実際の治療例【左下腹部の痛み…実は大腸がんだった】放置せず早めの受診を。
「軽い痛みだけど、ちょっと続いてるから病院行こうかな。」
今回ご紹介するのは、左下腹部の痛みを放置せずに当院を受診したことで大腸進行がんが見つかった50代男性の症例です。
腹痛は多くの人が経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインであることも。
特に、便の形が細くなった、数日経っても痛みが続く、といった変化がある場合は要注意です。
この記事では、症状の経緯から検査・診断・治療までを詳しく解説し、早期受診がどれだけ重要かをお伝えします。
50代男性 左下腹部の痛みが続く
【症状】
1週間ほど前から左下腹部に鈍痛があり、数日経っても改善せず、やや便も細い気がするとのことで受診されました。
【診察】
左下腹部痛の原因には、
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大腸の炎症(憩室炎、虚血性腸炎など)
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腫瘍性病変(大腸がん、ポリープ)
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消化管以外の病気(尿管結石など)
などが考えられます。
今回は便の狭小化傾向もあるとのことで大腸疾患の可能性が高いと判断し、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行いました。
【大腸カメラ】
S状結腸に大腸の中を圧迫するような大きな隆起性病変を認め、生検にて大腸がんと診断されました。
圧迫されることで便の通過時に圧がかかり痛みが生じ、また便も細くなっていた状態でした。
※実際の写真です。画面手前の腫瘍により大腸が圧迫され、内腔が狭窄しています(青矢印)
【治療】
進行がんであり入院治療が必要となるため、がん拠点病院に紹介。
StageⅢAの診断で外科的切除とリンパ節郭清および術後の抗がん剤を行い、その後は経過は良好です。
【院長からのコメント】
左下腹部痛は比較的よくある症状ですが、今回のように大腸がんなどの重大な病気のサインのこともあります。
大腸がんがさらに進行すると転移して治療が出来なくなったり、完全に腸が閉塞して腸閉塞になったりと重篤な状態に陥る場合もあります。
「腹痛くらい」と放置せず、症状が続く場合は早めに消化器内科で検査を受けることが大切です。
💡こんな症状は要注意です
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腹部の痛みが数日以上続く
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便が細くなった
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血便が出る
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お腹の張りが続く
お悩みの方、症状が気になる方はお力になれますのでご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
【参考:大腸がんとポリープについて】
大腸ガン自体は、ポリープから始まり大きくなってガン化し、早期ガンとなりそこから進行ガンになっていきます。
今回のような閉塞をきたす進行がんになるまではポリープの状態から5年以上はかかると思われますが、ポリープの状態や早期ガンの段階では症状が出ることはほぼなく、進行がんになりある程度成長してようやく便が細くなるといった症状や、お腹が張る、血便などの症状が出てきます。
ただその段階になると内視鏡治療は困難で、手術・抗がん剤治療を行ったり、また転移をきたした場合は根治治療が難しく命にかかわることもあります。
大腸がんのほとんどはポリープから発生するため、ポリープの段階で発見し切除することが大腸がんの予防に直結するので、自覚症状がなくとも定期的に大腸内視鏡を受け、大腸がんの予防・早期発見を行っていくことが重要です。
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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〒170-0002
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交通
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
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