実際の治療例 “数年前から続く食べ物がつまる感覚”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
50代 女性 食べ物がつまる
【症状】
数年前から食事が詰まるような感じを自覚しており、1年ほど前から悪化。のどから胸のあたりに食事が詰まって降りて行かない感じが強くなり、たまに嘔吐してしまうこともあり、医療機関を数軒受診し、内視鏡検査(胃カメラ)も2回ほど受けましたが異常なしとの診断でした。
ストレスによるもと言われ、薬を出されましたが、一向に改善しないとのことで当院を受診されました。
【問診】
症状が出るのは食事の時のみで、嚥下(ものを飲み込むこと)事態は問題なく、のどから下で詰まっているような状態とのことでした。
症状からは食道の通過障害などが疑われ、ご本人と相談し再度胃内視鏡(胃カメラ)を行い状態を見てみることとしました。
【検査】
胃カメラを行うと、上部~下部食道に拡張を認め、食道内に水分が貯留している状態で、胃と食道のつなぎ目に狭窄を認め、症状の原因と考えました。
内視鏡や生検でも悪性の所見はなく、食道アカラシアと診断しました。
関連ページ:胃内視鏡(胃カメラ) 食道アカラシア
【治療】【経過】
アカラシアに対しては、異常に収縮した括約筋を内視鏡で切開するという治療がありアカラシアを根本的に改善してくれます。
入院が必要となる治療のため対応可能な高次医療機関に紹介し、治療を受けて頂きました。
治療後から症状は速やかに消失し、現在もつまり感などは一切感じない状態となっておられます。
アカラシアは内視鏡で疑い、造影検査や食道の内圧測定などで確定診断をつけますが、比較的稀な疾患のため内視鏡医も遭遇する機会が少なく、今回のように複数の施設の内視鏡で気づかれずに見逃されているケースもあります。
食事の時にのみ起こるつまり感・嘔吐を伴うような場合には、専門施設での内視鏡を受けることも重要です。
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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