エコーでみえるもの、みえないもの
検査中、患者さんからよく「エコーで何がみえるの?」という質問をうけます。
ひとつひとつ挙げたらきりがないので、ここでは大雑把にエコーでみえるものとみえないものをご紹介します。
まず、エコーでみえないものは主にこの二つです。“骨”と“ガス(空気やおなら)”です。エコーはこの二つにぶつかると、減衰・反射を起こし画像を作ることが出来なくなります。
時折、「背中が痛いから、背中からエコーを当てて検査をしてほしい。」という患者さんがいらっしゃいますが、背中はエコーの天敵、“骨”で覆われているばかりか、その奥に“空気の塊である肺”が存在するため、背中からエコーを当てても情報を得ることは難しく、基本的にはお腹側から検査をします。
それでは、エコーでみえるものはなんでしょうか。
それは“骨より柔らかくてガスを含まないもの”と“水”です。
具体的にいうと臓器なら肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆嚢、大動脈(詳しくはエコー検査:3を参照してください)などがみえます。
そしてそれらに出来た
良性の腫瘍、がん、石、ポリープなどを見つけることが出来ます。
またその他に、形や大きさの変化、色の変化などを観察しています。
◆ポリープ
エコーでみえるポリープは、主に“胆嚢ポリープ”です。
たまに患者さんからポリープがあると伺い、必死になって胆嚢ポリープを探していると、よくよく聞いてみたら大腸のポリープの話だった、ということがあります。
前述のとおり、大腸には腸内細菌が産生したガスが存在するため、残念ながらエコーでは大腸の壁の厚さは測れても、内側は観察できません。大腸の内側の観察には大腸カメラが有用です。
この写真は胆嚢と、矢印はそこに出来たポリープです。胆嚢の中は胆汁という液体で満たされているため、内腔が黒く観察できます。この写真の胆嚢ポリープは直径3~4㎜程ですが、1㎝をこえてくると癌との鑑別が必要になります。
検査の8時間以内にお食事をしてしまうとこの胆嚢が収縮してしまい、内腔がつぶれてポリープの観察が出来なくなってしまいます。
そのため、午前中の腹部エコーをご希望の方には朝食を、午後の腹部エコーをご希望の方には昼食を抜いて頂いております。
◆形や大きさの変化
形の変化や、大きさの変化をみつけた場合、検査中の痛みの程度などを確認しながら、炎症かどうかを考えながら検査をします。
例えば、上の写真は腫大した虫垂(いわゆる盲腸)の写真です。圧痛が一致したため、急性虫垂炎と判断しました。
◆色の変化
エコーでは色の変化をみることもできます。白と黒の世界ですが、その中でもわずかな色調の変化に気づくことで新たな疾患に気づくことができます。
上の写真は脂肪肝の様子です。脂肪肝は通常の肝臓より全体的に白っぽく描出されますが、主観で評価にばらつきが生じないよう、“脂肪肝”と診断するには決まりがあります。それは腎臓より肝臓の色が白く、かつ脾臓より肝臓の色が白いことです。
写真をみてお分かりになるように、三つ並んだ臓器の中で、一番白いのは肝臓です。
これにより、“脂肪肝”という診断がつきます。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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