実際の診療例 【半年続いた治らない咳の原因は、逆流性食道炎だった】
「咳がなかなか治らない」「呼吸器内科や耳鼻科では異常なしと言われたのに、まだ続いている」――
このようなお悩みで受診される方は少なくありません。
長引く咳というと、風邪、喘息、アレルギーなどを思い浮かべる方が多いですが、実は逆流性食道炎が原因になっていることがあります。
とくに、食後に悪化しやすい咳や、横になると出やすい咳、のどの違和感を伴う咳では、胃酸の逆流が関係していることがあります。
今回は、半年以上続く咳に悩み、呼吸器内科・耳鼻科でもはっきりした異常が見つからなかった30代男性が、胃カメラで逆流性食道炎が確認され、治療によって咳が改善した実例を、消化器専門医の神谷院長がわかりやすくお伝えします。
胸やけがはっきりしない方でも、咳が逆流性食道炎のサインになっていることはあります。長引く咳でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
胸やけがなくても、逆流性食道炎で咳が続くことはありますか?
はい、あります。逆流性食道炎というと胸やけの病気という印象がありますが、実際には咳、のどの違和感、声のかすれなど、食道以外の症状が前面に出ることがあります。
とくに、食後に悪化する、横になると出やすい、朝方に強い、耳鼻科や呼吸器内科で異常がないのに続く、といった場合は逆流が関係していることがあります。
このため、胸やけがないから逆流性食道炎ではない、と決めつけないことが大切です。
実際の治療例|30代 男性「咳が全然治らない」
【症状】
半年ほど前から1日のうちに何度も咳が出るという症状があり、呼吸器内科を受診したところCTでは異常なく「軽い喘息」と言われ治療を行いましたが改善なし。
耳鼻科を受診しましたがこちらも異常はなく「逆流性食道炎かもしれない」と言われ当院を受診されました。
【診察・検査】
咳は断続的に続いており特に食後に強いような気もするとのことで逆流性食道炎の可能性はあり、内視鏡検査(胃カメラ)を行うこととしました。
実際に内視鏡では中等度の逆流性食道炎があり、
胃と食道のつなぎ目が胃酸の逆流によって発赤してただれていました(矢印部分) 。
中等度~重症の逆流性食道炎の所見で、咳の原因となり得ると考えました。
胸やけがなくても逆流が原因で、のどの違和感や咳が続くことがあります。
▶詳しくは 胸やけがないのに逆流性食道炎?のど・咳が続く原因と検査もご覧ください。
【治療】
逆流性食道炎の治療は
- ①胃酸分泌過多を抑える制酸剤
- ②胃の動きを改善させ逆流しないようにする運動機能改善薬
などを用いて行います。
今回は炎症が強いためPPIという制酸剤の薬と機能改善薬を合わせて処方。
咳は薬を服用し始めて徐々に減少し、2週間ほどでほとんどでなくなりました。
【予防】
炎症自体も2週間ほどの服用で一旦は消失しますが、そもそも逆流性食道炎が起こる原因には生活習慣が大きく関わっており、
その点の改善をしないとぶり返してしまうため、今回は生活習慣の改善も行いました。
特に今回問題となる習慣は
- 食べてすぐ横になる
- カフェイン摂取
点でした。
食べてすぐ横になってしまうと、食事内容が胃の中に滞ってしまい逆流し易くなります。
またコーヒーが好きで多い日は1日で8杯ほど飲むとのことでしたが、
高カフェインは胃酸の分泌過多につながりこちらも逆流性食道炎を引き起こしやすくなってしまいます。
今回は
- 食後は2時間以上は横にならずに座位を保つこと
- コーヒーの飲む回数を減らすこと
などにも取り組んでいただきました。
その後も咳はなくご本人も改善した生活習慣の維持を続けておられることもあり、ぶり返しもなく安定した状態が続いています。
逆流性食道炎は、薬で一時的によくなっても生活習慣が残っていると再発しやすい病気です。
▶再発の原因や対策は なぜ逆流性食道炎は治らないのか?ぶり返すのか?で詳しく解説しています。
院長からのコメント
逆流性食道炎の症状としては、胸やけ・胸痛・食道のつまり感などが頻度が高いのですが、
今回のように「咳が出る」という症状も実は起こりえます。
特に以下の場合は逆流性食道炎由来の可能性もあり、
- 咳が数週間〜数か月続いている
- 食後に悪化しやすい
- 横になると出やすい、朝方に強い
- 胸やけ、げっぷ、のどの違和感を伴う
- 呼吸器内科や耳鼻科で異常なしと言われても改善しない
場合は内視鏡検査(胃カメラ)を受け状態を見てみることが大切です。
胃カメラでは、逆流性食道炎そのものだけでなく、食道裂孔ヘルニアやほかの食道疾患がないかも確認できます。
また当院では逆流性食道炎に対してオリジナルサプリi-katsuを使用した治療を行い非常によい改善率を得ています。
- 薬だけでは症状が取れない方
- 薬が副作用で飲めない方
- 薬を飲みたくない方など
はお力になれることもあるので是非ご相談ください。
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よくある質問
Q. 長引く咳の原因が、逆流性食道炎のことはありますか?
A. はい、あります。逆流性食道炎というと胸やけの病気という印象が強いですが、実際には咳、のどの違和感、声のかすれなどで気づかれることもあります。とくに、食後に悪化しやすい咳や、横になると出やすい咳では、胃酸の逆流が関係していることがあります。
Q. 胸やけがなくても、逆流性食道炎で咳だけ出ることはありますか?
A. はい、あります。逆流性食道炎では、典型的な胸やけがはっきりしないまま、咳、のどの違和感、痰がからむ感じなどだけが続くことがあります。胸やけがないからといって、逆流性食道炎ではないとは言い切れません。
Q. 食後に咳が出やすいのは、逆流性食道炎のサインですか?
A. 可能性はあります。食後は胃の内容物が増えるため、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流しやすくなります。そのため、食後に咳が悪化する場合は、逆流性食道炎や咽喉頭への逆流が関係していることがあります。
Q. 呼吸器内科や耳鼻科で異常なしと言われても、胃カメラを受けた方がよいことはありますか?
A. はい、あります。長引く咳の原因が呼吸器や耳鼻科だけでは見つからない場合、消化器の病気、とくに逆流性食道炎が関係していることがあります。食後に悪化する、横になると咳が出やすい、のどの違和感を伴う、といった場合は胃カメラが診断のきっかけになることがあります。
Q. 胃カメラではどのようなことがわかりますか?
A. 胃カメラでは、食道の炎症、びらん、発赤の有無などを確認できます。また、逆流性食道炎だけでなく、食道・胃・十二指腸にほかの病気が隠れていないかも調べることができます。咳の原因として逆流が疑われる場合には、有用な検査です。
Q. 逆流性食道炎による咳は、薬で改善しますか?
A. 改善が期待できます。逆流性食道炎の治療では、胃酸を抑える薬や、胃の動きを整える薬を使うことがあります。症状の強さや炎症の程度によって改善までの期間は異なりますが、適切な治療によって咳が軽くなることがあります。
Q. 咳を悪化させないために、生活習慣で気をつけることはありますか?
A. はい。食後すぐに横にならないこと、夜遅い食事を控えること、食べ過ぎを避けること、カフェインや脂っこい食事を摂りすぎないことなどが大切です。生活習慣の見直しは、薬とあわせて再発予防にもつながります。
Q. コーヒーをたくさん飲むと、逆流性食道炎は悪化しますか?
A. 悪化しやすくなることがあります。コーヒーなどのカフェイン飲料は、胃酸分泌や症状悪化に関係することがあり、飲む量が多い方では見直しが有効なことがあります。症状がある時期は、量や飲む時間帯を調整するのがおすすめです。
Q. 長引く咳だけなら、しばらく様子を見ても大丈夫ですか?
A. 一時的な咳であれば自然に改善することもありますが、数週間以上続く場合や、食後・夜間・朝方に繰り返す場合は一度原因を調べた方が安心です。とくに、体重減少、飲み込みづらさ、胸痛、血痰、発熱などを伴う場合は、早めの受診をおすすめします。
Q. 逆流性食道炎の咳は、治ってもぶり返すことがありますか?
A. はい、あります。薬でいったん症状が改善しても、食後すぐ横になる習慣や、刺激物・カフェインの摂りすぎなどが続いていると再発することがあります。ぶり返しを防ぐためには、症状が落ち着いた後も生活習慣を整えることが大切です。
まとめ
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長引く咳は逆流性食道炎が原因のこともある
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食後悪化する咳は要注意
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薬+生活習慣改善で再発予防が可能
巣鴨駅前胃腸内科ではWEB予約・電話予約を受け付けております。
長引く咳でお困りの方は是非ご相談ください。
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医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
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参考文献
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of GER & GERD.
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Treatment for GER & GERD.
- Chen JW, Vela MF, Peterson KA, Carlson DA. AGA Clinical Practice Update on the Diagnosis and Management of Extraesophageal Gastroesophageal Reflux Disease: Expert Review. Clin Gastroenterol Hepatol. 2023.
- Kahrilas PJ, Altman KW, Chang AB, et al. Chronic Cough Due to Gastroesophageal Reflux in Adults: CHEST Guideline and Expert Panel Report. Chest. 2016;150(6):1341-1360.
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)
