なぜのどの違和感は治らないの?その原因と治療法は?
当院にのどの違和感でご相談される患者さんの中には、他院で治療を受けたものの治らずに受診されたという方も少なからずおられます。
のどの違和感は治らない・治りにくいのには下記のような理由があります。
- 診断が難しい
- 治療自体が難しい
- 治療に時間がかかるため途中で諦めてしまう
当院ではこららの原因に対して対策を行い、お一人お一人に合わせて治療を行いのどの違和感やつまり感でお困りの患者さんたちの力になれるように診療に取り組んでおります。
1,診断が難しい
のどの違和感の原因には耳鼻科・甲状腺・整形外科・神経・消化器・心療内科と多岐の領域の疾患が鑑別としてあがるため、診断自体が難しく正確な診断ができず、正しい治療も行えず、結局治らないという状態になってしまいます。
当院では、症状から鑑別疾患を挙げ、しっかりと道筋をたてて診察や検査を行ない、場合によっては高次医療機関の耳鼻科や内分泌科と連携を取り、診断をつけた上で治療を行うことで治療の奏効率を高めています。
2.治療自体が難しい
逆流性食道炎や胃がんなどのよく知られた病気は診断・治療のガイドラインがあり、治療法が確立されていますが、のどの違和感についてはガイドラインと呼ばれるものはなく、担当医師によって方針も変わってきます。
中には検査して問題がない場合は、「異常なし」「精神的なもの」「気のせい」で診療が終わってしまうこともあります。
また、ストレスなどによるのどの知覚過敏症などは、根本的なストレス改善がなかなかできない場合もあります。
異常を認めないようなのどの違和感やストレスによるのどの知覚過敏症などは「咽喉頭異常感症」と呼ばれますが、このような場合でも症状を抑えていくようなの漢方治療や神経薬・粘膜保護剤などを組み合わせたハイブリッド治療を行いのどの違和感をコントロールしていきます。
3.治るのに時間がかかるため途中であきらめてしまう
のどの違和感は原因にもよりますが、治療を行っても効果がでるのに時間がかかることが少なくありません。
例えば逆流性食道炎によるのどの違和感は治療開始後4-8週間程度かかる場合もあり、また咽喉頭異常感症の場合はさらに時間がかかることもあり、治療途中で薬が効かないと諦めてしまう方もおられます。
まずは2-4週間ほど治療を試してみて少しでも改善傾向があれば治療を継続し、また改善がない場合でも薬の変更などを行い治療を続けてみることが大切です
実際の治療例
30代 女性 食べ物を飲み込む時につまる感じがする
【症状】
以前から食べ物を飲み込むときにのどに詰まったような感じがするとのことで耳鼻科を受診したところ、診察や喉頭ファイバーを行い異常はなく「逆流性食道炎」と診断され投薬治療となり、1か月ほど薬を続けたものの改善しないとのことで当院を受診されました。
【診察】
耳鼻科で喉頭ファイバー(鼻から細いカメラを入れて喉を見る検査)は行ったとのことでしたが、胃カメラはまだ受けていないとのことで、実際に逆流性食道炎があるのかどうかや他の食道疾患の可能性を探るため胃カメラを行うこととしました。
【検査】
内視鏡検査では逆流性食道炎は認めませんでしたが、食道に白斑を認め食道カンジダ症と診断しました。
関連ページ:食道にカビが生える!?食道カンジダ症とは?
【治療】
食道カンジダ症はもともと食道の中にいる常在菌のカンジダ菌が繁殖した状態です。
症状がなければ経過観察することもありますが、今回のように飲み込む時のつまり感などがあるケースでは投薬による治療を行います。
<治療内容>
カンジダ菌に効果のある抗ウィルスの服用。
【経過】
服用開始して数日後から飲み込む時のつまり感の症状は和らぎ2週間後の再診の際には症状は改善したとのことでした。
飲み込んだ時のつまり感は、耳鼻科領域で異常がない際に逆流性食道炎による症状と診断されることも少なくなくないのですが、今回のようにカンジダのような別の疾患による症状だったということも度々経験します。
(もちろん実際に逆流性食道炎で起こることもあります)
これは耳鼻科領域では中々胃カメラの検査ができないため、症状から「逆流性食道炎」だろうという先入観から誤診されてしまうことが要因です。
(前述の「1.診断が難しい」という項目に該当します)
逆流性食道炎の場合はPPIと呼ばれる制酸剤で改善するケースが多いため、改善されない場合は、本当に逆流性食道炎なのかも含め胃カメラを受けて状態をチェックすることが重要です。
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