3.胃カメラの方法~経鼻・経口・鎮静剤の選択について~
当院の胃カメラは患者様のご希望やのどの反射の具合などに合わせて、お一人お一人に最善の方法でお受け頂けるように工夫しています。
当院の胃カメラの方法
②鎮静剤を使った経口内視鏡(点滴で眠った状態で受ける胃カメラ)
④鎮静剤を使った経鼻内視鏡(点滴で眠った状態で受ける鼻からの胃カメラ)
⑤経鼻内視鏡を使った経口内視鏡(細いカメラを使った口からの胃カメラ)
※経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いのまとめ(メリットデメリット)など
当院では通常の胃カメラ検査もハイビジョンスコープの中で最も細いカメラ(8.9mm)を使用しており、
緊張した際や歯磨きで舌を磨いた時にオエッとならない方はこの方法でもお受け頂けると思います。
②鎮静剤を使った経口内視鏡(点滴で眠った状態で受ける胃カメラ)
オエッとなりやすい方・緊張の強い方は、鎮静剤(静脈麻酔)を使って眠った状態で楽に検査を受けて頂くことが出来ます。
当院では喉の反射の状態や体つき・年齢を加味しながら、鎮静剤の量を0.1㎎(1gの1万分の1)単位で調整しており、
必要最小限の薬の量でも無痛で、かつ副作用の頻度も少なく安全に検査を行うことができます。
「鎮静剤で眠るのが怖い、でも楽に受けたい」、そんな方には経鼻内視鏡という鼻から細いスコープで行う胃カメラがあります。
通常の胃カメラは舌の上を通過する際に反射が起きますが、経鼻内視鏡では舌を通過しないので反射が起こりにくいのが特徴です。
またスコープが細く(5.4㎜ さぬきうどんより細い位です)、咽への刺激も少ないため、非常に楽に受けて頂けます。
また、現在はオリンパス製の最新式ハイビジョン経鼻内視鏡スコープ(GIF-1200N)を導入し、
経口内視鏡と変わらないクオリティでの検査を行っております。(詳しくはこちら)
④鎮静剤を使った経鼻内視鏡(点滴で眠った状態で受ける鼻からの胃カメラ)
過去に経鼻内視鏡をやってもつらく、鎮静剤を使った経口胃カメラもつらかったという方には、鎮静剤を使って鼻からやるという方法もあります。
現状では最も楽に受けられる方法だと思います。問診の上、胃カメラに強いトラウマのある方には検討する方法です。
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⑤経鼻内視鏡を使った経口内視鏡(細いカメラを使った口からの胃カメラ)
鎮静剤は使いたくない、あるいは運転や会議などがありどうしても鎮静剤が使えない方で、なおかつ鼻からのスコープ挿入が難しい方には、
経鼻用の細いスコープを口から挿入する方法もあります。
専用のマウスピース(エンドリーダー)を使用することで、かなり反射を抑えて検査を受けて頂くことが出来ます。
このマウスピースは、従来のマウスピースと違い胃カメラが舌根へ接触するのを防ぎ、苦痛な嘔吐反射を回避できます。
またマウスピースとチューブの間に舌圧子を取り付けることにより、以前のマウスピースより快適に装着することができます。
動画:https://www.youtube.com/watch?v=fxCNW11k6eo&app=desktop
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いのまとめ(メリットデメリットなど)
経鼻内視鏡は鎮静剤なしでも反射が起こりにくいため、「楽に受けたいが、鎮静剤で眠るのが怖い方」に向いていると思います。
通常の経口内視鏡と比べて経鼻内視鏡のデメリットとしては、
- 鼻から入っていくため口から入ってすぐの上咽頭付近の観察が出来ない
- 拡大観察などの精密検査には向かない(通常の検査は問題なくできます)
などがあります。
ですから、鎮静剤で眠った状態の検査をご希望の方は口からの内視鏡(胃カメラ)がいいと思います。
メリット |
デメリット |
|
経鼻内視鏡 |
・鎮静剤を使わなくてもオエッとなりにくい |
・上咽頭が観察できない ・拡大観察ができない ・鼻腔が細い場合入らなかったり、出血したりすることがある。 |
経口内視鏡 |
・上咽頭も観察できる。 ・病変が見つかった場合に細かく精密な観察が出来る |
・オエッとなる反射が起こりやすい |
実際の検査例:30代男性 “嘔吐反射が強すぎて鎮静剤を使っても胃カメラが受けられなくて困っている”
【症状】
以前から検診のバリウム検査でポリープを指摘され胃カメラ(胃内視鏡)を受けるように言われており、何度かトライしたものの嘔吐反射が強く途中で中止となっており、一度も胃カメラをきちんと受けれない状態でした。
友人が当院で胃カメラ検査を苦痛なく受けれたとの話を聞き、何とか当院で内視鏡を受けることが出来ないかとのことで来院されました
【診察・検査】
以前の検査では、通常の経口内視鏡では口に挿入しただけで嘔吐反射が起こってしまい全く検査ができず、鎮静剤を使って経鼻内視鏡での検査も鎮静剤がほとんど効かずに反射が止まらずに検査ができなかったとのことでした。
鎮静剤にも
- 反射を抑えるもの
- 眠りを促すもの
など種類があり、組み合わせることで効果をより発揮でき、また組み合わせた上でそれぞれの量を調整することでしっかりと鎮静を効かせることが可能となるため、今回は鎮静剤を組み合わせて検査中でも量を調整できる体制を整えて経鼻内視鏡での検査を行いました。
検査開始前に鎮静の組合せ・量をしっかりと調整し、眠った状態になったことを確認して検査を開始しました。
今回は反射は全く起こらず、検査自体もスムーズに行うことが出来、無事に終了となりました。
ちなみに検査では胃にポリープは認めましたが、胃底腺ポリープと呼ばれるピロリ菌がいない方に発生する良性のポリープで、特に治療は必要ないものでした。
実際の胃の内視鏡画像です。青い丸で囲まれた隆起が胃底腺ポリープです。
胃の内視鏡検査は嘔吐反射が強い方にとっては大変苦痛な検査ではありますが、今回のように鎮静剤を適切に選択し用いることで楽に受けることが可能です。
胃痛・胃もたれなどの症状の原因検索・病気の早期発見につながる大変有用な検査ですので、反射が強く検査がうまくいかない方・検査が怖くて不安な方はお力になれますので、是非一度ご相談ください!
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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<胃カメラについて;目次>
3.胃内視鏡(胃カメラ)の方法 ~経鼻・経口・鎮静剤の選択について~
→楽に受けれる4つの工夫・見逃しをなくす4つの工夫
8.検査予約
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