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実際の治療例【動くと響く下腹部の激痛…正体は急性虫垂炎?専門医が症状・診断・治療を解説】

[2025.09.01]

「お腹の右下がズキズキ痛む」「歩くと響いて激痛になる」

そんな症状があるとき、「急性虫垂炎(盲腸)」の可能性があります。

今回は当院で実際に診断した患者さんのケースをもとに、虫垂炎の症状・検査・治療について詳しくご紹介します。

20代 男性 動くと響く下腹部の激痛

【症状】

前日の夜からみぞおち付近に鈍い痛みを感じ、痛みがどんどん増悪し眠れず。

朝からは右下腹部に限局した痛みなり、動くと痛みが響くとのことで来院。

【診察】

  • 歩く・咳をする・体をひねると強く響く
  • 微熱(37.8℃)、吐き気あり
  • 右下腹部に強い圧痛

  • 反跳痛(押して離すと強い痛み)があり、急性虫垂炎を強く疑いました。

【検査・診断】

  • 血液検査:炎症反応(白血球・CRP)高値

  • 腹部エコー:10㎜大の虫垂腫大(※正常5㎜以下)を確認

→ 急性虫垂炎の診断となりました。

実際のエコー画像です。虫垂が短径10㎜大に腫大しています(黄色部分)

【治療】

急性虫垂炎の治療は下記のようになります。

内科的治療:抗生剤 8-9割くらいは改善しますが、悪化時は緊急手術になる可能性もあります

②外科的治療:手術 疼痛強い時・重症時・穿孔(腸に穴が開くこと)を来した際に考慮します。

 

今回はエコー検査では虫垂の穿孔の所見はなく、ご本人と相談し抗生剤の点滴で炎症を散らすこととしました。

翌日には痛みは半分ほどに減少、翌々日にはかなり改善し、血液検査でも炎症反応は低下。

その後3日間抗生剤を続け、最終的に痛みの改善・エコーや血液検査でも炎症の鎮静化を確認し、5日間で治療終了としました。

急性虫垂炎とは?

虫垂(大腸の一部)が炎症を起こす病気で、日本では年間8万人以上が発症すると言われています。

今回のように発症初期の軽症の状態で診断すれば抗生剤治療でほとんどの場合が改善しますが、

放置すると破裂して腹膜炎へ進行し、命に関わる場合もあります。

下記のような症状がある場合にはなるべく早く医療機関を受診しましょう

  • みぞおちやおへその痛み → 数時間後に右下腹部へ移動

  • 歩く・走る・咳をすると響く痛み

  • 発熱、吐き気

  • 下痢や便秘

▶さらに詳しい情報は【虫垂炎】のページでご確認いただけます

院長からのコメント

抗生剤で改善した虫垂炎の患者さんについて、解説させていただきました。

薬で散らした場合は15~30%程度の再燃リスクもあるため※1、落ち着いた後に1-3か月をめどに予防的に虫垂を切除する手術を行うケースもあります※2

また、糞石などの重症化のリスクがある場合痛みが激しい場合穿孔が疑われる場合などは緊急OPEになる可能性があり、

そのような場合は速やかに高次医療機関にご紹介し、緊急OPEにも対応してもらえる医療体制で治療を行っております。

腹痛でお困りの方はお力になれますのでご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

まとめ

  • 「右下腹部の痛み+動くと響く痛み」は急性虫垂炎の代表的サイン

  • 早期であれば抗生剤治療で改善可能

  • 放置すると破裂 → 腹膜炎 → 命に関わる危険性あり

  • 不安な症状がある方は、なるべく早めに受診を

👉 【虫垂炎について詳しくはこちら

よくある質問FAQ

Q1. 虫垂炎は薬だけで治りますか?

A:軽症の初期であれば抗生剤で改善することもあります。ただし 15〜30%は再燃 するため、後日手術を勧められる場合があります。

Q2. どんな症状なら受診すべき?

A:「右下腹部の強い痛み」「歩くと響く痛み」「発熱・吐き気を伴う」場合は早急に受診してください。

Q3. 虫垂炎の検査は何をしますか?

A:血液検査・腹部エコー・などで炎症の有無や虫垂の状態・穿孔の有無を確認します。

Q4. 手術が必要になるのはどんな時?

強い痛み、抗生剤で改善しない、穿孔・膿瘍がある場合は手術が必要です。

 

医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、

消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、

内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

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所在地

170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介

 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

📌 参考文献:

1)Tekin A, Kurtoglu HC, Can I, et al: Routine interval appendectomy is unnecessary after conservative treatment of appendiceal mass. Colorectal Dis 10:465-468,2018

2)前田 大,藤崎真人,高橋孝行ほか:成人の虫垂膿瘍に対する interval appendectomy.日臨外会誌 64:2089-2094,2003

・日本消化器外科学会「虫垂炎診療ガイドライン」2021

・厚生労働省 e-ヘルスネット「急性虫垂炎」

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