【実際の治療例】無症状の35歳の方に発見された早期大腸がん|家族歴がある方は要注意
この記事でわかること
- 35歳・無症状で早期大腸がんが見つかった実際の治療経過
- 早期大腸がんでは症状が出ないことがある理由
- 大腸がんの家族歴を医師に伝えるときのポイント
- 30代でも大腸カメラを検討した方がよいケース
- 血縁の近さや家族の発症年齢による検査時期の考え方
「まだ若いから大腸がんは関係ない」と思っていませんか?
大腸がんは年齢とともに増える病気ですが、若い方に起こらないわけではありません。また、早期の段階では血便、腹痛、便通異常、体重減少などがなく、検査を受けて初めて見つかることがあります[1]。
今回は、祖父と叔母に大腸がんの既往があり、家族から勧められて大腸カメラを受けた35歳男性の治療例を専門医の院長が分かりやすく解説します。
大切なのは「35歳なら全員が大腸カメラを受けるべき」ということではなく、若くても家族歴の内容や症状によっては、検査の時期を個別に相談する必要があるという点です。
大腸がんの家族歴がある方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
大腸がんの家族歴や大腸カメラについて相談したい方へ
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。大腸がんの家族歴がある方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
若い方に大腸がんが見つかる主なきっかけ
30代・40代で大腸がんが見つかるきっかけは一つではありません。主に次のような状況があります。
- 家族歴:親、兄弟姉妹、子どもなど近い血縁者に大腸がんや進行した大腸ポリープがある
- 症状:血便、便が細い、便秘・下痢の変化、腹痛、お腹の張り、貧血、体重減少などが続く
- 便潜血陽性:健診や人間ドックで要精密検査と判定された
- 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病で長期間治療している
- 遺伝性腫瘍の可能性:若くして発症した方が家系内にいる、複数の親族に大腸がん・子宮体がんなどがある、多数の大腸ポリープを指摘された
40歳以上の無症状の方には、日本の対策型大腸がん検診として年1回の便潜血検査が推奨されています[2]。
一方、血便などの症状がある方や、家族歴を含むリスクが気になる方は、検診の対象年齢を待つのではなく、診療として消化器内科への相談が重要です。
家族歴があると大腸がんリスクはどう変わる?
家族歴を考えるときは、「家族に大腸がんがいるか」だけでなく、次の4点を確認することが重要です。
- 血縁の近さ:親・兄弟姉妹・子どもなどの一親等か、祖父母・おじ・おばなどか
- 発症した年齢:特に50歳未満など、若い年齢で発症していないか
- 人数:大腸がんや進行した大腸ポリープの方が複数いないか
- 関連する病気:子宮体がん、胃がん、卵巣がん、尿路系がんなどが家系内に集中していないか
特に一等親に大腸がんの方がいる場合、発症のリスクが2〜3倍以上に上昇するというデータもあります。
ただし、家族歴だけで、すべての方に同じ年齢から大腸カメラが必要になるわけではありません。
今回の患者さんのように複数の親族に大腸がんがある場合は、家族それぞれの発症年齢やポリープ歴も含めて個別に評価します。
早期大腸がんとは?
大腸がんは、結腸または直腸の粘膜に発生する悪性腫瘍です。腺腫という良性のポリープが時間をかけてがん化するものと、正常に見える粘膜から直接発生するものがあります[1]。
近年は40代以下の若年発症が増えており、特に家族歴のある方は一般人口よりリスクが高いことが分かっています。
早期大腸がんは、がんが大腸の壁の浅い部分にとどまっている状態です。
病変の大きさ、形、深さ、場所などを評価し、リンパ節転移の可能性が低いと判断されれば、内視鏡で切除できる場合があります。ただし、切除後の病理検査で深い浸潤、脈管侵襲、切除断端などを確認し、必要に応じて追加手術を検討します[6]。
早期では腸管が狭くなったり大量に出血したりしないため、症状がないことは珍しくありません。「無症状だから大腸がんではない」とは言い切れない点が、今回の症例の重要なポイントです。
実際の治療例|35歳男性「家族に勧められ大腸内視鏡(大腸カメラ)を受けに来院」
【症状】
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自覚症状:なし
-
便の色・形・腹痛・体重減少もなし
-
家族歴あり(祖父と叔母に大腸がんの既往)
- 家族に大腸カメラを受けるように勧められて来院。
【診察】
症状の有無に加え、祖父・叔母の発症年齢、ほかの血縁者の大腸がん・大腸ポリープ歴、本人の既往歴や生活習慣を確認しました。
無症状であっても、大腸には次のような病変が存在する可能性があります。
- 腺腫性ポリープ
- 鋸歯状病変
- 早期大腸がん
- 炎症性ポリープ
- 粘膜下腫瘍など
便潜血検査は大腸がん検診に有効ですが、病変が常に出血するとは限らないため、陰性でも病変を完全に否定できる検査ではありません。今回のように家族歴の内容を踏まえて相談した結果、大腸全体を直接観察できる大腸カメラを行う方針としました。
【大腸カメラ】
家族歴もあり、大腸がんのリスクがあるため大腸カメラを施行。
S状結腸に15㎜大の腫瘍を認め、その場で内視鏡切除しました。
■実際の大腸カメラの画像■
矢印部分で囲まれた部分が腫瘍です
【経過】
その後合併症なく経過。
病理検査ではやはり「がん」との結果でしたが、転移の可能性がない「早期がん」の状態であり、治癒切除となりました。
半年後に再度大腸カメラで状態を確認することとして、今回は一旦治療終了となりました。
今回の治療例からわかること
1.若くても大腸がんは起こり得ます
大腸がんは高齢者に多い病気ですが、30代で発症することもあります。年齢だけで可能性をゼロにせず、症状や家族歴を確認することが大切です。
2.早期大腸がんは無症状のことがあります
今回の患者さんには、血便、腹痛、便通異常、体重減少のいずれもありませんでした。早期がんは便の通り道を大きく狭めず、目に見える出血も起こさないことがあるためです。
3.家族歴は「誰が・何歳で・何人」が重要です
家族歴がある方の検査時期は一律ではありません。一親等かどうか、若年発症か、複数人か、関連するがんがないかを整理すると、適切な相談につながります。
4.大腸カメラは発見と治療を同時に行える場合があります
病変の大きさ・形・深さが内視鏡治療の適応であれば、検査時に切除できる場合があります。切除後は必ず病理検査を行い、追加治療が必要かを判断します。
受診の目安|30代でも相談した方がよいケース
次のような場合は、40歳になるまで待たずに消化器内科で相談してください。
- 親、兄弟姉妹、子どもに大腸がんや進行した大腸ポリープの方がいる
- 祖父母、おじ・おばを含め、複数の血縁者に大腸がんの方がいる
- 家族が50歳未満など若い年齢で大腸がんを発症している
- 家系内に大腸がんと子宮体がんなどの関連がんが複数ある
- 健診で便潜血陽性・要精密検査と指摘された
- 血便や黒っぽい便がある
- 便秘・下痢、便が細いなどの変化が続く
- 腹痛やお腹の張りが続く
- 原因不明の貧血、だるさ、体重減少がある
- 潰瘍性大腸炎やクローン病で長期間治療している
院長からのコメント
今回のように、無症状でも「家族から勧められて受けた検査」で早期がんが見つかるケースは非常に多いです。
早期の段階で見つかれば、入院せず、内視鏡だけで完治できます。
反対に、発見が遅れると
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外科手術
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抗がん剤治療
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長期入院 が必要になる場合もあります。
「まだ若いから大丈夫」という思い込みほど危険なものはありません。
特に家族歴がある方は、35歳になったら一度は大腸カメラを受けることを推奨します。
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法、大腸に合わせたカメラの選択で行う内視鏡検査
- オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 下剤の工夫による負担の少ない前処置
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土日対応、事前診察は原則不要

よくある質問(FAQ)
Q1.30代でも大腸がんになることはありますか?
あります。大腸がんは年齢とともに増えますが、30代でも発症することがあります。血便や便通変化などの症状がある方、家族歴が気になる方は、年齢だけで判断せず消化器内科へ相談してください。
Q2.症状がなくても大腸がんが見つかるのですか?
はい。早期大腸がんは自覚症状がほとんどないことがあります。40歳以上では年1回の便潜血検査を受け、家族歴などのリスクがある場合は検査時期を個別に相談しましょう。
Q3.家族に大腸がんの人がいる場合、何歳から大腸カメラを受けますか?
一律ではありませんが、当院では35歳または家族の診断年齢より10年前から検査を勧めています
Q4.祖父母やおじ・おばが大腸がんでも相談した方がよいですか?
複数の親族に大腸がんがいる、若くして発症している、家系内に子宮体がんなどの関連がんがある場合は相談をおすすめします。二親等の家族歴だけで全員に同じ検査時期が決まるわけではなく、家系全体を見て判断します。
Q5.便潜血検査が陰性なら大腸がんの心配はありませんか?
陰性でも大腸がんやポリープを完全には否定できません。病変は常に出血するとは限らないためです。血便、便通変化、貧血、体重減少などがある場合は、便潜血の結果にかかわらず受診してください。
Q6.大腸カメラで見つかったポリープはその場で切除できますか?
大きさ、形、場所、がんの深さ、服用中の薬などから安全に切除できると判断した病変は、検査中に切除できる場合があります。大きな病変や深いがんが疑われる場合は、後日の専門治療や外科手術が必要です。
Q7.早期大腸がんなら内視鏡だけで治りますか?
リンパ節転移の可能性が低く、内視鏡で完全に切除できた早期がんは、内視鏡治療のみで経過観察できる場合があります。切除後の病理検査で追加手術が必要かを判断します。
Q8.大腸カメラは痛い検査ですか?
当院では腸の形や手術歴などを確認し、スコープ太さの調整や低痛挿入法、患者さんの状態に合わせた鎮静剤(静脈麻酔)など、お一人お一人に合わせた検査を行います。
Q9.若年性大腸がんでは遺伝子検査が必要ですか?
すべての方に必要とは限りません。ただし家系内に関連がんが多い場合、多数のがんがある場合などは、遺伝性腫瘍の評価や遺伝カウンセリングを検討します。
Q10.大腸ポリープ切除後はどのくらいで再検査しますか?
今回の症例では半年後に確認する方針としましたが、すべての方が同じ間隔ではありません。病変の数、大きさ、組織型、切除方法、病理結果によって異なります。
まとめ
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35歳男性、無症状だが家族の勧めで大腸カメラを受けた
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S状結腸に早期がんを発見
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内視鏡で治癒切除 → 完治
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家族歴がある人は若くてもリスクが高い
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早期発見なら入院不要・内視鏡だけで治療可能
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「無症状=安全」ではない
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家族歴がある方は早めの大腸カメラを推奨
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
関連ページ
無症状のまま見つかる大腸がんについては、以下のページでも詳しく解説しています。
大腸カメラ(内視鏡について)はこちらからご確認頂けます
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医師紹介・アクセス・診療時間
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス.大腸がん(結腸がん・直腸がん).
- 国立がん研究センター がん情報サービス.大腸がん検診について.
- Shaukat A, et al. ACG Clinical Guidelines: Colorectal Cancer Screening 2021. Am J Gastroenterol. 2021;116:458-479.
- American College of Gastroenterology. Colorectal Cancer: Screening and Family History.
- American College of Gastroenterology. Q&A on Colorectal Cancer Screening.
- 大腸癌研究会 編.大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版.金原出版.
