実際の治療例 “胃薬を飲んでも胃痛が治らない”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
30代 女性 胃薬を飲んでも胃痛が治らない
【症状】
2か月ほど前から食後に胃の痛みを感じるようになり、だんだん頻度が増加してきたため近くのクリニックを受診し胃薬を処方されましたが、一向に改善しないとのことで当院を受診されました。
【診察・検査】
痛みの原因を調べるため、胃内視鏡(胃カメラ)・腹部エコー・血液検査などを行いました。
血液検査や腹部エコーは問題ありませんでしたが、胃カメラでは胃の表面が炎症を起こす表層性胃炎を認めました。
関連ページ:
【治療】
表層性胃炎は、胃酸の分泌過多や胃の表面の防御機能の低下、食べ物・アルコールなどの影響により、胃の粘膜が荒れてしまってい炎症を起こしている状態です。
胃痛や胃もたれなどの症状を引き起こします。
通常は胃薬で治療を行いますが、
- 胃酸分泌過多を抑える制酸剤
- 防御機能を高める粘膜保護剤
を選択する必要があり、前医で処方されていた胃薬は胃の動きをよくする機能改善薬だったため効果が得られなかったと考えます。
一口に胃薬といってもタイプがいろいろあるため、胃の状態をきちんと把握し適切な薬を選択することが重要です。
また今回のように胃薬が効かない場合には、薬が合っていないこと以外にも、
胃ではなく他の臓器が原因(膵臓や胆のう・横行結腸・小腸などの病気でも「胃痛」として感じることがあります)
のことがあり、胃カメラや腹部エコーなどの検査を行い原因を見極めることも大切です。
関連ページ:みぞおちの痛みで受診された横行結腸憩室炎の男性
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
■関連ページ■