咽頭がん
いままで早期発見が難しいと言われてきた「咽頭がん」
ですが、実は胃カメラの際に工夫して観察することで、早期発見が可能となってきています!
<目次>
1.当院の内視鏡時の咽頭観察の工夫
当院では
- オリンパス製の次世代内視鏡システムEVIS-X1
- 4K・Ultra HDモニター
- 最新の内視鏡スコープ
を組み合わせ、NBIやTXIという色調を変化させる方法や、鎮静剤で咽の反射を抑えて咽頭をしっかり観察することで、早期の咽頭がんを発見可能にしています。
関連ページ:次世代内視鏡システムEVIS-X1の導入! 無痛胃カメラの詳細
※当院での咽頭観察の実際
当院では咽頭の観察時には常にNBIモードにし、咽頭を①~⑪のように細かく区域を設定し、病変を探しながら食道に入っていきます。
また抜去時にも同様の観察を行い、2度見ることで更に精度を高めています。
※咽頭の観察はNBIモードの方がいいの??
早期の咽頭癌は通常のモードでは視認性が悪く、病変を指摘しやすくするためにはNBIモードが適しています。
下の画像は通常モードでの咽頭の観察になります。
よく見てみると、実はここにすでに早期の咽頭がんが写っています。
はっきりとさせるためにNBIモードにしてみると、
赤矢印部分で囲まれた茶色の領域が咽頭がんになります。
このようにNBIモードにすると視認性が高まりガンを見つけやすくなります。
2枚の写真を並べると、
病変の視認性が上がるのがお分かりいただけると思います。
じっくりと写真でみると、通常モードの胃カメラでも咽頭がんの存在はわかりますが、実際に咽頭の観察は、部分部分は数秒で見ていくため、通常モードでの淡い色調変化などでは見落としてしまうこともあります。
NBIモードで観察すると、変化は一目瞭然で、実際に早期の咽頭がんについては通常の観察ではほとんどわからず、NBIで見つかることが多いのです。
(通常モードで指摘できた早期咽頭癌は全体のわずか8%のみであった、という報告もあります。)
2.咽頭癌になりやすい人はどんな人?
中~下咽頭部分は扁平上皮という細胞に覆われており、
①喫煙
②飲酒(特に、飲酒後すぐに顔が赤くなる方は高リスクと言われています。)
この2つが相乗的に作用してリスクを上げることが指摘されています。
咽頭がんは進行すると通常は手術や放射線治療になることが多く、術後も発声や食事に支障を来すこともありますが、早期であれば術後の生活に支障をきたすことが少ない内視鏡治療で根治することが出来ます。
ですので、喫煙者やお酒が好きな方は胃カメラで咽頭も含め定期的にしっかりと見ていくことが大切です。
※上咽頭がんについてほとんどがEBウイルス関連と言われています。
3.実際の症例
① 40代男性 咽頭の前がん病変(がんになる手前の状態)が見つかった方
お酒(日本酒1合・毎日)・たばこ(20本・22年)を好まれ、食道がんが心配とのことで受診された方です。
食道がんだけでなく、咽頭がんのリスクもあるため、のどもしっかりと観察しました。
写真のように、下咽頭の左側に前がん病変を疑う所見を認め、生検を行いました。
結果は内視鏡診断どおり前がん病変でしたが、約1㎜と小さかったため、生検したことでがん化する前に完全に取り除くことが出来ました。
このように極小さい病変であれば、生検時に小さな組織をつまむことがそのまま治療にもつながります。
この方は、1年に1回程度の定期観察を続け、再発がないかや他の部位に病変が出来てないかを確認しています。
②咽頭がん(下咽頭がん)
③中咽頭がん(喉頭蓋がん)
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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