実際の治療例 “ピロリ菌を除菌してから胸焼けが起こる”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
50代 男性 ピロリ菌を除菌してから胸焼けが起こる
【症状】
人間ドックの胃カメラで萎縮性胃炎とピロリ菌陽性を指摘され、かかりつけ医で薬を飲んでピロリ菌除菌を行ったところ、除菌成功してから1か月ほど経過して胸やけが起こるようになりました。
かかりつけ医に相談してみたところ、そのうち治まるだろうとのことで暴飲暴食を控えて様子を見るように言われましたが、改善なく当院にご相談に来られました。
【診察・検査】
症状からは「逆流性食道炎」が考えられ、程度を評価し治療方針を決定するためご本人と相談し、再度胃カメラを行いました。
胃カメラでは軽度の逆流性食道炎の所見を認め症状の原因と考えました。
実際の内視鏡画像です。胃と食道のつなぎ目に炎症(黄色部分)を認め、GradeAの逆流性食道炎と診断しました。
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【治療】
ピロリ菌がいると胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃のリンパ腫などのリスクとなるため、基本的には薬による除菌を行います。
もともと胃酸がしっかりと出ている環境では菌は生息しづらいのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素をもっており、これにより胃酸を中和し胃の中に住み着きます。
ですので、ピロリ菌を除菌するとウレアーゼによる胃酸の中和がなくなるため、胃の中の胃酸の濃度は濃くなります。
ただしこれはピロリ菌がいなくなることで正常な胃酸の分泌環境に戻っただけなのですが、
除菌後しばらくは胃が正常な胃酸の状態に適応しておらず、一時的な胃酸分泌過多状態になってしまい、
そこにストレスや疲れなどによる胃の動きの低下が加わると逆流性食道炎が発症します。
胃が正常な胃酸分泌に適応するのには個人差はありますが、3-12か月程度と言われており、逆流性食道炎症状が出る方はその間は投薬などを行い治療を行います。(実際は逆流性食道炎の症状が出ない場合が多いです。)
逆流性食道炎の治療は
- 胃酸分泌過多を抑える制酸剤
- 胃の動きを改善させ逆流しないようにする運動機能改善薬
- 逆流性食道炎を引き起こす生活習慣の改善
などを用いて行います。
今回も制酸剤の治療を勧めましたが、ご本人より「内科で血圧や糖尿の薬などをたくさん処方されているのでなるべく薬は飲みたくない」との希望があったため、
- 制酸剤ではなく胃酸分泌過多を適正化するサプリ(i-katsu)
- 胃の運動を改善する漢方
で治療を行うこととしました。
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【経過】
サプリと漢方を開始すると症状の程度が緩やかに改善し、2週間ほどたつと胸やけの程度・頻度ともかなり改善し、
1か月ほどすると症状はほぼなくなりました。
その後もご本人より飲んでいると胸やけしないのはもちろん胃の調子がいいので今後も継続したいとのことでその後も服用を続けています。
当院オリジナルの胃のサプリ“i-katsu”は、
- 胃酸の分泌過多を正常化する成分
- 胃の動きを改善し逆流を抑える成分
- 制酸剤の中止時に起こるリバウンド反応の抑制効果
を持っており、逆流性食道炎の方に使用し非常によい治療効果を得ています。
またi-katsuは乳酸菌と生薬で作られており、薬と違い副作用が出ることがなく長期の服用に関しても安全性が高く、症状がぶり返しやすい方・薬を飲むのに抵抗がある方・薬を飲むほどではないが症状がある方などの治療に使用しています。
※i-katsuを使った他の治療例は “i-katsuの治療例” からご覧いただけます。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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