胸焼けがないのに逆流性食道炎?のどの違和感・咳が続く原因と必要な検査を専門医が解説
「胸焼けはないのに、のどが気になる」
「風邪が治ったのに、咳だけが残る」
「声がかすれてきたが、原因がわからない」
こうした症状で受診される方が、ここ最近、当院でも増えています。
検査を進めていくと、その背景に逆流性食道炎が関与していることがあり、胸やけなどがの典型的な症状がないことから「隠れ逆流性食道炎」と呼ぶことがあります。
本記事ではのどの違和感や咳・痰がらみ、声のかすれと関係する可能性のある疾患や、受診のタイミングについて、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
同様の症状でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
概要|「隠れ逆流性食道炎」とは?
「隠れ逆流性食道炎」は正式な病名ではありません。
医学的には次のような状態を含めて説明されることが多い言葉です。
-
逆流性食道炎(GERD)
-
非びらん性逆流症(NERD)
-
咽喉頭酸逆流症(LPRD)
つまり
👉 胃カメラで強い炎症が見えなくても
👉 胸焼けを自覚していなくても
👉 逆流が原因で症状が出ているケース
を指す“患者さん向けの表現”と考えていただくとよいでしょう【1】【3】。
胸焼けがないのに起こる理由
逆流=胸焼け、と思われがちですが、実際には次のようなケースがあります。
-
胃酸が強くない(弱酸性・非酸性逆流)
-
逆流の量は少ないが、のどが過敏
-
逆流が主に就寝中・無自覚の時間帯に起きている
-
食道の炎症が軽度で、痛みとして感じにくい
このため「食道は平気なのに、のどや咳の症状だけが出る」という状態が起こります。
原因と鑑別疾患
ただし、のどの違和感・咳=逆流性食道炎と決めつけるのは危険です。
中にはがんなどの重篤な病気が潜んでいる可能性もあります。
逆流以外に多い原因
-
後鼻漏(慢性鼻炎・副鼻腔炎)
-
咳喘息・気管支喘息
-
感染後咳嗽
-
薬剤性(降圧薬など)
-
ストレスによる自律神経の乱れ
-
好酸球性食道炎 など【2】
- 甲状腺疾患
- 咽頭がんや食道がんなどの悪性腫瘍
👉 巣鴨駅前胃腸内科では「逆流だけを疑わない」ことを大切にしています。
必要な検査
① 丁寧な問診
-
症状が出る時間帯
-
食事・姿勢との関係
-
のど・鼻・呼吸器症状の有無
② 胃カメラ(上部内視鏡)
-
逆流性食道炎の有無
-
食道裂孔ヘルニア
-
腫瘍・潰瘍・好酸球性食道炎の除外
👉 胸焼けがなくても、胃カメラは重要な検査です。
実際の胃カメラの所見
のどの違和感で受診された40代女性の画像です。
胃と食道のつなぎ目に線状の炎症(黄色部分)を認め、GradeAの逆流性食道炎と診断しました。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、最短で当日中に検査できる体制を整えています。
お困りの方は是非ご相談ください。
※診療状況や予約状況によっては当日の検査ができないこともあります。
③ 必要に応じた追加評価
-
症状が長引く場合
-
薬の反応が悪い場合
では、高次医療機関での検査(24時間phモニタリング)や耳鼻科などの他科連携を検討します【3】。
治療と予防
「逆流を引き起こす胃酸分泌過多の適正化」+「胃酸からの粘膜保護」+「逆流し易い生活習慣の改善」が基本です
① 生活習慣の見直し(とても重要)
-
就寝前2〜3時間は食事を控える
-
食後すぐ横にならない
-
前かがみ姿勢を減らす
-
体重管理(減量で改善する例あり【6】)
② 薬物療法
-
PPI/P-CAB:胃酸分泌過多を抑える制酸剤。逆流治療の中心【1】
-
アルギン酸製剤:粘膜保護剤。食後症状に有効【8】
改善しない場合は、
必要に応じて漢方やi-katsuサプリなどの併用。他の病気(後鼻漏・喘息・EoE・機能性胸やけ等)の可能性の再考などを行います。
関連ページ:
実際の治療例|50代男性「食後ののどの不快感・異物感」
【症状】
- 数か月前から食後ののどの不快感・異物感
- 耳鼻科で喉頭ファイバーやアレルギー検査を受けるも異常なし
- 「逆流性食道炎の可能性」を指摘され、胃カメラを勧められ当院を受診
【検査】
胃カメラでは胃と食道のつなぎ目部分に炎症(黄色部分)を認め、逆流性食道炎と診断しました
【治療】
治療は以下の3本柱で行います:
- 胃酸の分泌過多を抑える制酸薬
- 胃の動きを改善し胃酸の流れをよくする機能改善薬
- コーヒーなどの逆流性食道炎を引き起こす生活習慣の改善
投薬開始後、4日ほどで症状の程度が低下してきて、2週間ほどで症状は消失。
患者さんから再発予防の希望があり、薬の治療終了後から i-katsuサプリを服用 していただき、再発なく安定した状態を維持しています。
院長からのコメント
胸焼けがないからといって、逆流を否定することはできません。
一方で、逆流だけが原因ではないケースも非常に多いのが現実です。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、“決めつけず、適切な検査で、適切な治療を”を大切にしています。
のどや咳の症状が続いている方は、ぜひ一度ご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 胸焼けがないのに逆流性食道炎になることはありますか?
A. はい、あります。内視鏡で食道炎が見つかることもありますし、目に見えない炎症による逆流性食道炎でも症状が出ることがあります【1】【3】。
Q. のどの違和感や咳は、全部「逆流」が原因ですか?
A. いいえ。後鼻漏、喘息、感染後咳嗽など他の原因も多いため、逆流と決めつけず評価するのが大切です【2】。
Q. 「隠れ逆流性食道炎」は正式な病名ですか?
A. 一般的な呼び方で、医学的にはGERD(胃食道逆流症)や、LPRD(咽喉頭酸逆流症)と説明されることが多いです【2】【3】。
Q. 胃カメラで異常なしなら逆流ではない?
A. 逆流性食道炎(びらん)がなくても、逆流が関与する場合があります。必要に応じてpH検査など追加評価を検討します【3】。
Q. PPI(胃酸を抑える薬)はいつ飲むのが効果的?
A. 一般に「食前30〜60分」が推奨されています【1】。自己流だと効きが弱く感じることがあるため、用法は確認しましょう。
Q. アルギン酸はどんな人に向きますか?
A. 食後の逆流感・げっぷが多い方などで補助的に役立つことがあります。大規模な研究解析でも症状改善が示されています【8】。
Q. 夜間の症状には何が効きますか?
A. 就寝前の食事を避け、頭側を上げるなど姿勢対策が有効なことがあります【7】。薬の調整も含めて相談してください。
Q. 体重を落とすと逆流はよくなりますか?
A. 体重減少でGERD症状が改善した報告があります【6】。無理のない範囲での体重管理は大切です。
Q. 薬を飲んでも治らないときはどうしますか?
A. 逆流以外(後鼻漏、喘息、好酸球性食道炎、機能性胸やけ等)の可能性や、非酸性逆流の関与を再評価します【2】【4】。
Q. どんな症状なら早めに受診すべきですか?
A. 飲み込みにくい、体重減少、吐血・黒色便、貧血、強い胸痛、嘔吐が続く場合などは、がんや潰瘍などの病変の可能性があるため早めの受診をおすすめします。
まとめ
-
胸焼けがなくても逆流性食道炎はあり得る
-
のど・咳症状は鑑別がとても重要
-
胃カメラは「胃の症状がない人」にこそ役立つ
- 早めの相談が、長引く不調を防ぎます
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。
のどの違和感・咳・声がれ・痰がらみなどでお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
関連ページ
参考文献
【1】Katz PO, et al. ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022.
【2】Chen JW, et al. AGA Clinical Practice Update on the Diagnosis and Management of Extraesophageal Gastroesophageal Reflux Disease. Clin Gastroenterol Hepatol. 2023.
【3】Gyawali CP, et al. Updates to the modern diagnosis of GERD: Lyon Consensus 2.0. Gut. 2023/2024.
【4】Fass R, et al. AGA Clinical Practice Update on Functional Heartburn. Gastroenterology. 2020.
【5】日本消化器病学会. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂, 2021.
【6】Singh M, et al. Weight loss can lead to resolution of GERD symptoms. (Prospective study) 2013.
【7】Albarqouni L, et al. Head of bed elevation to relieve gastroesophageal reflux symptoms: systematic review. 2021.
【8】Leiman DA, et al. Alginate therapy is effective for GERD symptoms: systematic review and meta-analysis. Dis Esophagus. 2017.
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
アクセス
所在地
〒170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11 十一屋ビル4階
交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階巣鴨駅前胃腸内科クリニック
JR巣鴨駅 南口より徒歩3分。詳しい道順はこちら
▶📞お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833
▶【WEB予約】
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
