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突然の腹痛と血便の正体は?【虚血性腸炎】の原因・症状・治療を専門医が解説

「突然お腹が痛くなった」「下痢のあとに血便が出た」「左下腹部が強く痛む」――

このような症状がある場合、単なる胃腸炎ではなく、虚血性腸炎の可能性があります。

虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下することで、大腸の粘膜に炎症やむくみ、ただれが起こる病気です。突然の腹痛・下痢・血便で発症することが多く、特に左側の大腸、下行結腸からS状結腸に起こりやすいとされています【1】【5】。

多くは安静、食事制限、点滴、内服治療などで改善しますが、血便の原因には大腸がん、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎、大腸憩室出血などもあるため、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。

この記事では、虚血性腸炎の原因・症状・検査・治療・受診の目安について、消化器内科専門医がわかりやすく解説します。

急な腹痛や下痢・血便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下して炎症が起こる病気です。

✅ 突然の腹痛・下痢・血便が典型的な症状で、左下腹部の痛みを伴うことがあります。

✅ 便秘、高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化などが関係することがあります。

✅ 多くは外来治療で改善しますが、強い腹痛・大量の血便・発熱・嘔吐がある場合は早めの受診が必要です。

✅ 血便の原因には大腸がんや潰瘍性大腸炎などもあるため、症状が落ち着いた後に大腸カメラで確認することも大切です。

突然の腹痛・下痢・血便でお困りの方へ

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹痛・下痢・血便に対して、診察、血液検査、腹部エコー、必要に応じた大腸カメラを組み合わせて原因を確認しています。

同様の症状でお困りの方は、早めにご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

 

虚血性腸炎とは

「虚血性腸炎」とは、大腸に栄養や酸素を供給するための血管が一時的に詰まってしまうことで、大腸に炎症(粘膜のただれ・潰瘍など)が起こる病気です。

突然起こる腹痛・下痢・血便が特徴的で左側の下行結腸やS状結腸が好発部位といわれています。

 

原因は?

虚血性腸炎は、ひとつの原因だけで起こるというよりも、血管側の要因大腸側の要因が重なって起こることがあります。

血管側の要因

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 動脈硬化
  • 心疾患
  • 不整脈
  • 脱水
  • 血圧低下

これらがあると、大腸に流れる血液が一時的に不足しやすくなります。

大腸側の要因

  • 便秘
  • 強くいきむ習慣
  • 腸管内圧の上昇
  • 浣腸や下剤の使用
  • 大腸内視鏡検査後

便秘などで大腸の内圧が高くなると、大腸の壁に流れる血液が不足しやすくなります。便秘のある方では、虚血性腸炎の発症リスクが高くなるという報告もあります【2】。

 

症状は?

典型的な症状は次の3つです。

・腹痛

・下痢

・血便 

の3つが特徴的です。

特に突然発症し、左の側腹部~下腹部にかけての強い痛みを感じることが多いです。 

また極々稀ではありますが、ひどくなると、腸閉塞を来し腹部の膨満感や嘔吐を起こしたり、腸管壊死を起こしショック状態になることもあります。

血便がある方は、こちらも参考にしてください

血便の原因や検査について詳しく知りたい方は、 血便外来 のページもあわせてご覧ください。

虚血性腸炎と似た症状を起こす病気との違い

突然の腹痛・下痢・血便がある場合、虚血性腸炎だけでなく、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、大腸憩室出血、大腸がんなども考える必要があります。

症状だけで完全に区別することは難しいため、診察・血液検査・腹部エコー・必要に応じた大腸カメラで総合的に判断します。

病気 症状の特徴 確認したいポイント
虚血性腸炎 突然の腹痛、下痢、血便。左下腹部痛が多い。 便秘、動脈硬化、高血圧、糖尿病、発症の急さ
感染性腸炎 腹痛、下痢、発熱、吐き気。食事や周囲の感染が関係することも。 発熱、食事歴、家族内感染、便培養
潰瘍性大腸炎 血便、粘液便、下痢が続く。慢性的に繰り返すことがある。 症状の持続期間、大腸カメラ、組織検査
大腸憩室出血 腹痛が少なく、急に多量の血便が出ることがある。 出血量、腹痛の有無、大腸カメラ・CT
大腸がん 血便、便が細い、便秘、貧血、体重減少など。無症状のこともある。 年齢、便潜血陽性、貧血、体重減少、大腸カメラ

大腸炎全体の違いや、血便・腹痛・下痢を起こす病気を詳しく知りたい方は、 大腸炎の原因・症状・検査・治療 も参考にしてください

必要な検査は?

問診

症状の発症した時の状態(虚血性腸炎の場合は突然発症のことが多いです)の確認や腹痛の部位、下痢・血便の有無など便の状態を確認

血液検査

炎症の程度や下血による貧血の確認

腹部エコー

腸管の炎症の場所や浮腫みの状態を見ます。

感染性腸炎」「炎症性腸疾患」「大腸憩室炎・憩室出血」など同様の症状を起こす病気の鑑別のため非常に有用です。

◆実際の虚血性腸炎のエコー画像◆

腹痛のある部分に一致して下行結腸の壁が広範に肥厚。

粘膜下層という部分が炎症で厚くなっており、白っぽく描出されます。(矢印に囲まれた領域)

このエコー所見と問診・診察と合わせ虚血性腸炎と診断します。

クリニックで拡大

大腸内視鏡(大腸カメラ)

粘膜の状態を直接確認することが出来ます。

ただ、急性期に行うと腹痛を伴うことが多いため、エコーで診断がつかない場合などに行います。

症状が落ち着いた後に、下血を来す他の病気や虚血を起こす基礎疾患(大腸がん・潰瘍性大腸炎)を確認するために行うことが多いです。

◆実際の虚血性腸炎の大腸内視鏡(大腸カメラ)画像◆

▶関連ページ
  • 大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます
  • エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
  • 血便外来|虚血性腸炎を含めた血便を来す病気・検査や治療について解説

 

治療は?

虚血性腸炎の治療は、症状の強さや炎症の程度によって変わります。軽症から中等症の場合は、外来で経過を見ながら治療できることも多いです。

治療の基本は、腸を休ませて炎症が落ち着くのを待つことです。

  • 自宅安静
  • 食事制限
  • 水分補給
  • 点滴
  • 整腸剤や痛み止めなどの内服
  • 必要に応じた抗菌薬

症状が強い時期は、無理に食事を取ると腹痛や下痢が悪化することがあります。そのため、症状に応じて一時的に食事を控え、水分や点滴で対応することがあります。

症状が落ち着いてきたら、スープ、ゼリー、プリン、おかゆ、素うどんなど、消化の良いものから少しずつ再開します。

軽症例では2〜3日で症状が改善してくることが多いとされていますが、症状の程度には個人差があります【4】【5】。

入院が必要になることはありますか?

多くは保存的治療で改善しますが、次のような場合は入院や専門的な治療が必要になることがあります。

  • 腹痛が非常に強い
  • 血便の量が多い
  • 発熱が続く
  • 脱水が強い
  • 腸閉塞が疑われる
  • 腸管壊死が疑われる
  • 高齢の方や心臓病・腎臓病などの基礎疾患がある方

強い腹痛や血便が続く場合は、無理に様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。

虚血性腸炎が疑われるときの受診の目安

突然の腹痛・下痢・血便がある場合は、自己判断で様子を見すぎず、消化器内科を受診することをおすすめします。

特に、血便を伴う腹痛では、虚血性腸炎以外にも大腸がん、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎、大腸憩室出血などの病気を確認する必要があります。

早めの受診をおすすめする症状
  • 突然、強い腹痛が出た
  • 下痢のあとに血便が出た
  • 左下腹部の痛みが強い
  • 冷や汗が出るほどの腹痛がある
  • 血便が何度も続く
  • 発熱を伴う
  • 吐き気・嘔吐がある
  • お腹の張りが強い
  • 高齢の方、糖尿病・高血圧・動脈硬化がある方
  • 過去にも虚血性腸炎を起こしたことがある方

症状が強い場合や血便が続く場合は、早めの診察が安心です。

 

実際の治療例|50代女性「激しい腹痛・下痢・血便」

【症状】

前日夕食後3時間ほどしてから冷や汗が出るほどの突然激しい腹痛が出現し、しばらくして水下痢が起こり始め、夜間に数回下痢を繰り返し、途中から血便を伴ったとのことで当院を初診されました。

 

【診察】

触診では左下腹部に強い圧痛を認め、症状と合わせて虚血性腸炎を疑い、鑑別診断として感染性胃腸や潰瘍性大腸炎などを考えました。

 

【検査】

腹部エコーにて下行結腸からS状結腸にかけて腸管の壁の肥厚を認め、虚血性腸炎と診断しました。

下行結腸の画像です。 水色矢印の範囲で腸管が浮腫み、粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)

 

【治療・経過】

血液検査での炎症反応は軽微な上昇のみで、血便による貧血や大腸の炎症による腸閉塞などもないため、入院は必要なく、食事制限と痛みや炎症に対しての内服薬で外来治療としました。

その後、痛みは翌日にはかなり改善し、食事制限を徐々に解除しましたが再燃なく、無事に治療完了となりました。

院長からのコメント

虚血性腸炎は痛みが激しく血便も伴うことが多いため、一見重症疾患と思ってしましますが、しっかり診察と検査を行い診断をつければ外来で経過を見ることができる疾患です。

ただし、同様の症状を伴う別の疾患もあるため、症状がある際はまず医療機関を受診し適切な診断を行い治療方針を見極めることが大切です。

また、治療完了後も実際に虚血性腸炎以外の病気がないかどうかを大腸内視鏡検査を行って確認しておくことも必要です。

 

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、虚血性腸炎に対して最短当日中に検査・診断できる体制を整えています。

お困りの方は是非ご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

※午後の時間の受診時や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

よくある質問FAQ

虚血性腸炎では必ず腹痛・下痢・血便が出ますか?

必ずすべての症状が出るわけではありませんが、虚血性腸炎では腹痛・下痢・血便が典型的な症状です。特に、突然の左下腹部痛のあとに下痢や血便が出る場合は、虚血性腸炎を考えるきっかけになります。

 

虚血性腸炎は自然に治りますか?

軽症の場合は、安静や食事制限、水分補給、内服治療などで数日以内に改善することが多いです。ただし、血便の原因には大腸がんや潰瘍性大腸炎などもあるため、自己判断で放置せず、症状がある場合は受診をおすすめします。

 

虚血性腸炎で大腸カメラは必要ですか?

急性期に強い腹痛がある場合は、まず腹部エコーなどで評価し、症状を落ち着かせることを優先することがあります。ただし、症状が落ち着いた後に、大腸がん、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープなどが隠れていないか確認するため、大腸カメラをおすすめすることがあります。

 

虚血性腸炎はどのくらいで治りますか?

軽症例では2〜3日で腹痛や下痢、血便が改善してくることが多いです。ただし、炎症の程度や年齢、基礎疾患の有無によって経過は変わります。症状が長引く場合や悪化する場合は、再診が必要です。

 

虚血性腸炎は再発しますか?

再発することがあります。便秘、動脈硬化、高血圧、糖尿病、脱水などが関係することがあるため、便通コントロールや生活習慣の見直しが再発予防につながります。繰り返す場合は、ほかの病気が隠れていないか確認することも大切です。

 

虚血性腸炎と感染性腸炎の違いは何ですか?

虚血性腸炎は大腸の血流低下が関係する病気で、突然の腹痛・下痢・血便が特徴です。感染性腸炎は細菌やウイルス感染が原因で、発熱、吐き気、食事歴、家族内感染などが手がかりになることがあります。症状だけでは区別が難しいため、診察や検査で判断します。

 

血便が少量でも受診した方がよいですか?

少量の血便でも、繰り返す場合や腹痛・下痢を伴う場合は受診をおすすめします。血便の原因は痔だけではなく、虚血性腸炎、大腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどの場合もあります。

 

腹部エコーで虚血性腸炎はわかりますか?

腹部エコーでは、腸管壁の肥厚やむくみ、炎症の範囲を確認できることがあります。問診や腹部診察とあわせることで、虚血性腸炎の診断に役立ちます。ただし、必要に応じて血液検査や大腸カメラを組み合わせて判断します。

 

虚血性腸炎で入院が必要になることはありますか?

軽症であれば外来治療で改善することも多いですが、腹痛が非常に強い、血便が多い、発熱や脱水がある、腸閉塞や腸管壊死が疑われる場合は、入院が必要になることがあります。

 

虚血性腸炎のとき、食事はいつから戻してよいですか?

腹痛や下痢、血便が強い時期は、腸を休ませるために食事制限を行うことがあります。症状が落ち着いてきたら、スープ、ゼリー、プリン、おかゆ、素うどんなど消化の良いものから少しずつ再開します。再開のタイミングは症状によって異なるため、医師の指示に従ってください。

まとめ

虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下することで起こる大腸炎です。突然の腹痛・下痢・血便で発症することが多く、特に左下腹部の痛みを伴う場合があります。

  • 虚血性腸炎は、大腸の血流低下によって起こる病気です。
  • 突然の腹痛・下痢・血便が典型的な症状です。
  • 便秘、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脱水などが関係することがあります。
  • 腹部エコーや血液検査、必要に応じた大腸カメラで診断します。
  • 多くは安静・食事療法・点滴・内服治療で改善します。
  • 血便の原因には大腸がんや潰瘍性大腸炎などもあるため、症状が落ち着いた後の確認も大切です。
  • 再発は6〜16%程度あり、便通コントロールが予防に重要 です。
突然の腹痛・血便がある方へ

「急にお腹が痛くなった」「下痢のあとに血便が出た」「血便が続いて不安」という方は、早めに消化器内科で相談することをおすすめします。

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、腹部エコーや大腸カメラを組み合わせ、血便や腹痛の原因を丁寧に確認しています。

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反復性虚血性腸炎

感染性腸炎

炎症性腸疾患

大腸憩室炎(憩室出血)

腹部エコー

大腸カメラ(大腸内視鏡)

なぜ当院の大腸内視鏡は「痛くなく」「苦しくない」の?

医師紹介:神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、

消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、

内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

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所在地

170-0002
東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通
巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

 

参考文献

1)大川清孝,青木哲哉,追矢秀人,青松和揆,他. 虚血性腸炎の誘因.臨床消化器内科,17(12): 1661- 1667, 2002.

2)Suh D C, Kahler K H, Choi I S, et al.: Patients with irritable bowel syndrome or constipation have an increased risk for ischaemic colitis. Aliment Pharmacol Ther 2007; 25 (6): 681―692

3)吉 田 豊, 棟方 昭博, 中路重 之: 虚血性大腸炎 の疫 学. 臨床消化器内1998; 3: 1109-1114

4)Washington C, Carmichael JC: Management of ischemic colitis. Clin Colon Rectal Surg 2012; 25: 228― 235

5)Brandt LJ, Feuerstadt P, Longstreth GF, et al.: American College of Gastroenterology. ACG clinical guideline: epidemiology, risk factors, patterns of presentation, diagnosis, and management of colon ischemia (CI). Am J Gastroenterol 2015; 110: 18―44.

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