実際の治療例 “数か月で体重がかなり減った②(胃がん)”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
50代 女性 3か月で体重がかなり減った
【症状】
数か月前から食欲が落ちあまり食べれなくなり、最初は仕事が忙しくなったせいかと思い様子を見ていましたが、食欲の改善もなく、体重も3か月で5kg以上減ったとのことで当院を受診されました。
【診察】
食欲自体もないことと、体重も減少しているとのことで何らかの病気が潜んでいる可能性があり、
血液検査と胃カメラを行い状態を確認してみることとしました。
【検査】
胃カメラを行うと胃内に巨大な潰瘍性の病変認めました。
実際の胃カメラの写真です。 周囲に周堤を伴う白苔(潰瘍)を認めました(矢印部分)
生検にてがん細胞を認め、胃がんと診断しました。
実際の顕微鏡検査の写真です。高分化型の腺癌を認めました。
【治療】
胃がんが広がることにより胃の中を圧迫し伸展を妨げ食欲不振が生じ、それによって体重もどんどん減っている状態でした。
すでに進行がんの状態であり、高次医療機関での治療が必要となるためご本人と相談し、がん拠点病院にご紹介させていただきました。
同院にてstageⅢの進行胃がんの診断で、手術と術後の抗がん剤治療を行いその後は再発なくお元気にされています。
2週間以上続く食欲不振や、ダイエットなどを行っていないにも関わらず1か月に2㎏以上の体重減少が2か月以上続く際には、
今回のような胃がんも含め何らかの病気が潜んでいる可能性があるため医療機関を受診することが望ましいと考えます。
体重減少・食欲不振でお困りの方は当院にご相談ください。
お電話でのご相談・ご予約は03-5940-3833
胃がんQ&A
Q:胃がんは治りますか?
A:早期であれば治すことができます。
国立がん研究センターでの胃がん治療後の5年生存率は
Stage I | 96% |
Stage Ⅱ | 69.6% |
Stage Ⅲ | 42.3% |
Stage Ⅳ | 6.2% |
となっており4)、I期の段階で治療すればほとんどの場合は治ると言えます。
逆に進行すればするほど治癒できる可能性がどんどん減るため、定期的な胃カメラを行い早期発見することが重要となります。
Q:胃がんの予防法はありますか?
A:あります。
前述のようにピロリ菌の除菌が一番の予防となります。
その他の危険因子としては、糖尿病5)、高塩分摂取1)や喫煙2、高ビタミンA摂取、低コレステロール血症などが分かっており、これらを是正することも予防につながります。
また、野菜や果物には、カロチノイドやビタミンCなどの発がんを抑制するといわれる成分が豊富に含まれており、WHO(世界保健機関)でも「野菜・果物をほぼ確実に胃がんのリスクを軽減するもの」とされ、日本の研究でも癌のリスクを減らしたとのデータがあります6)
野菜・果物を毎日1回は食べるように心がけましょう。
文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)
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