実際の治療例【3か月で5㎏体重が落ちたことから発見された膵臓がん|注意すべき体重減少とは?】
ダイエットや食事制限をしていないにもかかわらず体重が減る場合、単なる加齢や一時的な食欲低下だけでなく、消化器の病気、内分泌疾患、慢性炎症、そしてがんなどが隠れていることがあります。
特に、3か月で5kg前後の体重減少や、食欲不振、腹痛、背中の痛み、黄疸、糖尿病の急な悪化などを伴う場合には、膵臓がんを含めた消化器疾患の確認が必要です【1】【2】。
今回は、3か月で約5kg体重が減ったことをきっかけに受診され、腹部エコー検査で膵臓がんが疑われた50代男性の実際の治療例を専門医の院長が分かりやすくご紹介します。
体重減少が気になっている方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
原因不明の体重減少でお悩みの方へ
巣鴨駅前胃腸内科クリニックでは、体重減少・食欲不振・腹痛・背中の痛みなどに対して、診察、血液検査、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラなどを組み合わせて原因を確認しています。
気になる体重減少がある方は、自己判断で様子を見続けず、お早めにご相談ください。
ダイエットしていないのに痩せる主な原因
体重減少の原因はさまざまです。食事量の低下だけでなく、体の中で消耗が進んでいる場合や、食べた栄養をうまく吸収できていない場合もあります。
特に、意図しない体重減少が数か月で5%以上、または5kg前後みられる場合には、医学的に確認が必要とされることがあります【4】。
- 悪性腫瘍:膵臓がん、胃がん、大腸がん、肺がんなど
- 消化器疾患:慢性膵炎、炎症性腸疾患、吸収不良、胃潰瘍など
- 内分泌疾患:甲状腺機能亢進症、糖尿病など
- 慢性炎症・感染症:長引く炎症、感染症など
- 食欲低下・ストレス:精神的ストレス、うつ状態、生活環境の変化など
- 薬剤や全身状態:薬の副作用、加齢、嚥下機能の低下など
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体重減少だけでなく、食欲不振・背中の痛み・腹痛などを伴う場合は、消化器疾患の確認が大切です。
膵臓がんとは?
膵臓がんは、膵臓にできる悪性腫瘍です。多くは、膵液という消化液の通り道である膵管の細胞から発生します【1】。
膵臓は胃の奥深くにある臓器で、初期の段階では症状が出にくいことが特徴です。そのため、早期発見が難しく、進行してから腹痛、食欲不振、体重減少、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛み、糖尿病の発症・悪化などをきっかけに見つかることがあります【1】【2】。
また、膵臓がんによって膵管の流れが妨げられると、膵管が拡張することがあります。膵管拡張は、膵臓がんを疑う重要なサインの一つです【3】。
膵臓がんで体重が減る理由
膵臓がんで体重が減る理由には、いくつかの要因があります。
- 食欲が落ちて、食事量が減る
- 膵液の流れが悪くなり、消化吸収が低下する
- 腫瘍が周囲の臓器に影響し、食事がとりづらくなる
- がんによる全身の消耗が進む
膵臓がんにより膵液の流れが滞ると、消化吸収する力が弱くなり、栄養を取り込めなくなって体重減少につながることもわかっています【3】。
症例|50代男性「3か月で5㎏体重が落ちた」
【症状】
ご家族から「最近痩せた」と言われ、体重を測ってみたところ、3か月前と比べて約5kg体重が減っていました。
特に食事制限やダイエットをしていたわけではなく、体重は64kg前後から59kg前後まで低下していました。さらに、食欲もやや落ちている状態でした。
ご本人も「何か病気が隠れているのではないか」と心配になり、当院を受診されました。
【診察】
診察では、体重が減り始めた時期、食事量の変化、腹痛、背中の痛み、発熱、下痢、便の変化、黄疸、糖尿病の有無、内服薬、生活環境の変化などを確認しました。
特に食事制限やダイエットはしていないにも関わらず64㎏から59㎏程まで体重が減少しており、さらに食欲も低下気味とのことであり、病気による体重減少の可能性も考えられました。
状態を調べるため血液検査と腹部エコー検査を行いました。
【検査】
まず、外来で血液検査と腹部エコー検査を行いました。
血液検査では明らかな異常は認めませんでした。しかし、血液検査で異常がないからといって、膵臓がんを完全に否定できるわけではありません。
実際にこの方では、腹部エコー検査で膵臓に40mm大の腫瘍を認め、さらに腫瘍によって膵管が圧迫されていると考えられる膵管拡張を認めました。
この所見から、膵臓がんを強く疑いました。
■実際のエコーの画像
黄色矢印部分に囲まれた黒い円形部が膵臓の腫瘍となります。
また赤矢印に挟まれた黒い棒状の部分が腫瘍により圧迫され拡張した膵管になります。
腹部エコーについて詳しく知りたい方へ
【治療】
確定診断のため造影CTなどの検査が必要なため高次医療機関に紹介とし、同院にてstageⅢの膵ガンの診断となり、抗がん剤治療を行い腫瘍を縮小させた後に手術を行う方針となりました。
膵臓がんは、症状が出た時点で進行していることも少なくありません。今回のように、血液検査で明らかな異常がなくても、体重減少という症状をきっかけに腹部エコーを行うことで、重要な異常が見つかることがあります。
膵臓がんの実際の診断例についてはこちらもご確認ください。
▶実際の診断例 “背中の痛みを契機に発見された膵臓がん”体重減少で受診すべき目安
次のような体重減少や症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
- ダイエットしていないのに体重が減っている
- 3か月で5kg前後の体重減少がある
- 数か月で体重の5%以上が減っている
- 食欲不振が続いている
- 腹痛やみぞおちの違和感がある
- 背中の痛みが続いている
- 皮膚や白目が黄色い、尿の色が濃い
- 下痢、便秘、便の変化が続いている
- 糖尿病が急に悪化した、または急に糖尿病を指摘された
- 家族に膵臓がん、胃がん、大腸がんなどの方がいる
院長コメント
ダイエットや運動をしていないにもかかわらず体重が減る場合、体の中で何らかの異常が起きているサインのことがあります。
今回の方は、血液検査では明らかな異常を認めませんでした。しかし、症状の経過から病気による体重減少を疑い、腹部エコーを行ったことで膵臓の腫瘍と膵管拡張を確認することができました。
膵臓はお腹の奥にあるため、検査で見えにくいこともあります。その一方で、腹部エコーは外来で比較的すぐに行いやすく、膵臓・肝臓・胆のう・腎臓などを確認できる有用な検査です。
体重減少は、「年齢のせい」「食欲が少し落ちただけ」と思って様子を見てしまう方も少なくありません。しかし、今回のように重大な病気が隠れていることもあります。
短期間で体重が減っている方、食欲低下や背中の痛みを伴う方は、早めにご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
よくある質問
Q. ダイエットしていないのに痩せるのは危険ですか?
A. はい。特に短期間で体重が大きく減っている場合は、消化器疾患、内分泌疾患、慢性炎症、がんなどが隠れていることがあります。体重減少が続く場合は、早めに医療機関で原因を確認することが大切です。
Q. どのくらい体重が減ったら受診した方がいいですか?
A. 目安として、数か月で体重の5%以上、または5kg前後の体重減少がある場合は注意が必要です。特に食欲不振、腹痛、背中の痛み、下痢、黄疸などを伴う場合は、早めの受診をおすすめします。
Q. 血液検査で異常がなければ膵臓がんは否定できますか?
A. 血液検査だけで膵臓がんを完全に否定することはできません。腫瘍マーカーが正常でもがんが見つかることがあります。症状や経過によっては、腹部エコー、CT、MRI、超音波内視鏡などの画像検査が必要になることがあります。
Q. 膵臓がんではどのような症状が出ますか?
A. 膵臓がんは初期には症状が出にくいことがあります。進行すると、体重減少、食欲不振、腹痛、背中の痛み、腹部膨満感、黄疸、糖尿病の発症や悪化などがみられることがあります。ただし、これらの症状は膵臓がん以外でも起こります。
Q. 腹部エコーで膵臓がんは見つかりますか?
A. 腹部エコーで膵臓の腫瘍や膵管拡張が見つかることがあります。ただし、膵臓は胃腸のガスや体格の影響で見えにくいこともあります。異常が疑われる場合は、CT、MRI、超音波内視鏡などの精密検査につなげます。
Q. 体重減少だけで胃カメラや大腸カメラも必要になりますか?
A. 体重減少の原因は膵臓だけではありません。胃がん、大腸がん、胃潰瘍、炎症性腸疾患などが原因になることもあります。症状、年齢、便の変化、貧血の有無などを踏まえて、胃カメラや大腸カメラを検討します。
Q. 食欲不振と体重減少がある場合は何科を受診すべきですか?
A. 胃腸や膵臓、肝臓、胆のうなどの病気が関係することがあるため、まずは消化器内科での相談が適しています。必要に応じて、血液検査、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラなどを組み合わせて原因を調べます。
Q. 背中の痛みと体重減少がある場合、膵臓がんの可能性はありますか?
A. 背中の痛みと体重減少は、膵臓がんでみられることがある症状です。ただし、筋肉や骨の痛み、胃腸疾患、胆のう疾患、腎臓・尿管の病気などでも起こります。症状が続く場合は、腹部エコーや血液検査などで確認することが大切です。
Q. 糖尿病が急に悪化した場合も膵臓の検査が必要ですか?
A. 糖尿病の急な発症や悪化が、膵臓がん発見のきっかけになることがあります。すべてが膵臓がんというわけではありませんが、体重減少、食欲不振、腹痛、背中の痛みなどを伴う場合は、膵臓を含めた検査を検討します。
Q. 体重減少が気になる場合、巣鴨駅前胃腸内科クリニックではどのような検査ができますか?
A. 当院では、診察、血液検査、腹部エコー、胃カメラ、大腸カメラなどを症状に応じて行っています。膵臓がんなど専門的な精密検査や治療が必要と判断した場合は、高次医療機関へ速やかに紹介します。
まとめ
原因不明の体重減少は、単なる体質変化や加齢だけでなく、消化器疾患やがんなどのサインとして現れることがあります。
- ダイエットしていないのに痩せる場合は注意が必要です。
- 膵臓がんは初期症状が出にくく、体重減少や食欲不振で見つかることがあります。
- 血液検査で異常がなくても、膵臓がんを完全に否定できるわけではありません。
- 腹部エコーで膵臓腫瘍や膵管拡張が見つかることがあります。
- 体重減少に加えて、食欲不振、背中の痛み、腹痛、黄疸、糖尿病悪化がある場合は早めの受診が大切です。
関連ページ
- 体重減少に関する実際の治療例
- 膵がんに関する記事一覧
- 実際の治療例「背中が痛い(膵がん)」
- 背中の痛みで見つかった膵臓がん
- 腹部エコー検査について
- なぜ膵臓はエコー検査で観察しづらいのか?
- 胃カメラについて
- 大腸カメラについて
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや下痢といった一般的な症状から炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
アクセス
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〒170-0002
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巣鴨駅から徒歩2分、ローソン(1F)の4階巣鴨駅前胃腸内科クリニック
お電話での予約・お問い合わせ:03-5940-3833
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介 (消化器学会・内視鏡学会専門医)
参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/index.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん 全ページ:検査」
https://ganjoho.jp/public/cancer/pancreas/print.html - 東京科学大学病院 肝胆膵外科「膵がん:膵臓の病気と治療」
https://www.tmd.ac.jp/grad/msrg/pancreas/cancer01.html - MSD Manual Professional Edition「Involuntary Weight Loss」
https://www.msdmanuals.com/professional/special-subjects/nonspecific-symptoms/involuntary-weight-loss - 国立がん研究センター東病院「膵がん」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/hepatobiliary_oncology/pancreatic/index.html
