実際の診療例 “検診で胆のうにポリープを指摘された”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
40代 女性 検診の腹部エコーで胆のうにポリープを指摘された
【症状】
特に自覚症状はありませんでしたが、検診で腹部エコー検査で胆のうにポリープを指摘され来院されました。
【診察・検査】
胆のうポリープは大きさや形態によって治療方針が変わってくるため、再度腹部エコーを行い胆のうポリープの状態を評価することとしました。
腹部エコーを行うと、指摘通り胆のうにポリープを認めました。大きさは4㎜と小さく、形態的にも悪性を疑う所見はありませんでした。
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【経過】
胆のうポリープは大きさや形態によってガンのリスクが変わってくるため、基本的には以下のような対応になります。
5㎜以下
5㎜以下の小さな胆のうポリープは基本的にはガンのリスクがほとんどないため、基本的には年に1回の腹部エコーでの経過観察を行いサイズの変化がないかを確認します。
6~9㎜
こちらもサイズだけで言うとガンのリスクは低いものの、増大する場合や形態が変化する場合もあり、まずは半年後を目安に腹部エコーで状態を確認します。
その後変化がない場合は1年毎の経過観察に移行する場合もあります。
10㎜以上・茎が太いタイプ
10㎜を越えると約4分の1に胆のう癌の可能性があるため、内視鏡検査やCT撮影をして精密検査を行い、必要に応じて手術を検討します。
※ポリープの大きさによる胆のう癌の割合
- 10‐15㎜;約25%
- 16㎜-19㎜;約60%
- 20㎜以;80%以上
今回は5㎜以下の小さな胆のうポリープであり形態的にも悪性を疑う所見はなかったため、1年後のエコー再検査で経過観察としました。
ただ5年間の経過で3%程度の胆のうポリープはサイズが大きくなるため、小さな胆のうポリープでもしっかりと腹部エコーで経過を見ていくことが重要です。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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