実際の治療例【持続する血便の原因は痔ではなく潰瘍性大腸炎だった】
「血便=痔だろう」と考えて放置していませんか?
実は、繰り返す血便の原因は痔だけでなく、大腸の炎症性疾患である潰瘍性大腸炎のこともあります。
今回は、当院を受診された20代女性の実際の治療例をもとに、診断の流れ・治療法・その後の経過をわかりやすくご紹介します。
当院ではWEB予約・電話予約を受け付けております。同様の症状でお困りの方は是非ご相談ください。
症例紹介|20代女性「血便が続く」
【症状】
8か月ほど前から時々便に赤い血が混じるような状態の血便が出現。
近くの肛門科で「痔」と診断され薬を出されて様子をみていましたが改善なく、ここ最近、血便の頻度が増え、粘液も交じってきたため不安になり当院を受診されました。
【診察】
ここ1-2か月ほどは便に血が混じる状態に加え、便自体も形が崩れていたり粘液のような便だったりと、いわゆる便通異常を伴っている状態でした。
症状からは「痔」というよりも、腸の粘膜に炎症を起こす「何らかの腸炎」による出血・便通異常を考えました。
👉 単なる痔では便通異常を伴わないことが多い点が重要です。
【検査】
食事を摂らずに来院されたので、当日すぐに腹部エコーを行い状態を確認しました。
S状結腸に炎症像を認め経過と合わせて「潰瘍性大腸炎」という病気を疑いました。
状態を説明し、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行い、直腸~S状結腸にかけて出血やびらん・小さな潰瘍などの炎症所見を認め、同部位の生検結果と合わせて「潰瘍性大腸炎」の確定診断となりました。
<実際の大腸カメラの画像>

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【潰瘍性大腸炎とは?】
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍ができて慢性的に炎症が続く病気です。
特徴としては
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繰り返す血便・下痢・粘液便
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お腹の痛みや違和感
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症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
といった症状があります。
原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫の異常や腸内環境の乱れが関わっていると考えられています。
根治が難しい病気ですが、5-ASA製剤やステロイド、注腸治療などで炎症を抑え、症状をコントロールすることができます。
炎症が続くと、大腸全摘の手術になったり、大腸がんの発生リスクが上がるため、重要なのは、再燃を防ぐために治療を続け、緩解(症状が落ち着いた状態)を維持することです。
▶より詳細な情報は「潰瘍性大腸炎」のページでご確認いただけます。
【治療・経過】
潰瘍性大腸炎は約80%の患者さんが、5-ASA製剤という内服薬で症状が落ち着くため、まず同薬の治療を開始しました。
内服開始1週間ほどで血便はなくなり、粘液のような便も2週間ほどで消失しました。
ただ、便の形は軟便傾向がつづいている状態だったため、腹部エコーで状態を評価したところ、炎症像は軽減していたものの残存しており、内服薬に加えスプレー式の注腸整剤を併用したところ、2週間ほどで便の普通便にもどりました。
その後注腸製剤は中止し、内服のみで緩解維持療法を続けています。
院長からのコメント
潰瘍性大腸炎は若い世代にも発症する病気で、初期は「痔」と見分けがつきにくいことがあります。
「繰り返す血便」や「粘液便」がある場合は、早めの大腸内視鏡検査が診断のカギとなります。
潰瘍性大腸炎は緩解状態(症状が消失した状態)になった後も、再燃を起こしやすい病気のため基本的には内服製剤などを続け緩解状態を維持していくことが大切になります。
まとめ
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血便が続く場合、痔だけでなく潰瘍性大腸炎などの腸の病気も考えられる
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便通異常や粘液便を伴う場合は特に注意
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大腸内視鏡検査で正確な診断が可能
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早期診断・早期治療で再燃予防につながる
👉血便でお困りの方は一度当院へご相談ください。
📞 お電話でのご予約:03-5940-3833
よくある質問(FAQ)
Q1. 血便があっても痔ではない可能性がありますか?
A. はい。便通異常や粘液便を伴う場合は潰瘍性大腸炎など腸の病気のことがあります【文献1】。
Q2. 潰瘍性大腸炎は完治する病気ですか?
A. 完全に治すことは難しいですが、内服治療で多くの方が症状をコントロールし、通常生活を送れます【文献2】。
Q3. 潰瘍性大腸炎の大腸カメラ検査は痛いですか?
A. 鎮静剤を使用することで、多くの方が「眠っている間に終わった」と感じられます。
Q4. 若い人でも潰瘍性大腸炎になりますか?
A. はい。発症のピークは10〜30代とされており、若い世代でも珍しくありません【文献3】。
Q5. 潰瘍性大腸炎は大腸がんのリスクになりますか?
A. 長期に炎症が続くと大腸がんのリスクが上がることが知られています。そのため、定期的な大腸内視鏡検査が推奨されます【文献4】。
Q6. 食事で気をつけることはありますか?
A. 個人差がありますが、脂っこいもの・刺激物・アルコールなどは悪化要因となることがあります。医師と相談しながらバランスの良い食事を心がけましょう。
Q7. 妊娠や出産に影響はありますか?
A. 潰瘍性大腸炎の方でも多くは妊娠・出産が可能です。ただし、病状が安定していることが望ましいため、妊娠を考える際は主治医と相談が必要です【文献5】。
Q8. 治療薬は一生飲み続けなければなりませんか?
A. 症状が落ち着いた後も再燃を防ぐため、基本的には内服治療を継続します。薬を中断すると再発リスクが高まるため注意が必要です【2】。
医師紹介
神谷雄介(かみや ゆうすけ)院長
📍経歴
国立佐賀大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、
消化器・胃腸疾患の患者さんが数多く集まる戸畑共立病院・板橋中央総合病院・平塚胃腸病院にて研鑽を積む。
胃もたれや便通異常といった一般的な症状から、炎症性腸疾患や消化器がん治療まで幅広く診療を行いながら、
内視鏡専門医として年間3000件弱の内視鏡検査、および早期がんの高度な内視鏡治療まで数千件の内視鏡治療を施行。
2016年4月に巣鴨駅前胃腸内科クリニックを開業。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや下痢などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
- 日本消化器内視鏡学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
胃や大腸の病気は、早期発見・早期治療がとても重要です。
「気になるけれど、どこに相談したらよいかわからない」「検査は怖いし、つらそうで不安」
そんな方にも安心して診察や検査を頂けるうような診療を心がけております。お気軽にご相談ください。
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関連ページ
・内痔核
参考文献
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日本消化器病学会編. 潰瘍性大腸炎診療ガイドライン 2020. 南江堂.
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Ungaro R, Mehandru S, Allen PB, Peyrin-Biroulet L, Colombel JF. Ulcerative colitis. Lancet. 2017;389(10080):1756–1770.
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Ordas I, Eckmann L, Talamini M, Baumgart DC, Sandborn WJ. Ulcerative colitis. Lancet. 2012;380(9853):1606–1619.
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Jess T, Rungoe C, Peyrin-Biroulet L. Risk of colorectal cancer in patients with ulcerative colitis: a meta-analysis of population-based cohort studies. Clin Gastroenterol Hepatol. 2012;10(6):639–645.
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Kanis SL, de Lima-Karagiannis A, de Boer NKH, van der Woude CJ. Use of Thiopurines During Conception and Pregnancy Is Not Associated With Adverse Outcomes: A Nationwide Cohort Study. Am J Gastroenterol. 2017;112(12):1859–1866.
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
