメラの必要性を専門医が解説
便潜血陽性で大腸カメラが必要な理由
便潜血陽性になった場合に大切なのは、「もう一度便検査を受けること」ではなく、大腸の中を直接確認することです。
大腸カメラでは、直腸から盲腸まで大腸全体の粘膜を観察し、ポリープ、早期がん、進行がん、炎症、憩室出血などの有無を確認します。必要に応じて組織検査を行ったり、切除可能なポリープであれば内視鏡で切除できることもあります。
陽性の便潜血検査後に大腸カメラを受けなかった方では、大腸がんによる死亡リスクが高くなることが報告されています【2】【3】。便潜血陽性は「検査を受けるべきサイン」と考えることが大切です。
大腸カメラについて詳しく知りたい方へ
実際の症例|50代男性「3年ほど前から検診で便潜血陽性が続いている」
【症状】
3年ほど前から、会社の検診で便潜血陽性を指摘されていました。しかし、腹痛、血便、便秘、下痢、体重減少などの自覚症状はなく、「症状がないから大丈夫だろう」と考え、医療機関は受診していませんでした。
今回、会社の産業医から「必ず医療機関を受診するように」と指示があり、当院を受診されました。
このように、便潜血陽性は自覚症状がない方でも見つかることがあります。むしろ早期大腸がんや大腸ポリープでは、症状が出ない段階で検診異常だけがきっかけになることも少なくありません。
【診察】
ご本人に便潜血検査は「大腸がん検診の位置づけであり、陽性の方に大腸内視鏡を行うと3%程度に大腸がんが見つかっている」ことをご説明し大腸内視鏡を行うこととしました。
【検査】
内視鏡を行うと直腸に20㎜大のポリープを認め、便潜血陽性の原因と考えました。
内視鏡上は一部がん化している早期がんの可能性がありましたが、内視鏡治療で根治出来る状態と考え内視鏡切除を行いました。
▶関連ページ:
・大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます
【治療】
内視鏡治療後も合併症なく経過し、切除したポリープの病理検査結果はやはり早期ガンでしたが、幸いにも転移の心配のない状態であり、根治が出来ました。
一方で、3年間便潜血陽性を指摘されていたにもかかわらず検査を受けていなかったため、発見が遅れていれば進行がんとして見つかっていた可能性もあります。
受診の目安
以下に当てはまる方は、できるだけ早めに消化器内科でご相談ください。
- 便潜血陽性を指摘された
- 2日法のうち1日だけ陽性だった
- 便潜血陽性が毎年続いている
- 痔があるため便潜血陽性を放置している
- 自覚症状はないが、検診で要精密検査になった
- 血便、便が細い、便秘、下痢、お腹の張りがある
- 体重減少や貧血を指摘された
- 大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある
特に「症状がないから大丈夫」「痔だと思う」「次の検診まで待つ」という判断は危険です。便潜血陽性を指摘された時点で、精密検査として大腸カメラを受けることをおすすめします。
院長コメント
便潜血陽性は、患者さんご自身では症状を感じにくい検診異常です。
そのため、「忙しいから」「症状がないから」「痔だと思うから」と受診を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。
しかし、今回の症例のように、便潜血陽性の背景に早期大腸がんが隠れていることがあります。
大腸がんは進行してから見つかると手術や抗がん剤治療が必要になることがありますが、早期で発見できれば、内視鏡治療で根治できるケースもあります。
また、便潜血陽性反応後に大腸内視鏡を施行しなかった方は施行した方に比べ、直腸ガン・大腸ガンによる死亡率が2倍以上になったとの報告もあり便潜血陽性を指摘された方は、決して自己判断で放置せず、大腸カメラによる精密検査をご検討ください。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。是非ご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問
Q. 便潜血陽性は必ず大腸がんという意味ですか?
いいえ、便潜血陽性が必ず大腸がんを意味するわけではありません。痔、大腸ポリープ、大腸炎、憩室出血などでも陽性になることがあります。ただし、大腸がんや早期がんが隠れていることもあるため、陽性になった場合は大腸カメラで原因を確認することが大切です。
Q. 便潜血陽性でも症状がなければ様子を見てもよいですか?
おすすめできません。大腸がんや大腸ポリープは、早期では自覚症状がないことが多くあります。「腹痛がない」「血便がない」「便通が普通」という状態でも、検診で便潜血陽性となり、大腸カメラで病変が見つかることがあります。
Q. 痔がある場合でも大腸カメラは必要ですか?
はい、必要です。痔があると便潜血陽性の原因になりえますが、痔だけが原因とは限りません。痔がある方でも、その奥に大腸ポリープや大腸がんが隠れていることがあります。痔のせいと自己判断せず、精密検査で確認することが大切です。
Q. 便潜血検査をもう一度受ければ、精密検査の代わりになりますか?
いいえ、便潜血検査の再検査は精密検査の代わりにはなりません。大腸がんや大腸ポリープは毎日出血しているとは限らないため、再検査で陰性になっても病気がないとは言えません。便潜血陽性となった場合は、大腸カメラで確認することが重要です。
Q. 便潜血陽性を何年も放置するとどうなりますか?
便潜血陽性の原因が大腸ポリープや早期大腸がんだった場合、放置している間に病変が大きくなったり、進行がんとして見つかったりする可能性があります。今回の症例でも、3年間便潜血陽性が続いていた方に直腸早期がんが見つかりました。陽性を指摘された時点で早めに受診することが大切です。
Q. 便潜血陽性で見つかる大腸がんは早期ですか?
早期で見つかることもありますが、すべてが早期とは限りません。便潜血陽性をきっかけに早期大腸がんが見つかり、内視鏡治療で根治できることもあります。一方で、放置していると進行してから見つかることもあるため、早めの精密検査が大切です。
Q. 大腸カメラでポリープが見つかったら、その場で取れますか?
ポリープの大きさ、形、場所、出血リスク、がんの疑いの程度によって異なります。切除可能と判断されるポリープであれば、検査中に内視鏡で切除できることがあります。ただし、大きな病変や深く浸潤している可能性がある病変では、専門的な治療方針を検討する必要があります。
Q. 大腸カメラは痛いですか?
当院では、鎮静剤を使用し、できるだけ苦痛を抑えた大腸カメラを行っています。検査への不安が強い方、過去につらい経験がある方もご相談ください。検査の流れや鎮静剤の使用については、事前に説明したうえで進めます。
👉 関連ページ:なぜ当院の大腸内視鏡は「痛くなく」「苦しくない」の?
Q. 便潜血陽性後、どのくらい早く検査を受けるべきですか?
便潜血陽性を指摘されたら、できるだけ早めに消化器内科を受診し、大腸カメラの相談をしてください。症状がない場合でも、次の検診まで待つのではなく、精密検査として原因を確認することが大切です。
Q. ポリープや早期がんを切除した後も経過観察は必要ですか?
はい、必要です。ポリープや早期がんを切除した後も、新しいポリープができることがあります。病理結果や病変の大きさ、数、形によって経過観察の間隔は異なりますので、医師の指示に従って定期的な大腸カメラを受けることが大切です。
まとめ
便潜血陽性は、症状がない方にとっては軽く考えられやすい検診異常です。しかし、大腸ポリープや早期大腸がんが隠れていることがあり、放置してよい所見ではありません。
✔ 便潜血陽性は、痔だけでなく大腸ポリープや大腸がんでも起こります。
✔ 大腸がんは早期では自覚症状がないことが多くあります。
✔ 便潜血検査の再検査は、精密検査の代わりにはなりません。
✔ 便潜血陽性後は、大腸カメラで原因を確認することが大切です。
✔ 早期に見つかれば、内視鏡治療で根治できるケースもあります。
関連ページ
便潜血陽性をきっかけに見つかる大腸がんについては、以下のページでも詳しく解説しています。
大腸カメラ(内視鏡について)はこちらからご確認頂けます
- ▶ 大腸カメラの詳細(検査のやり方・詳しい流れなど)
- ▶ なぜ当院の大腸内視鏡は「痛くなく」「苦しくない」の?
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- ▶ 専門医が教えます!大腸カメラは何歳から受けるべき?
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
- National Cancer Institute. Follow-Up Colonoscopy after Positive FIT Test. 2022.
- Zorzi M, et al. Non-compliance with colonoscopy after a positive faecal immunochemical test doubles the risk of dying from colorectal cancer. Gut. 2022;71:561-567.
- 国立がん研究センター「科学的根拠に基づくわが国の大腸がん検診を提言」2024年11月27日.
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
