なぜ、膵臓はエコー検査で観察しづらいのか?|詳細観察のための当院の工夫
「人間ドックの結果に、膵臓描出不良と書かれていて心配」
「毎年エコーを受けているのに、膵臓がんは本当に見つかるのだろうか」
このような不安を感じて、消化器内科を受診される方は少なくありません。
膵臓は、腹部エコーで確認できる臓器のひとつですが、胃や十二指腸の奥に位置しているため、もともと観察しづらい臓器です。特に、胃や腸の中の空気が超音波を妨げると、膵臓の一部が十分に見えないことがあります。
そのため、健診や人間ドックで「膵臓描出不良」と記載されても、すぐに膵臓の病気があるという意味ではありません。
一方で、膵臓がんは小さいうちは症状が出にくく、発見が難しく「膵臓がんは怖い」とよく聞くのはこのためです。【1】。
本記事ではなぜ膵臓がエコーで観察しづらいのか、よく観察するための当院での工夫や膵臓がんの早期発見のための方法について、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
ドックで膵描出不良を指摘された方、膵臓がんが不安な方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
腹部エコーで膵臓描出不良を指摘された方へ
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、膵臓を正確に観察するための様々な工夫を加えた腹部エコー検査を行っています。
背中の痛み、みぞおちの違和感、健診での膵臓描出不良などが気になる方はご相談ください。
WEB予約はこちら 03-5940-3833
膵臓がエコーで見えにくいと言われる主な理由
腹部エコー検査は、超音波を使ってお腹の中の臓器を確認する検査です。肝臓、胆のう、腎臓、脾臓、膀胱などに加えて、膵臓も観察対象になります。
しかし、膵臓は腹部エコーの中でも特に観察しづらい臓器です。その理由は、膵臓そのものの位置と、胃や腸の中にある空気の影響にあります。
1. 胃や腸のガスが超音波を妨げる
腹部エコーは、超音波が体の中に入り、臓器で反射して戻ってくる信号を画像にする検査です。
ところが、胃や腸の中に空気が多いと、超音波がそこで妨げられてしまいます。膵臓は胃や十二指腸の近くにあるため、胃腸のガスが多いと膵臓の一部が見えにくくなります。
2. 膵臓が体の奥深くにある
膵臓は、お腹の前面ではなく、胃の後ろ側に横長に存在している臓器です。
体の表面から距離があるため、皮下脂肪、胃腸のガス、周囲の臓器の重なりなどの影響を受けやすく、腹部エコーでは画像が不鮮明になることがあります。
3. 膵頭部と膵尾部は特に見えにくい
膵臓は大きく「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」に分けられます。
膵体部は比較的見えやすいことがありますが、膵頭部は十二指腸に囲まれており、膵尾部は胃の裏側に隠れやすいため、腹部エコーでは見えにくいことがあります。
膵臓がんは初期では症状がほとんどなく、この見づらい部位にがんが出来てしまうと早期発見が難しく、「膵臓がんは怖い」と言われる所以でもあります。
4. 食事や体格の影響を受けることもある
腹部エコーの前に食事をすると、胃の中に食べ物や空気が入り、胆のうや膵臓が見えにくくなることがあります。
また、体格や腸管ガスの量によっても見え方は変わります。そのため、同じ方でも検査日によって膵臓の見えやすさが変わることがあります。
腹部エコー検査の詳しい内容については、以下のページでも解説しています。
「膵臓描出不良」とはどういう意味?
健診や人間ドックの結果で「膵臓描出不良」「膵臓一部描出不良」と書かれることがあります。
これは、前述のような理由で、腹部エコーで膵臓の一部、または全体が十分に確認できなかったという意味です。
膵臓に異常があるという意味ではありません。
ただし、「見えなかった部分に病気がない」と言い切れるわけでもありません。
特に以下のような場合には、消化器内科での再評価をおすすめします。
- 毎年のように膵臓描出不良を指摘されている
- 背中の痛みやみぞおちの痛みが続いている
- 食欲低下や体重減少がある
- 黄疸を指摘された
- 糖尿病を急に指摘された、または糖尿病が急に悪化した
- 膵臓がんの家族歴がある
- 慢性膵炎、膵のう胞、IPMNを指摘されたことがある
当院での腹部エコーの工夫
膵臓は見えにくい臓器ですが、検査の工夫によって死角を減らせることがあります。
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、膵臓をできるだけ丁寧に確認するため、仰向けだけでなく、必要に応じて体位変換を行っています。
仰向けだけでなく、横向きや上体を起こして観察します
仰向けの姿勢では、胃や腸のガスが膵臓の前に重なり、膵尾部などが見えにくくなることがあります。
そのような場合には、横向きになっていただいたり、上体を少し起こしていただいたりすることで、胃や腸の位置が変わり、膵臓が見えやすくなることがあります。
下の写真はとある患者さんの膵臓の写真です。
仰臥位での観察です。この時点では膵頭部、体部、尾部に明らかな病的所見は見当たりません。しかしコメントにあるように、尾部が胃のガスの影響で一部描出不可能でした。
当院では、この患者さんに対し右側臥位をとって頂きました。
側臥位にすることにより内臓が動き、ガスの影響も少なくなり、いい条件が重なったことで尾部の観察が可能になりました。
と同時に仰臥位では発見し得なかった病変を認めました(矢印)。大きさは8×7㎜です。
もちろん、体位変換によって全ての人が好条件になるわけではありません。しかし、当院では死角を減らすため必ず体位変換を行うようにしています。
ただし、エコーですべてが見えるわけではありません
体位変換を行っても、すべての方で膵臓全体が明瞭に見えるわけではありません。
腹部エコーは、体への負担が少なく、膵臓の異常を見つける入口として有用な検査ですが、胃腸のガスや体格の影響を受けます。
そのため、症状や血液検査、エコー所見から膵臓の病気が疑われる場合には、CT、MRI、超音波内視鏡などを組み合わせて判断します【1】【2】【3】。
腹部エコーだけで膵臓がんを完全に否定できる?
腹部エコーで膵臓の腫瘤、膵管拡張、胆管拡張などが見つかることがあります。
しかし、膵臓は見えにくい臓器であり、腹部エコーだけで膵臓がんを完全に否定することは難しい場合があります。
膵臓がんが疑われる場合には、腹部エコーに加えて、血液検査、CT検査、MRI検査、超音波内視鏡検査、ERCPなどを状況に応じて選択します【1】【2】。
実際の治療例:人間ドックで膵臓描出不良を指摘されていた50代男性
ここからは、当院で実際に経験した症例をもとに、膵臓描出不良を指摘された方がどのような流れで診察・検査を受けたのかを紹介します。
症状
数年前から、人間ドックの腹部エコーで「膵臓の描出不良」を指摘されていました。ドックの施設からも専門科への受診をすすめられていましたが、自覚症状がほとんどなかったため、様子を見ていたとのことでした。
その後、時々背中の痛みを感じるようになり、心配になって当院を受診されました。
診察
背中の痛みは、筋肉や骨の痛みで起こることも多い症状です。
しかし、みぞおちから背中にかけての痛みでは、膵臓、胆のう、胃・十二指腸、腎臓などの病気が隠れていることもあります。
今回の方は、以前から膵臓描出不良を指摘されていたこともあり、膵臓の病気を含めて確認する必要があると判断しました。
検査
膵尾部は胃の裏側に隠れやすく、腹部エコーで見えにくい部位です。今回も、通常の体位では膵臓は描出されづらく、体位変換を積極的に行い膵尾部を丁寧に確認しました。
腹部エコー検査を行ったところ、膵尾部に約34mm大の腫瘍を認めました。
エコー所見から膵臓がんが疑われたため、精密検査と治療方針の決定が必要と判断しました。
治療・経過
診断の確定と治療のため、高次医療機関へ紹介しました。
その後、CT検査で動脈浸潤を伴う進行膵臓がんと診断され、手術は難しく、化学療法を行う方針となりました。
この症例からも、膵臓描出不良を繰り返し指摘されている場合や、背中の痛みなどの症状が出てきた場合には、専門科で再評価を受けることが大切だと考えられます。
受診の目安
腹部エコーで膵臓が見えにくいと言われても、すぐに大きな病気を疑う必要はありません。
ただし、以下に当てはまる方は、一度消化器内科でご相談ください。
膵臓がんのリスク因子としては、膵臓がんの家族歴、糖尿病、慢性膵炎、膵のう胞、IPMN、喫煙、肥満などが知られています【2】【4】。
複数のリスクがある方は、症状が軽くても一度ご相談ください。
巣鴨で腹部エコー・膵臓の再検査をご希望の方へ
当院では腹部エコー検査に対応しています。膵臓描出不良、背中の痛み、みぞおちの痛み、健診異常などが気になる方はご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
院長コメント
膵臓は、腹部エコーで「見えることもある」一方で、「条件によっては見えにくい」臓器です。
そのため、健診で膵臓描出不良と言われた場合に、過度に不安になる必要はありません。
しかし、膵臓が見えにくかったということは、「その部分は十分に確認できていない」という意味でもあります。特に、背中の痛み、体重減少、糖尿病の急な悪化、膵臓がんの家族歴などがある場合には、再評価を行う価値があります。
当院では、腹部エコーの際に体位変換を行い、できるだけ死角を減らすようにしています。それでも十分に評価できない場合や、膵臓の病気が疑われる場合には、CTやMRI、超音波内視鏡などが可能な高次医療機関と連携して診療を行います。
「膵臓が見えにくいと言われたけれど、どうすればよいかわからない」という方は、一度ご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
よくある質問FAQ
Q. 腹部エコーで膵臓が見えにくいと言われました。病気ということですか?
A. 必ずしも病気という意味ではありません。膵臓は胃や腸の奥にあり、ガスの影響でエコーが届きにくいため、正常でも「膵臓描出不良」と書かれることがあります。ただし、症状やリスクがある場合は再検査をおすすめします。
Q. 膵臓がエコーで見えにくいのはなぜですか?
A. 膵臓は胃や十二指腸の奥にあり、胃や腸のガスが超音波を妨げやすいためです。特に膵頭部は十二指腸に囲まれ、膵尾部は胃の裏側に隠れやすいため、腹部エコーで見えにくいことがあります。
Q. 膵臓描出不良とはどういう意味ですか?
A. 膵臓の一部または全体が、腹部エコーで十分に確認できなかったという意味です。異常があるという意味ではありませんが、見えなかった部分に病気が隠れていないかを判断するため、症状やリスクに応じて再検査を検討します。
Q. 膵臓が見えなかった場合、再検査は必要ですか?
A. 症状がなく、血液検査などにも異常がなければ経過観察になることもあります。ただし、背中の痛み、体重減少、黄疸、糖尿病の急な悪化、膵臓がんの家族歴などがある場合は、消化器内科での再評価をおすすめします。
Q. 腹部エコーで膵臓がんは見つかりますか?
A. 腹部エコーで膵臓の腫瘍や膵管拡張が見つかることはあります。ただし、膵臓は見えにくい臓器のため、エコーだけで膵臓がんを完全に否定することは難しい場合があります。必要に応じてCT、MRI、超音波内視鏡などを検討します。
Q. 膵臓がんが心配な場合、どの検査を受ければよいですか?
A. まずは診察、血液検査、腹部エコーなどで状態を確認します。膵臓の病気が疑われる場合には、CT、MRI、超音波内視鏡、ERCPなどを組み合わせて診断します。どの検査が必要かは、症状や検査結果によって異なります。
Q. 背中の痛みは膵臓の病気のサインですか?
A. 背中の痛みは筋肉や骨の痛みでもよく起こりますが、膵臓、胆のう、胃・十二指腸、腎臓などの病気が関係することもあります。痛みが続く場合や、体重減少・食欲低下・黄疸などを伴う場合は受診をおすすめします。
Q. 膵臓を見やすくするために検査前にできることはありますか?
A. 食事をすると胃や腸に内容物やガスが増え、膵臓が見えにくくなることがあります。そのため、腹部エコーでは検査前の絶食が大切です。検査前の食事制限については、医療機関の指示に従ってください。
Q. 体位変換をすると膵臓が見えやすくなるのですか?
A. はい。仰向けだけでなく、横向きや上体を起こした姿勢に変えることで、胃や腸のガスの位置が変わり、膵臓の一部が見えやすくなることがあります。当院では、死角を減らすために必要に応じて体位変換を行っています。
Q. 巣鴨で腹部エコー検査を受けることはできますか?
A. はい。巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹部エコー検査に対応しています。膵臓描出不良を指摘された方、背中の痛みやみぞおちの違和感が続く方はご相談ください。
まとめ
腹部エコーで膵臓が見えにくいと言われても、すぐに膵臓の病気があるという意味ではありません。
膵臓は胃や十二指腸の奥にあり、腸管ガスの影響を受けやすいため、腹部エコーではもともと見えにくい臓器です。
- 膵臓描出不良は「膵臓に異常がある」という意味ではありません。
- 胃や腸のガス、食事、体格、膵臓の位置によって見えにくくなります。
- 膵頭部や膵尾部は特に観察しづらいことがあります。
- 当院では体位変換を行い、膵臓の死角を減らす工夫をしています。
- 背中の痛み、体重減少、黄疸、糖尿病の急な悪化などがある場合は再検査が大切です。
- 膵臓がんが疑われる場合は、腹部エコーだけでなくCT、MRI、超音波内視鏡などを組み合わせて判断します。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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