実際の治療例 “便が出にくくお腹が張って吐いてしまう(大腸がん)”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
50代 男性 お腹が張って食べ物を食べると吐いてしまう。
【症状】
数か月前から便が出にくくお腹の張るようになり近所の内科で下剤をもらって様子を見ていましたが、徐々に便秘・張りともひどくなり、数日前からは食べ物を食べると吐いてしまう状態でした。
通院中の内科では胃腸炎と言われ、整腸剤や吐き気止めを追加で処方されましたが、全く改善なく当院を受診されました。
【診察】
触診では腹部の張りが顕著で、腹痛も伴う状態でした。
胃腸炎のほかに腸閉塞や腹水など色々な状態が想定され、正しい診断を行うためまずは腹部レントゲンと腹部エコーで状態をチェックすることとしました。
【検査】
腹部レントゲンでは著名に拡張した腸管ガスを認め、ガスの状態から腸閉塞と診断しました
次に腹部エコーを行うとS状結腸に大腸壁の不整な肥厚を認め、大腸ガンを強く疑いました。
以上より大腸ガンの成長して大きくなることで、大腸の内腔を圧迫してしまい起こるがん性腸閉塞を考えました。
【治療】
腸閉塞とS状結腸ガンの治療を行うため入院が必要となるため、高次医療機関の救急外来と連携し即日入院となり、まずは腸閉塞に対しての治療を行い、その後にガンの状態を内視鏡やCTで正確に診断し、治療内容を決めていく方針となりました。
便秘や便が細くなった・吐き気といった症状を伴うお腹の張りは注意が必要で、今回のようにガンなどによる腸管の内腔の圧迫による症状の可能性があります。
もちろん胃腸炎のこともありますが、薬が効かない・症状が2週間以上続いているといった場合には検査して状態を見ることが大切です。
特にエコーやレントゲン・血液検査などは外来で簡便に出来てすぐに結果もわかるため、診断につながる情報を得られることも多く当院では積極的に行っております。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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