胃がん
名前を聞くだけで、目の前が暗くなるような怖い病気です。
でも実は、胃がんは早期の段階であれば完全に治すことができる病気でもあります。
ただ、早期の段階では症状がでることはなく、症状がなくとも定期的に胃カメラを行い治療の出来る早期の段階で見つけることが大事になります。
<目次>
- 胃がんの原因は?なぜ胃がんになるの?
- 胃がんの検査画像
- 治療
- Q&A 胃がんは治りますか? 胃がんの予防法はありますか?
胃がんの原因は? なぜ胃がんになるの?
胃がんの原因の大部分はピロリ菌であることがわかっています。
ピロリ菌に感染すると「萎縮性胃炎」という胃の炎症(胃炎)を起こします。
炎症があると活性酸素が多量にできるため遺伝子が傷つき易くなり、傷ついた遺伝子の修復過程でがん細胞が発生してしまうと考えられています。
胃炎がある方すべてが胃がんになるわけではないですが、そこに高塩分摂取1)や喫煙2)などの要素が加わり、さらに萎縮性胃炎の状態が長く続くことで一部の方に胃がんが発生してくるのです。(10年間で約3%程度の方に胃がんが発生するとの研究結果があります3))
そして逆に、ピロリ菌に感染したことがない方はほとんど胃がんになりません。
現在はピロリ菌の新規感染者が減っていること、また2013年にピロリ菌の除菌が保険適応されたこともあり、今後は胃がんは激減してくると考えられていまが、2020年の部位別がんの死亡率では男性2位、女性5位、全体でも3位と依然として多いのが現状です。
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1位
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2位
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3位
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4位
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5位
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男性
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肺
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胃
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大腸
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膵臓
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肝臓
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女性
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大腸
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肺
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膵臓
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乳房
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胃
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男女計
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肺
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大腸
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胃
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膵臓
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肝臓
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ご自身がピロリ菌に感染しているかどうかは、保険診療(胃カメラやバリウム検査を受け適応ありと判断された方のみ)や、胃がん検診や自費診療(1500円-6000円程度)でも調べることが出来ます。
実際にピロリ菌がいた方はしっかりと除菌を行い、その後は定期的な胃カメラで経過をおっていきます。(詳細はピロリ菌外来をご参照ください。)
また、ピロリ菌に関係なく発症する胃がんも極々稀にあるため(胃がん全体の1-2%くらい:年間日本全国で2000人くらい)可能性が低いとはいえ0%ではないため、喫煙者や塩分の強い食事をされる方は注意が必要です。
関連ページ:ピロリ菌がいないと胃がんにならないの?
胃がんの検査画像
<内視鏡写真>
①早期胃癌
②進行胃癌
<エコー所見>
胃の壁が約7㎝の範囲で著明に肥厚しています(max3㎝厚)。層構造は不明瞭で筋層の輪郭が一部不整に描出されています。
早期がんをエコーで見つけることは困難ですが、進行がんであれば上記のようにエコーで指摘できることも多く、エコーは体に負担をかけず簡単にできるので、症状のある方はまずエコーを受けてみるのもいい方法だと思います。
胃がんの治療
胃がんの治療は、がんの進行度によって異なりますが、大まかにわけると、
① 内視鏡(胃カメラ)治療
② 手術(腹腔鏡・開腹)、抗がん剤治療
となります。
胃カメラを使った内視鏡治療が体への負担も少なく、楽な治療ではあるのですが、早期の胃がんの方に限られます。
これは、内視鏡では胃の中は観察して治療することはできるのですが、胃の外のリンパ節の状態を見たり切り取ったりできないためです。
ですので、内視鏡での治療は早期がんの中でも、内視鏡検査で病変の広がりや深さを診断し、リンパ節転移の可能性がないと思われる病変が治療の適応となります。
また、進行がんに対しては手術・抗がん剤の治療を考えます。
基本的には、リンパ節を含めがんを手術(腹腔鏡や開腹)で取り除くことになります。
ただ、進行度によっては(遠隔転移や全身への広がりがあるなど)、手術による治療は難しく抗がん剤を行うことが多いです。
抗がん剤は術後の補助治療や、術後再発、全身転移・周囲浸潤を生じ手術的加療による根治が困難な場合に行われます。また最近は分子標的治療薬といった新たな種類の薬剤も登場し、成果をあげています。
Q&A
Q:胃がんは治りますか?
A:早期であれば治すことができます。
国立がん研究センターでの胃がん治療後の5年生存率は
Stage I | 96% |
Stage Ⅱ | 69.6% |
Stage Ⅲ | 42.3% |
Stage Ⅳ | 6.2% |
となっており4)、I期の段階で治療すればほとんどの場合は治ると言えます。
逆に進行すればするほど治癒できる可能性がどんどん減るため、定期的な胃カメラを行い早期発見することが重要となります。
Q:胃がんの予防法はありますか?
A:あります。
前述のようにピロリ菌の除菌が一番の予防となります。
その他の危険因子としては、糖尿病5)、高塩分摂取1)や喫煙2、高ビタミンA摂取、低コレステロール血症などが分かっており、これらを是正することも予防につながります。
また、野菜や果物には、カロチノイドやビタミンCなどの発がんを抑制するといわれる成分が豊富に含まれており、WHO(世界保健機関)でも「野菜・果物をほぼ確実に胃がんのリスクを軽減するもの」とされ、日本の研究でも癌のリスクを減らしたとのデータがあります6)
野菜・果物を毎日1回は食べるように心がけましょう。
参考文献:
1)Shikata K. et at Am J Epidemiol 168; 1409-1415: 2008
2)Shikata K et al J Cancer 119: 198-201, 2009
3Uemura N. et al.: N Engl J Med. 2001 ;345(11) : 784-9
4)国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」
6)International Journal of Cancer 2002年102巻p39-44
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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