実際の治療例 【お腹の張りが続く・便がすっきり出ない…それ、便秘だけ?|50代女性に見つかったS状結腸がん】
「最近ずっとお腹が張る」「便が出てもスッキリしない」——
こうした症状は、便秘や過敏性腸症候群(IBS)でも起こります。
一方で、大腸の中が狭くなる病気(通過障害)が隠れていると、ガスや便が流れにくくなり、張りや違和感が“じわじわ悪化”していくことがあります。
大腸がんは早期には症状が出にくい一方、進行すると便通の変化や張りが目立つことがあります。【2】
本記事ではお腹の張りや便通異常と関係する可能性のある疾患や、受診のタイミングについて、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
お腹の張りや便のことでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|50代女性「腹部のはり・便がすっきり出ない」
症状
数か月前から「なんとなく下腹部が気になる」感覚がありましたが、痛みは強くなく様子をみていました。
2か月ほど前からは週に数回、お腹の張りを自覚。
さらにここ2週間ほどで 張りがほぼ毎日になり、便も少量で“出切らない感じ”が続くため受診されました。
※「残便感」「便が細くなる」「張り」は、大腸がんでも見られうる要注意症状として挙げられています。【2】
診察
診察では腹部にガスが多い所見(鼓音)と張りを認めました。
また問診で「便が少量で液状の日がある」ことから、単なる便秘だけでなく 大腸の通過障害(途中が狭くなっている)を疑いました。
原因として次のような疾患を考え、
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機能性便秘(生活習慣・腸の動きの低下)
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過敏性腸症候群(IBS)
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大腸がん/進行ポリープ(腫瘍による狭窄)
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憩室炎など炎症後の狭窄
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甲状腺機能低下症、薬剤性便秘
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婦人科疾患(卵巣腫瘍・子宮筋腫など)による圧迫
正しく状態を把握し、治療方針を立てるため以下の検査を行いました。
検査
1)腹部レントゲン
大腸のガスが多く、腸管が拡張している所見がありました。→ “流れが悪い”サインです。
2)腹部エコー
腹部エコーでは大腸に 腫瘍性の狭窄(狭くなっている)を疑う所見があり、がんの可能性を疑い精密検査(大腸カメラ)へ。
3)大腸内視鏡(大腸カメラ)
大腸カメラで S状結腸に腫瘍を認め、生検で大腸がんと診断しました。
がんが大腸の内腔を圧排し通り道が細くなることで、ガスや便が出にくくなり違和感や張り・便がすっきり出ないといった症状が生じている状態(通過障害)でした。
S状結腸がんで「張り・出ない」が起こる理由
S状結腸は便が形作られて通る“終盤の通り道”のひとつです。ここに腫瘍ができて内腔が狭くなると、
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ガスが抜けにくい
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便が進みにくい
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その結果「張る」「残便感」「少量しか出ない」
といった症状が徐々に強くなることがあります。がんによる腸閉塞では、お腹の膨満、便秘、下痢、ガスが出ない、吐き気などが症状として挙げられています。【3】
「症状がいきなり強くならない」ことが多い
大腸がんは、早期は無症状のことも多い一方、腫瘍が大きくなるにつれ症状が出やすくなります。【2】
だからこそ、数週間〜数か月かけて“じわじわ悪化”していく便通変化は要注意です。
治療
内視鏡で切除できる段階ではなく、進行がんで手術が必要な状態でした。そのため、がん治療拠点病院へ紹介し手術を受けていただきました。
手術で病変は取り除けましたが、再発(リンパ節転移など)のリスクがあるstageⅢの状態でした。
大腸がん治療ガイドラインでは、術後のオキサリプラチン併用の抗がん剤療法が推奨されており【4】、この患者さんも術後化学療法を実施し、現時点では再発なく経過観察中です。
院長からのコメント
「便秘っぽいから」「痛みがないから」と様子をみているうちに、通過障害が進み、治療が大きくなることがあります。
とくに “張りが続く”+“便が少量/出切らない” が 1〜2週間以上続く場合は、便秘薬でごまかさず、原因を一度確認することが重要です。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、張りや便通異常に対して最短で当日中に検査・診断できる体制を整えています。
同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
よくある質問(FAQ)
Q. お腹の張りと便秘が続くだけで、大腸カメラは必要ですか?
A. 便秘やIBSでも起こりますが、「張りが悪化していく」「残便感が強い」「便が細い・少量」などが続く場合、通過障害(大腸が狭くなる病気)の確認が重要です【2】【3】。症状が1〜2週間以上続くなら受診をご検討ください。
Q. 便が少量で、下痢っぽい日もあります。これも通過障害ですか?
A. はい。腸が狭くなると、便やガスが溜まる一方で、狭いところをすり抜けた便が「少量の下痢」のように見えることがあります【3】。張りや残便感が続く場合は確認が大切です。
Q. 大腸がんは痛みがなくても進行しますか?
A. はい。大腸がんは早期には無症状のことがあり、進行してから便通変化や張りなどで気づくことがあります【2】。痛みがないから安心、とは言い切れません。
Q. どんな症状があれば「急いで受診」した方がいいですか?
A. 強い腹痛、吐き気・嘔吐、ガスや便が全く出ない、急な腹部膨満、血便、ふらつき(貧血の疑い)などは早めの受診が安全です【2】【3】。
Q. 便潜血検査が陰性なら、大腸がんは否定できますか?
A. 否定はできません。便潜血検査は有用な検診ですが、症状がある場合は検査の目的が「診断」になるため、大腸カメラなどで原因を確認することがあります【1】【2】。
Q. 40歳を過ぎたら、大腸がん検診はどれくらいの頻度で受けるべき?
A. 日本では便潜血検査(免疫法)を40歳から定期的(基本は年1回)に受けることが勧められています【1】。陽性の場合は精密検査(多くは大腸カメラ)が必要です。
Q. レントゲンや腹部エコーで大腸がんは分かりますか?
A. ガスの溜まりや腸管拡張など「通過が悪いサイン」を捉えることはありますが、確定診断は大腸カメラ(必要に応じてCTなど)で行います【2】【3】。
Q. 大腸カメラが不安です。痛みはありますか?
A. 苦痛は個人差がありますが、鎮静剤の使用などで負担を軽くできることがあります。検査の不安が強い方は、事前に相談すると安心です。
▶関連ページ:なぜ当院の大腸内視鏡は「痛くなく」「苦しくない」の?
Q. 進行がんだと、治療は必ず手術になりますか?
A. 腫瘍が腸を狭くしている場合は手術が中心になることが多いです。病期によっては術後に抗がん剤治療を組み合わせることがあります【4】【5】。
Q. 手術後はどんな検査で経過をみますか?
A. 病期や治療内容に応じて、採血・画像検査・内視鏡などを組み合わせて再発チェックを行います。主治医と相談し、計画的にフォローすることが大切です【4】。
まとめ
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お腹の張り+便がすっきり出ないが続くとき、便秘だけでなく通過障害を考えます
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大腸がんは早期無症状のことがあり、進行すると張り・残便感・便通変化が出る場合があります【2】
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「少量の下痢」でも、狭窄があると“そう見える”ことがあります【3】
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気になる症状が1〜2週間以上続くなら、大腸カメラで原因確認を
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関連ページ
参考文献(本文【番号】と対応)
【1】国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について(対象年齢・頻度・便潜血検査)」
【2】Canadian Cancer Society「Symptoms of colorectal cancer(便が細い・残便感・膨満など)」
【3】National Cancer Institute「Bowel Obstruction and Cancer(膨満・便秘・下痢・嘔気など)」
【4】日本大腸肛門病学会「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2026年版」
【5】American Cancer Society「Colon Cancer Treatment, by Stage(Stage IIIの術後補助化学療法など)」
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
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