背中の痛みで見つかった膵臓がん|実例からわかる受診の目安と必要な検査
💡本記事でお伝えしたいポイント
✅ 背中の痛みは、筋肉や姿勢だけでなく、膵炎・胆石・膵臓がんなど内臓の病気でも起こります。
✅ 長引く背中の痛みに、食欲低下・体重減少・黄疸が重なる場合は、膵臓の病気も考えることが大切です。
✅ 膵臓の病気が疑われるときは、腹部エコーや血液検査が初期評価の入口になります。
✅ 必要に応じて、CT・MRI・超音波内視鏡(EUS)などで詳しく調べます。
✅ 「ただの背中の痛みかな」と思っても、症状が続くときは早めにご相談ください。
「最近、背中が痛む」「疲れや姿勢のせいかと思ったけれど、なかなか治らない」。
背中の痛みの多くは筋肉や骨、姿勢の問題で起こりますが、なかには膵臓・胆のう・胃や十二指腸などの病気が隠れていることもあります。
特に、痛みが長引く場合や、食欲低下・体重減少・黄疸などを伴う場合には、内臓の病気も考えて確認することが大切です【1】【2】【3】。
今回は、背中の痛みをきっかけに膵臓がんが見つかった実際の症例をもとに、原因として考えたい病気、必要な検査、受診の目安を専門医の院長がわかりやすく解説します。
背中の痛みが続く方、膵臓の病気が心配な方へ
当院では症状の経過を確認し、必要に応じて腹部エコーや血液検査を行います。さらに詳しい検査が必要な場合は、高次医療機関でのCT・MRI・超音波内視鏡検査につなげます。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
背中の痛みを起こす主な原因
背中の痛みがあると、まず筋肉や骨のトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、消化器内科では次のような病気も鑑別に入ります。
- 逆流性食道炎
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胆石症・胆のう炎
- 急性膵炎・慢性膵炎
- 膵臓がん
- 機能性ディスペプシア
- 尿管結石や腎臓の病気 など
なかでも膵臓は体の奥、背中に近い位置にあるため、膵臓の病気ではみぞおちの痛みよりも先に背中の痛みとして感じることがあります【1】【2】。
そもそも、なぜ膵臓の病気で背中が痛むの?
膵臓は、胃の後ろ側、体のかなり奥にある臓器です。そのため、膵臓に炎症や腫瘍が起こると、みぞおちだけでなく背中側の痛みとして感じることがあります【1】【2】。
とくに膵臓がんは、小さいうちは症状が出にくい一方で、進行すると腹痛、食欲低下、体重減少、黄疸、背中の痛みなどがみられることがあります【1】【2】【3】。
膵臓の病気による痛みは、「背中の真ん中あたりが重い」「鈍い痛みが続く」「みぞおちの痛みと一緒に背中までひびく」と表現されることがあります。筋肉痛のように体を動かしたときだけ強くなるとは限らず、じわじわ続くことがあるのも特徴です【1】【2】。
ただし、背中の痛みがあるからといって、すべてが膵臓の病気というわけではありません。実際には、筋肉や骨の問題、胆石、胃・十二指腸の病気などでも背中の痛みは起こります。
そのため、痛みが長引く場合や、食欲低下・体重減少・黄疸・糖尿病の悪化などを伴う場合には、膵臓も含めて確認することが大切です【1】【2】【3】。
実際の診療例|50代男性「背中が痛い」
症状
2か月ほど前から断続的に背中の痛みを感じており、会社の同僚が同様の症状で膵臓がんと診断されたことから、不安になって受診されました。
背中の痛みだけでは、疲労や筋肉痛と考えて様子を見てしまうこともあります。ただし、膵臓がんは初期には症状が乏しく、背中の痛みが受診のきっかけになることもあります【1】【3】。
診察
背中の痛みの原因は幅広いため、診察ではまず以下のような点を確認します。
- 痛みがいつから続いているか
- 食事との関係があるか
- みぞおちの痛みや吐き気を伴うか
- 食欲低下や体重減少があるか
- 黄疸や尿の色の変化がないか
- 糖尿病の悪化や新規発症がないか
この症例では、背部痛の原因として膵がんや膵炎などの膵臓病変も考えられたため、腹部エコーや血液検査で膵臓の状態を確認する方針となりました。
検査
腹部エコーでは、膵臓に約30mm大の腫瘤(青矢印)と、腫瘍より尾側の膵管拡張(赤矢印)を認めました。さらに血液検査では、膵酵素と腫瘍マーカーの上昇があり、膵臓がんが強く疑われました。
実際のエコー画像
膵臓がんを調べる際には、一般的に以下のような検査を組み合わせます。
- 血液検査
- 腹部エコー
- 造影CT
- MRI / MRCP
- 超音波内視鏡(EUS)
- 必要に応じた病理検査
中でも腹部エコーは外来でも行いやすい有用な検査であり、当院では積極的に行っております。
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治療
膵臓がんの治療は、手術が可能かどうかをまず評価したうえで決まります。病期に応じて、手術、抗がん剤治療、放射線治療、化学放射線療法などが選択されます【6】。
この症例では、確定診断と病期評価のために高次医療機関へ紹介し、同院でStage IV膵臓がんと診断されました。手術での治療は難しく、抗がん剤治療が行われる方針となりました。
膵臓がんとは
膵臓がんは、膵臓にできるがんで、多くは膵管の細胞から発生します。膵臓は体の奥にあるため、小さいうちは症状が出にくく、早期発見が難しいことが特徴です【1】【2】。
主な症状としては、以下のようなものがあります。
- 背中の痛み
- みぞおちの痛み
- 食欲低下
- 体重減少
- 黄疸
- 糖尿病の急な悪化や新規発症
また、発症リスクとしては、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、肥満、家族歴、IPMNなどが知られています【1】【2】。
受診の目安
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
- 背中の痛みが数日以上続く
- 痛みが徐々に強くなっている
- 食欲が落ちてきた
- 体重が減ってきた
- 黄疸や尿の色の変化がある
- 糖尿病を急に指摘された、または急に悪化した
- 整形外科で異常がないのに症状が続く
院長からのコメント
背中の痛みは、どうしても筋肉や姿勢の問題と思われがちです。しかし実際には、膵炎や胆石、十二指腸潰瘍、そして膵臓がんなど、内臓の病気が背中の痛みとして現れることがあります。
特に膵臓がんは、自覚症状がはっきりしないまま進行することも少なくありません。長引く背中の痛みや、食欲低下・体重減少などを伴う場合には、早めに検査を受けることが大切です。
当院では、最短で当日中に腹部エコーや血液検査で初期評価を行い、必要な場合には高次医療機関での精査につなげています。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
よくある質問
Q. 背中の痛みがあると、必ず膵臓がんですか?
A. いいえ。背中の痛みの原因は、筋肉や骨の病気のほか、逆流性食道炎、胆石、膵炎などさまざまです。ただし、長引く背中の痛みに体重減少や食欲低下が伴う場合は、膵臓がんも鑑別に入ります【1】【2】。
Q. 膵臓がんでは、なぜ背中が痛くなるのですか?
A. 膵臓は体の奥の背側にあるため、腫瘍が大きくなると背中側の痛みとして感じることがあります【1】【2】。
Q. 背中の痛みだけで膵臓がんが見つかることはありますか?
A. あります。膵臓がんは初期症状が乏しく、背中の痛みが受診のきっかけになることがあります。原因不明の背部痛が続く場合は消化器内科での評価が大切です【1】【3】。
Q. 膵臓がんを疑うとき、最初にどんな検査をしますか?
A. 血液検査と腹部エコーが初期評価として行われることが多く、その後必要に応じてCT、MRI、超音波内視鏡(EUS)などを追加します【2】【3】【5】。
Q. 腹部エコーだけで膵臓がんはわかりますか?
A. 腹部エコーは有用な入口の検査ですが、膵臓はガスの影響で見えにくいことがあり、膵全体を十分に描出できない場合があります。そのため、必要に応じてCTやMRI、EUSなどを組み合わせます【3】【4】【5】。
Q. CA19-9が高いと膵臓がんですか?
A. CA19-9は膵臓がんで使われる代表的な腫瘍マーカーですが、値だけでがんと確定することはできません。画像検査や必要時の病理検査と合わせて総合的に判断します【2】【3】。
Q. どんな症状があれば早めに受診したほうがいいですか?
A. 背中の痛みが長引く、徐々に強くなる、食欲が落ちる、体重が減る、黄疸が出る、糖尿病が急に悪化した、といった場合は早めの受診をおすすめします【1】【2】。
Q. 膵臓がんのリスクが高い人はいますか?
A. 喫煙、糖尿病、慢性膵炎、肥満、家族歴、IPMNなどが発症リスクとして知られています【1】【2】。
Q. 背中の痛みがあるときは整形外科と消化器内科、どちらを受診すればよいですか?
A. 動作で悪化する痛みや筋肉痛のような痛みは整形外科が合うことがあります。一方、食欲低下、体重減少、黄疸、みぞおち症状などを伴う場合は、消化器内科での評価が適しています【1】【2】。
Q. 膵臓がんの治療にはどんなものがありますか?
A. 病期に応じて、手術、抗がん剤治療、放射線治療、化学放射線療法などを選択します。切除可能かどうかが治療方針の大きな分かれ目になります【6】。
まとめ
- 背中の痛みは、筋肉や骨だけでなく、膵炎・胆石・膵臓がんなど消化器の病気でも起こります。
- 膵臓がんは症状が乏しく、背中の痛みがきっかけになることがある病気です。
- 食欲低下、体重減少、黄疸、糖尿病悪化を伴う場合は要注意です。
- 初期評価では腹部エコーと血液検査が役立ちます。
- 必要に応じてCT・MRI・超音波内視鏡(EUS)などの追加検査を行います。
- 「様子見でよい痛みか迷う」ときは、早めに相談することが大切です。
症状が気になる方はご相談ください
背中の痛みが続く方、食欲低下や体重減少を伴う方は、当院まで相談をご検討ください。
最短当日に背部痛に対しての血液検査や腹部エコーを行い診断をつけています。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
関連ページ
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内臓からくる背部痛についての総論ページはこちら
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- ▶ 20代女性・食後に背中が痛い…原因は胆石胆のう炎だったの実例
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
アクセス
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参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス.膵臓がん.
- 国立がん研究センター東病院.膵(すい)がん.
- 国立がん研究センター がん情報サービス.膵臓がん 検査.
- 日本膵臓学会.膵癌診療ガイドライン 2022年版.
- 国立がん研究センター中央病院.超音波内視鏡(EUS).
- 国立がん研究センター がん情報サービス.膵臓がん 治療.
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
