当院では大腸カメラを行うにあたって、下剤やカメラの挿入法・検査システムなどに様々な工夫を行い、なるべく「楽に」そして「質の高い」検査を行っております。
楽に受けていただくために
①下剤(前処置薬)の工夫
- 前日夜の下剤の廃止
- 飲む量が少なくて済む新しい前処置薬の採用
- 液体が苦手な方には錠剤を用意
- 前処置薬の服用場所は、ご自宅・クリニック どちらでも可能
大腸カメラが大変と言われる要因の一つが前処置薬の下剤です。
検査を経験された方は、
『下剤が大変なんだよ。』
とおっしゃられたり、受けたことない方もそのようなお話を聞かれたりするかもしれません。
当院ではそのような患者さんの声を伺い、少しでも楽な環境・楽な方法で前処置を行えるよう工夫をしています。
従来の検査では、前日夜に下剤を飲む必要があり、夜中に何度もトイレに行ったり、明け方に腹痛が起こったりすることがありました。
当院ではこの前日夜に飲む下剤を廃止しております。これにより前日の腸への負担をかなり減らせます。
(※ただし便秘の方は前日に腸に負担がかからない下剤を飲んでいただくことがあります。)
また、検査当日の前処置の下剤を飲む場所については、患者さんの環境に合わせて、在宅でもクリニックに来院しての服用のどちらにも対応致します。
在宅であれば、自宅の落ち着いた環境で前処置の下剤が服用頂けます。
※こちらでご予約の方は検査2日前までに当院まで下剤を取りに来て頂きます。
遠方で移動が大変な方や下剤の服用に不安がある方は、クリニックに来ていただき医師・看護師が確認しながら下剤を服用して頂くことで、安心して前処置を行うことが出来ます。
また、従来の前処置薬は当日朝に液体の前処置薬を2Lも飲まなければならないのですが、当院では飲む量が半分-2/3程度で済む新しい前処置薬(モビプレップ)を採用しております。
また、液体が飲むのが苦手な方には錠剤の前処薬も選択頂けます。
※過去にどうしても液体でも錠剤でも前処置薬が飲めなかった方は、前処置薬を飲まずに行う「無飲前処置内視鏡」も行っております。ご希望の方は一度外来にてご相談ください。
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②鎮静剤(静脈麻酔)
- 鎮静剤(静脈麻酔)を用いて苦痛のない状態で検査
- 患者さんの希望に応じて鎮静の程度を調整。
大腸カメラを楽に受けるための方法の一つに鎮静剤(静脈麻酔)があります。
当院では痛みのない挿入法(3.軸保持短縮法)で検査を行っておりますが、腸の中に空気を入れるため“張り”や“吐き気”などを感じる方がおられ、鎮静剤を使用することでそのような症状も和らげてくれます。
鎮静の程度は、
・不安が強い方・検査が怖い方は、「ぐっすりと眠った状態」
・検査画面を見たい方は、「苦痛を取り除いて、画面を見ながらの状態」
など患者さんとご相談しながら調整します。
※鎮静剤の安全性について
鎮静剤(静脈麻酔)は量を多く使いすぎると、呼吸抑制などの副作用がありますが、当院では患者さんお一人お一人の性別・体重・年齢と緊張の強さなどに合わせての薬の量を調整し検査を行っております。
さらに、アレルギーなどの副作用に対してもすぐに対応できるように、検査中は全身状態を把握するモニターをつけております。
これにより必要最小限の薬の量でも無痛で、かつ副作用の頻度も少なく安全に検査を行うことができます。
③軸保持短縮法
・痛みのない大腸カメラの挿入法
『大腸カメラ=痛い』
というイメージを持たれている患者さんも多いと思いますし、実際にそうだった方もいらっしゃると思います。
ただ、大腸カメラは入れ方を工夫することで、痛みなく受けられるケースが大多数なのです。
そもそも大腸の粘膜には痛覚がありません。ですから大腸カメラが入るだけでは痛みを感じないのです。
だた、スコープを挿入する際に無理に押したりすると、腸管が引っぱられることで腸を支える周辺の筋肉などの神経が刺激され、痛みを感じます。
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腸管が引っ張られ痛みが発生
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そのままの形を維持して挿入すると痛みが出ない
当院の大腸カメラの挿入方法は、腸を押さずにそのままの形を維持しながら挿入する軸保持短縮法にて検査を行っています。
これにより、痛みのない検査を受けて頂けます。(鎮静剤なしでも痛みを感じずに検査できる方も多くおられます。)
難易度の高い技術になりますが、当院では基本的に全ての方に軸保持短縮法での検査を行っております。
腹部の手術歴のある方や便秘症の方、大腸憩室炎などの腸の炎症を繰り返している方で、今まで大腸カメラが苦痛だった方も是非ご相談ください。
④カメラの種類の選択
・患者さんの腸の形や病歴に合わせてカメラの種類を選ぶ
大腸カメラと一口に言っても、実は使用するカメラの種類はたくさんあります。
柔らかくて細いもの、コシがあり少し太いもの、など色々です。
当院は数種類のカメラをそろえており、患者さんの腸の状態によってカメラを選択して検査を行っております。
例えば、手術歴があり癒着などが予想される方には痛みが出にくいように柔らかくて細いカメラを用いたり、また、過去に大腸カメラを行い痛みが強く挿入が出来なかった方には胃カメラ用の細いスコープを使うこともあります。
そうすることで、腸管になるべく負担を与えることなく検査を行うことができます。
⑤炭酸ガス送気
・空気の100倍の吸収率で検査後のお腹の張りを軽減
『大腸カメラは検査後もつらい』と聞きました。
初めて検査を受ける方から、よくこのようなお話を受けます。
確かに前処置を乗り越え、検査も頑張り、ようやく終わったあとも、実は大腸カメラはまだ辛くなる要因が残っています。
それが、“空気によるお腹の張り”です。
大腸の中は普段はペタンとした状態ですが、検査中は腸の中の襞の間などまでしっかりと見るために、空気を送り膨らませた状態で隅々まで観察します。
そのため、どうしても空気によるお腹の張り感や、場合によっては吐き気が起こってしまうこともあります。
当院ではこのような検査後の張りによる苦痛を減らすため、空気の100倍吸収が早くお腹の張りが少ないと言われる炭酸ガスを用いて検査を行っております。
これにより検査後のお腹の張りが劇的に少なくなり、検査後もスムーズにご帰宅頂けます。
オリンパスの炭酸ガス装置です。
⑥リカバリールーム
検査後に鎮静剤やガスが体から抜けるまでのあいだ、ゆっくりお休み頂けるスペースを用意しております。
質の高い検査(小さな病気を見つける・見逃しをしない)のために
①次世代内視鏡システム「EVIS-X1」
いくら小さな病気を見つけようとしても、画面に映らなければ見つけられません。
当院ではオリンパス製の次世代内視鏡システム「EVIS-X1」を使用し、小さな病変や粘膜の異常までしっかりと観察を行います。
②色素散布(インジゴ・クリスタルバイオレット)
ポリープの中には通常観察ではその存在や広がりがわかりにくいものがあり、色素を散布することで範囲がよくわかります。
また、大腸ガンが疑われた際にはNBI(後述)という方法や、クリスタルバイオレットという色素を撒いてがんかどうかやその深さなどを詳細に観察することが出来ます。
③NBI
NBIという色調を変えて観察する方法があります。
この観察法により、ポリープの表面の性状を観察して切除必要な病気かどうかを見極めることが可能になります。
また、当院のNBI観察は従来の画質をさらに向上させた第2世代のNBIを用いております。通常の観察ではわかりづらく見落とされやすいタイプのポリープも見つけやすくなり、検査の精度がさらに向上しました。
④先端フード
“隠れポリープ” “びっくりがん” 毎年検査しているのに、ある時の検査で突然見つかる病気に対して、私たち内視鏡専門医は時々このような言葉を使います。
通常がんやポリープは数年かけて徐々に大きくなってくるので、毎年検査をしていればいきなり大きな病気になることはまずありません。
ただ、大腸カメラの検査はいわゆる「死角」が出来やすい検査でもあります。
ひだの裏にあるポリープは、通常観察で死角になりやすい
この死角をなくすための工夫の一つとして先端フードがあります。
当院では大腸カメラの先端にフードを装着し、襞を丁寧にめくりながら検査することで、見落としを減らし、精度の高い検査を行っております。
フードを装着し、ひだを伸ばす(めくる)ことで 死角を無くす
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⑤反転法
検査の「死角」を減らすための方法のひとつです。
フードで襞をめくったりしても「死角」になりやすい角の部分や直腸の入り口の部分を、大腸カメラを反転させて反対方向から観察します。
スコープを反転しひだ裏の死角を観察する
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⇒Next:5.ポリープ切除について
⇐Back:3.大腸カメラの実際(検査の流れ・所要時間など)
<目次>
1.大腸カメラってなに?
2.どんな人が受けるの?
3.大腸カメラの実際(検査の流れ・所要時間など)
4.当院の大腸カメラの工夫
5.ポリープ切除について
6.大腸カメラの費用
7.代表的な大腸の疾患
8.大腸カメラの検査予約
9.大腸カメラのQ&A
10. 大腸カメラの注意点
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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