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血便外来

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血便と聞くと、“お尻から血が出てる状態”を考える方が多いと思いますが、お尻から出血をきたしてるようないわゆる「下血」の状態から、肉眼的な出血はなく検便(大腸がん検診)にて指摘される「便潜血」まで、便に血が混じっている状態全てを指します。

 

排便後にティッシュにつく程度の少量の血便であっても、正常な状態で血便が出ることはなく、何らかの病気が潜んでいる可能性があります。

 

頻度的には痔や裂肛といった軽症の疾患が多いですが、中には直腸がんなどの病気のサインのこともあり、

“ティッシュに血がつくのはいつものことだから”

“たまにしかないから気にしない”

と放っておかず、まずは医療機関を受診することが重要です!

<目次>

  1. 血便の原因は?
  2. 検査は?
  3. 治療は?(実際の治療例)
  4. Q&A

 

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1.血便の原因は?

血便の原因は、肛門・直腸・大腸・小腸、場合によっては胃や十二指腸によることもあります。

血便の性状や発症時の様子から原因部位や疾患を推測することが出来ます。

 

鮮血便お尻から近い場所(肛門・直腸)からの出血が多いです。

 考えられる疾患;痔・裂肛・直腸がん・直腸ポリープなど

暗赤色便:途中で便に血が混じりこんでいる状態です。大腸の奥の方からの出血に特徴です。

 考えられる疾患;大腸憩室出血・大腸炎・メッケル憩室・小腸潰瘍など

黒色便:主に胃・十二指腸潰瘍・小腸からの出血で見られます。血液中の鉄分が吸収され便が黒色になります。(鉄剤の内服中でも見られます。)

 考えられる疾患;胃潰瘍・十二指腸潰瘍・小腸出血

粘血便:大腸の感染症や炎症性腸疾患にみられることが多いです。

 考えられる疾患;潰瘍性大腸炎・クローン病・アメーバ腸炎など

潜血便肉眼的な出血がなくても検査で便中に血液が検出される状態です。人間ドックや大腸がん検診で行われることが多い検査で、陽性の方に大腸カメラを行うと、3%弱の方に大腸がんが見つかっています

 考えられる疾患;大腸がん・直腸がん・大腸ポリープ・大腸炎・痔・裂肛など

血便疾患

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2.検査は?

前述のように血便の状態を把握することが非常に重要になってくるので、まずはしっかりと問診を行い、診断に必要な検査を組んでいきます。

<問診>

血便の性状や発症時の様子から原因部位を推測することが出来るため、最初の問診が非常に大事になります。

・血便状態(性状、タイミング、量)

・腹痛の有無

・慢性なのか?急性なのか?

などを確認。

<直腸診>

問診で痔などが疑われる場合は、痔や直腸の状態を確認するための診察を行います。診察室で簡単に受けれるます。

指に麻酔ゼリーをつけ、肛門から指を入れ腫瘤がないかや痔が浮腫んでいないかを確認したり、直腸鏡という器具を用いて直腸の出口付近の状態をみます。

<血液検査>

血便による貧血がないか、また、腸炎などが疑われる場合は炎症の程度を確認します。

初期の緊急性を見極めたり、炎症の経過を追っていく際にも重要になります。

腹部エコー

外から腸管の浮腫みの状態がわかります。すぐにできる簡便な検査で、炎症や感染・虚血による下血の場合は非常に有効です。

血便を来した感染性腸炎のエコー所見

大腸カメラ(大腸内視鏡)>

診察でわからない直腸の奥の部分や、大腸の病気が疑われた場合に行います。大腸の粘膜を直接見ることが出来るので、状態をしっかりと把握できます。

特に以下に該当する方は積極的に大腸カメラを受けることをお勧めします。

・大量の下血

・40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない

・便潜血陽性

・少量でも繰り返す血便・持続する血便

・粘液交じりの血便

・腹痛を伴う血便

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胃カメラ(胃内視鏡)>

黒色便などがあり、胃や十二指腸からの出血が疑われた際に行います。

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小腸カプセル内視鏡

小腸出血が疑われる場合や、胃カメラや大腸カメラを行っても原因不明の血便がある際に行います。

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3.治療は?

軽症の痔疾患や一過性の裂肛(硬い便やいきみのせいで肛門の周りの皮膚が切れてしまうこと)などは基本的にお薬で様子を見ますが、大きな病気が見つかった場合は病気に合わせて治療を行います。

以下当院での実際の治療例・診断例です。

 

Case① 60代男性 大腸がん

【症状】

特に自覚症状はありませんでしたが、検診で便潜血を指摘されて来院された方です。

【内視鏡検査】

精査のために大腸カメラを行ったところ、直腸がんが発見されました。

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【治療】

残念ながら進行がんのため内視鏡治療はできない状態でしたが、幸いにも転移はなく、手術にて完治しました。

 

便潜血検査陽性の方に大腸内視鏡を行ってみると3%程度の方に大腸がんが見つかるとのデータがあり、実際に今回のようにガンが見つかるケースもあります。

また、便潜血陽性反応後に大腸内視鏡を施行しなかった方は施行した方に比べ、直腸ガン・大腸ガンによる死亡率が2倍以上になったとの報告(※1)もあり、便潜血陽性の方は自覚症状がなくても、大腸内視鏡を受けることが大切です。

※1 参考文献;Zorzi M et al Gut 2022;71(3):561-567

 

Case② 40代男性 内痔核出血

【症状】

繰り返す排便時の鮮血にて来院された方です。

【内視鏡検査】

問診と診察からは痔核出血が考えられました。

ご本人と相談し念のため大腸カメラまで行いましたが、幸い大きな病気はなく内側の痔(内痔核)と診断しました。

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【治療】

痔の程度も軽いため、生活習慣の改善と薬で治療し、落ち着いておられます。

(※内痔核についての詳細は、こちらをご参照ください)

 

Case③ 50代女性 虚血性腸炎

【症状】

朝からの突然の腹痛と下痢・下血とのことで急遽受診されました。

【検査】

普段便秘気味であり発症が突然であったとの問診と、腹部エコー検査でS状結腸の広範な浮腫を伴う炎症の所見から虚血性腸炎と診断しました。

【治療・経過】

程度が軽かったため、点滴・抗生剤を投与し、自宅にて安静と当日絶食で過ごして頂くと、翌日の再診時にはかなり改善していました。

治療後に改めて他の病気(がんや炎症性腸疾患など)がないかを大腸内視鏡(大腸カメラ)で確認し、最終的に確定診断に至りました。

(※急性期に大腸内視鏡を行うと強い痛みを伴うことが多いため、腹部エコーで診断がつく方は落ち着いたあとに大腸内視鏡を行うことが多いです。)

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虚血性腸炎は便秘の方に起こりやすく(便秘の方はは虚血性腸炎発症リスクが 2.78 倍上昇するとの報告もあります 1)、普段から便秘の方に突然の腹痛・下痢・血便が生じた場合には虚血性腸炎の可能性があるので早めに医療機関に受診することが大切です。

※虚血性腸炎の詳細はこちらから

参考文献:1)Suh D C, Kahler K H, Choi I S, et al.: Patients with irritable bowel syndrome or constipation have an increased risk for ischaemic colitis. Aliment Pharmacol Ther 2007; 25 (6): 681―692

 

Case④ 20代女性 潰瘍性大腸炎

【症状】

8か月ほど前から時々便に赤い血が混じるような状態の血便があり、近くの肛門科を受診し、「痔」と診断され薬を出されて様子をみていましたが、改善なく度々血便を繰り返す状況が続いていました。ここ最近、血便の頻度が増え、粘液も交じってきたため不安になり当院を受診されました。

【診察】

ここ1-2か月ほどは便に血が混じる状態に加え、便自体も形が崩れていたり粘液のような便だったりと、いわゆる便通異常を伴っている状態でした。

症状からは「痔」というよりも、腸の粘膜に炎症を起こす「何らかの腸炎」による出血・便通異常を考えました。

(単なる「痔」の場合は便通異常は伴わないことが多いです。)

【検査】

食事を摂らずに来院されたので、当日すぐに腹部エコーを行い状態を確認しました。

S状結腸に腸管の炎症像を認め経過と合わせて「潰瘍性大腸炎」という病気を疑いました。

状態を説明し、後日大腸内視鏡(大腸カメラ)を行いました。

内視鏡の所見と病理検査結果から「潰瘍性大腸炎」の確定診断となりました。

【治療】

潰瘍性大腸炎は約80%の患者さんが、5-ASA製剤という内服薬で症状が落ち着くため、まず同薬の治療を開始しました。

【経過】

内服開始1週間ほどで血便はなくなり、粘液のような便も2週間ほどで消失しました。ただ、便の形は軟便傾向がつづいている状態だったため、腹部エコーで状態を評価したところ、炎症像は軽減していたものの残存しており、検便でも炎症の数値が軽度の上昇を認めました。

炎症の範囲が肛門から近いS状結腸までであり、内服薬に加えスプレー式の注腸整剤を併用したところ、2週間ほどで便の普通便にもどりました。

その後、注腸製剤は中止し、内服のみで緩解維持療法を続けています。

 

潰瘍性大腸炎は緩解状態(症状が消失した状態)になった後も、再燃を起こしやすい病気のため基本的には内服製剤などを続け緩解状態を維持していくことが大切になります。

(詳細はこちらをご覧ください。)

 

Case⑤ 30代男性 ポリープ出血

【症状】

数か月前から排便時の出血があり、肛門科にて「痔」という診断を受け軟膏で治療を受けていましたが、度々出血が起こるとのことで当院を受診されました。

【診察】

問診では便の色自体は正常であり、腹痛などもなく、痔出血に合致する出血のパターンでしたが、直腸診を行ってみると目立つ痔核はなく、他の原因が考えられるため、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行いました。。

【検査】【治療】

内視鏡では、やはり痔核は認めず、

直腸とS状結腸の境目付近に巨大なポリープを認め、同部位からの出血を疑い、内視鏡的に切除しました。

【経過】

切除後から出血はなくなり、今回の血便も出血源と考えられました。

また、ポリープ切除後は特に合併症はなく経過し、切除ポリープも良性であり、ご本人に状態をご説明し今回は治療終了となりました。

痔出血では便の色自体は正常のことが多く、出血は鮮血のことが多いですが、他の直腸病変からの出血でも同じようなパターンの血便をとることがあります。

診察で明らかな痔核を認めない場合や、痔の治療を行っても改善ない場合などは、大腸内視鏡を行い状態を評価する必要があります。

 

4.Q&A

Q:血便の原因は痔だと思うのですが受診した方がよいですか?

A:一度は受診することをお勧めします。

 

排便時の出血は確かに痔からの出血のこともありますが、実際に病気が隠れていることもあります。

特に直腸に炎症やがんなどの病変があった場合には痔出血と同じような出血のパターンとなるため、繰り返す場合などは放っておかず医療機関を受診することが望ましいです。

 

Q:検便の検査で潜血陽性と出たのですが、ガンでしょうか?

A:ガンの可能性はあります。

 

検便の潜血反応陽性の方の3%程度に大腸がんが見つかっており、可能性は否定できない状態です。もちろん痔出血や炎症性のこともあり得ますが、ガンが潜んでいた場合は早めに見つけて治療することが重要であり、実際に便潜血陽性反応後に大腸内視鏡を施行しなかった方は施行した方に比べ、直腸ガン・大腸ガンによる死亡率が2倍以上になったとの報告1)もあり、便潜血陽性の方は大腸内視鏡検査を受けることが大切です。

また大腸内視鏡でポリープが見つかることもあります。大腸がんはほとんどがポリープから発生するものなので見つけて切除することが大腸がんの予防にもつながります。その意味でも大腸内視鏡を受けるのは重要だと考えます。

参考文献; 1) Zorzi M et al Gut 2022;71(3):561-567  有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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