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実際の治療例 【薬で治らない過敏性腸症候群…大腸カメラで見つかった本当の原因】

[2026.05.11]

「過敏性腸症候群と言われて薬を飲んでいるのに、下痢や腹痛がなかなか良くならない」

「ストレスのせいと言われたけれど、本当にこのまま様子を見ていてよいのか不安」

このようなお悩みで受診される方は少なくありません。

過敏性腸症候群、いわゆるIBSは、腹痛や下痢、便秘などを繰り返す代表的な腸の病気です。

ただし、似たような症状を起こす病気は他にもあり、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸がん、感染性腸炎、甲状腺疾患などが隠れていることもあります【1】【2】。

今回ご紹介するのは、数年間続く下痢と腹痛に対して、他院で過敏性腸症候群と診断されて治療を受けていたものの改善せず、当院で大腸カメラを行ったところ、潰瘍性大腸炎が見つかった20代男性の症例です。

同じ「下痢」「腹痛」でも、原因が変われば治療も大きく変わります。過敏性腸症候群が治らないと感じている方は、症状だけで判断せず、必要に応じて腸の状態を確認することが大切です。

治らない下痢や腹痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 過敏性腸症候群と診断されていても、薬で改善しない場合は別の病気が隠れていることがあります。

✅ 潰瘍性大腸炎でも、下痢・腹痛・便意の切迫感など、IBSに似た症状が出ることがあります。

✅ 血便、粘液便、体重減少、貧血、夜間の下痢がある場合は、特に注意が必要です。

✅ 大腸カメラで腸の粘膜を直接確認することで、炎症性腸疾患などの見逃しを防ぎやすくなります。

✅ 原因に合った治療を行うことで、長く続いていた下痢や腹痛が改善することがあります。

 

下痢・腹痛が長く続く方へ

薬を飲んでも過敏性腸症候群の症状が改善しない場合や、血便・粘液便・体重減少などを伴う場合は、自己判断で様子を見続けず、一度消化器内科へご相談ください。

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、下痢・腹痛などの胃腸症状の診察から、必要に応じた大腸内視鏡検査まで対応しています。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

 

過敏性腸症候群が治らない時に考える主な原因

過敏性腸症候群は、腸に明らかな炎症や腫瘍がないにもかかわらず、腹痛や便通異常を繰り返す病気です。ストレス、腸の動きの乱れ、腸の知覚過敏、腸内細菌の変化などが関係すると考えられています【1】。

一方で、「症状がIBSに似ている」だけで、実際には別の病気が隠れていることもあります。特に治療しても改善しない場合は、次のような原因を考える必要があります。

  • 潰瘍性大腸炎:大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、下痢・腹痛・血便・粘液便などを起こします。
  • クローン病:小腸や大腸など消化管に炎症を起こし、腹痛・下痢・体重減少などを起こすことがあります。
  • 感染性腸炎:細菌やウイルスによる腸炎で、下痢や腹痛が続くことがあります。
  • 薬剤性下痢:抗生剤、胃薬、下剤、サプリメントなどが原因で下痢が続くことがあります。
  • 甲状腺疾患:甲状腺機能亢進症などで腸の動きが活発になり、下痢が続くことがあります。
  • 大腸ポリープ・大腸がん:便通異常、血便、便が細い、残便感などをきっかけに見つかることがあります。

▶下痢や腹痛が長引く場合は、下痢外来過敏性腸症候群のページもあわせてご参照ください。

 

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。下痢、血便、腹痛、粘液便、便意切迫感などを起こすことがあり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります【2】。

原因は一つではなく、免疫反応、遺伝的な要因、腸内細菌、環境因子などが関係していると考えられています【2】。

潰瘍性大腸炎は、症状だけでは過敏性腸症候群と区別しにくい場合があります。そのため、症状が長引く場合や、通常の治療で改善しない場合には、大腸カメラで粘膜の炎症の有無を確認することが診断に役立ちます。

 

過敏性腸症候群と潰瘍性大腸炎の違い

過敏性腸症候群と潰瘍性大腸炎は、どちらも下痢や腹痛を起こすことがあります。しかし、病気の仕組みや治療法は大きく異なります。

比較項目 過敏性腸症候群 潰瘍性大腸炎
主な病態 腸の動きや知覚の異常 大腸粘膜の慢性的な炎症
大腸カメラ所見 通常、明らかな炎症や潰瘍は認めません 発赤、びらん、潰瘍、出血などを認めることがあります
主な症状 腹痛、下痢、便秘、ガス、便通異常 下痢、腹痛、血便、粘液便、便意切迫感
治療 生活改善、食事療法、整腸剤、IBS治療薬など 5-ASA製剤などの抗炎症治療、必要に応じた専門治療
注意点 他の病気がないことを確認することが大切です 治療を中断すると再燃することがあり、継続的な管理が必要です

血便や粘液便がある場合、体重が減っている場合、夜間も下痢で目が覚める場合、貧血を指摘されている場合は、IBSだけで説明できないことがあります。必要に応じて炎症性腸疾患外来大腸内視鏡検査での確認が重要です。

 

実際の治療例|20代男性「過敏性腸症候群が治らない」

【症状】

数年前から一日数回の下痢腹痛があり、近医にて過敏性腸症候群と診断され投薬治療を受けていましたが、症状が改善せず不安を感じて当院を受診されました。

 

【診察】

症状はストレス時に悪化するとのことであり過敏性腸症候群の症状としても矛盾はありませんでしたが、潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性的に腸に炎症を起こす炎症性腸疾患も否定はできない症状でした。

前医では検査はせずに症状のみで過敏性腸症候群と診断されており、ご本人と相談し大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で腸の状態を確認してみることとしました。

 

【大腸カメラ】

大腸内視鏡画像です。 大腸粘膜全体に潰瘍性大腸炎と思われるびらん(黄色矢印部分)・炎症によるうっ血(青丸部分)を認めました。

生検を行い潰瘍性大腸炎と診断しました。

過敏性腸症候群では、通常、大腸カメラで明らかな炎症や潰瘍は認めません。一方、潰瘍性大腸炎では、大腸粘膜の炎症、びらん、潰瘍、出血などが確認されることがあります。

今回のように、症状だけではIBSのように見えても、大腸カメラで実際に粘膜を確認することで診断が変わることがあります。

 

【治療】

潰瘍性大腸炎と診断した後、患者さんに病気の内容を説明し、抗炎症薬である5-ASA製剤による治療を開始しました。

5-ASA製剤は、軽症から中等症の潰瘍性大腸炎の治療や、寛解維持に用いられる代表的な薬です【3】。

治療開始後、1週間ほどで下痢と腹痛はかなり改善しました。2週間ほどで腹痛は消失し、便も通常便に近い状態となりました。

症状が落ち着いた状態を「寛解」といいます。ただし、潰瘍性大腸炎は症状が落ち着いた後も再燃することがある病気です。

そのため、自己判断で薬を中止せず、寛解を維持するために継続的な治療と定期的な経過観察が大切です。

関連ページ

 ▶潰瘍性大腸炎|疾患の詳しい説明や治療法などがご確認いただけます

 

受診の目安

次のような症状がある場合は、過敏性腸症候群と決めつけず、消化器内科で相談することをおすすめします。

  • 過敏性腸症候群の薬を飲んでも下痢や腹痛が改善しない
  • 下痢が数週間以上続いている
  • 血便がある
  • 粘液便が出る
  • 夜間に下痢で目が覚める
  • 体重が減ってきた
  • 貧血を指摘された
  • 発熱を伴う
  • 家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる
  • 便潜血検査で陽性を指摘された

下痢・腹痛が続く方へ

「過敏性腸症候群と言われたから仕方ない」と思っていても、実際には潰瘍性大腸炎など別の病気が隠れていることがあります。症状が長く続く場合や、薬で改善しない場合は、腸の状態を一度確認することが大切です。

診察・大腸カメラの予約はこちら

院長コメント

過敏性腸症候群は非常に多い病気であり、下痢や腹痛を繰り返す方の中にはIBSに該当する方も多くいらっしゃいます。

ただし、今回の症例のように、症状だけでは過敏性腸症候群のように見えても、実際には潰瘍性大腸炎が隠れていることがあります。

特に「治療しているのに良くならない」「血便や粘液便がある」「体重が減っている」「夜間にも下痢がある」といった場合には、IBSだけで説明しきれない可能性があります。

大腸カメラに不安を感じる方も多いと思いますが、当院では鎮静剤を用いた苦痛に配慮した大腸カメラにも対応しています。長く続く下痢や腹痛でお悩みの方は、お力になれますので一人で悩まずご相談ください。

お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833

よくある質問

Q. 過敏性腸症候群が薬を飲んでも治らないことはありますか?

はい、あります。過敏性腸症候群は症状が長引くこともありますが、薬を飲んでも改善しない場合は、診断が本当に合っているかを見直すことが大切です。潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎、薬剤性下痢、甲状腺疾患、大腸がんなどが隠れていることもあります。

 

Q. 過敏性腸症候群と潰瘍性大腸炎は症状だけで見分けられますか?

症状だけで完全に見分けることは難しい場合があります。どちらも下痢や腹痛を起こすことがあります。ただし、潰瘍性大腸炎では血便、粘液便、便意切迫感、夜間の下痢、体重減少、貧血などを伴うことがあります。必要に応じて大腸カメラで確認します。

 

Q. IBSと診断された後でも大腸カメラを受けた方がよいですか?

症状が軽く、典型的なIBSで、警告症状がない場合は必ずしも全員に大腸カメラが必要とは限りません。ただし、薬で改善しない、血便がある、体重減少がある、貧血がある、便潜血陽性を指摘された、家族歴がある場合などは、大腸カメラで腸の状態を確認することをおすすめします。

 

Q. 潰瘍性大腸炎ではどのような便が出ますか?

潰瘍性大腸炎では、下痢、血便、粘液便、粘血便などがみられることがあります。炎症が強い場合は、トイレに何度も行きたくなる、便意を我慢しにくい、夜間に下痢で目が覚めるといった症状が出ることもあります。

 

Q. ストレスで悪化するなら過敏性腸症候群と考えてよいですか?

ストレスで悪化するからといって、必ず過敏性腸症候群とは限りません。潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患でも、ストレスや疲労をきっかけに症状が悪化することがあります。症状の経過や検査所見を含めて判断することが大切です。

 

Q. 潰瘍性大腸炎は治りますか?

潰瘍性大腸炎は、現時点では完全に根治させる治療が難しい病気ですが、薬で炎症を抑えて症状が落ち着いた状態を維持することは可能です。症状が落ち着いた後も再燃予防のために治療を継続することが大切です。

 

Q. 潰瘍性大腸炎の治療ではどのような薬を使いますか?

軽症から中等症では、5-ASA製剤と呼ばれる抗炎症薬を使用することが多いです。病気の範囲や重症度によって、坐薬、注腸、ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを検討することもあります。治療内容は状態により異なります。

 

Q. 下痢だけで血便がなくても潰瘍性大腸炎のことはありますか?

あります。潰瘍性大腸炎では血便が典型的ですが、初期や軽症では血便が目立たず、下痢や腹痛が中心のこともあります。長引く下痢や治療しても改善しない腹痛がある場合は、必要に応じて検査を検討します。

 

Q. 大腸カメラは痛いですか?

大腸カメラに不安を感じる方は多いですが、当院では鎮静剤を使用した苦痛に配慮した大腸カメラにも対応しています。腸の形や癒着の有無などにより感じ方には個人差がありますが、できるだけ負担を少なく検査を受けていただけるよう工夫しています。

 

Q. 過敏性腸症候群が治らない場合、何科を受診すればよいですか?

下痢や腹痛が続く場合は、消化器内科の受診をおすすめします。過敏性腸症候群だけでなく、潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどの可能性も含めて診察し、必要に応じて血液検査、便検査、大腸カメラなどを行います。

まとめ

過敏性腸症候群は、下痢や腹痛を繰り返す代表的な病気ですが、症状だけで他の病気と完全に区別できるわけではありません。

  • 薬で改善しないIBSでは、診断の見直しが必要なことがあります。
  • 潰瘍性大腸炎でも、下痢や腹痛などIBSに似た症状を起こすことがあります。
  • 血便、粘液便、体重減少、夜間の下痢、貧血がある場合は注意が必要です。
  • 大腸カメラで腸の粘膜を確認することで、炎症性腸疾患の診断につながることがあります。
  • 原因に合った治療を行うことで、長く続いた症状が改善する可能性があります。
過敏性腸症候群が治らないと感じている方へ

「ストレスのせい」「IBSだから仕方ない」と思っていても、別の病気が隠れていることがあります。下痢や腹痛が長く続く場合、薬で改善しない場合は、一度腸の状態を確認しましょう。

巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、最短で当日中に大腸カメラをお受け頂ける体制を整えています。

また鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。是非ご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5940-3833

※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

当院の大腸カメラの特徴
  • 鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査

  • 高解像度スコープで小さな病変も発見

  • 土日対応、事前診察は原則不要

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医師紹介

神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長

📍経歴

国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。

胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。

2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。

「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」

そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。

アクセス

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所在地

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東京都豊島区巣鴨1丁目18-11  十一屋ビル4階

交通

巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階  

巣鴨駅前胃腸内科クリニック

お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833

文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)

参考文献

  1. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Diagnosis of Irritable Bowel Syndrome. https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/irritable-bowel-syndrome/diagnosis
  2. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Ulcerative Colitis. https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/ulcerative-colitis/symptoms-causes
  3. 日本消化器病学会. 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン 2020. https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html
  4. 日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibs.html

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