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実際の治療例 “1週間前から腹痛・下痢が続いている(感染性腸炎)”

[2024.11.22]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40代 男性 1週間前から腹痛・下痢が続いている

 

【症状】

1週間前に海外旅行から帰国後に腹痛と水下痢が始まり、1日様子を見たましたが改善なく、近くの内科を受診し整腸剤を処方されましたが、1週間たっても治らないとのことで当院を受診されました。

 

【診察】

触診では臍中心に腹痛があり、水下痢が1日7-8回続いている状態でした。

海外から帰国後の症状とのことで感染性腸炎疑いました。

前医では特に検査をしておらず、腹部エコーレントゲン血液検査で状態を評価してみることとしました。

 

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【検査】

腹部レントゲンでは小腸中心に異常ガスを認め、

レントゲン写真です。 黄色矢印部分が小腸ガスになります。 小腸ガスは正常時には見えることはほとんどなく、炎症や腸閉塞などで出現する異常所見です。

 

腹部エコーでは下部小腸に炎症像および血液検査にて炎症反応の上昇があり、感染性の小腸炎と診断しました。

下部小腸は炎症により浮腫み、26㎜大に拡張していました。 (オレンジ線部分)

 

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【治療】

東南アジアからの帰国後とのことであり、現地での食中毒が原因と考えました。

食中毒の場合は潜伏期間があり、食べてすぐ発症することもあれば、5-7日くらいたってから発症する場合もあります

 

今回も問診で確認すると、最初に症状がでた日の5日前に屋台で食事をしたとのことで原因の可能性が高いと考えました。

 

<治療内容>

①内服治療;整腸剤 漢方薬

下痢・腹痛といった胃腸炎症状を和らげます。

②食事指導

小腸炎の場合は腸管での栄養吸収が吸収できずに下痢を起こしてしまいます。

そのため水分摂取はOS1やポカリスエットなどの体に吸収されやすいもの、食事はおかゆなどの消化しやすいものを召し上がっていただきました。

 

【経過】

受診後2日目くらいから次第に和らぎ5日後に再診頂いた際にはほぼ改善している状態で、整腸剤を数日間継続していただく形で終診となりました。

 

胃腸炎後は過敏性腸症候群になるリスクがあることが分かっており1)発症初期段階でしっかりと診断し適切な治療を行うことが大切です

また症状が長引く場合薬が効かない場合血便を伴う場合は感染性腸炎の他に潰瘍性大腸炎大腸がんなどの病気も考えられるため、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行い実際に大腸の状態を確認することもあります。

 

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参考文献:

1)Barbara G, Grover M, Bercik P, et al. Rome Foundation working team report on post-infection irritablebowel syndrome. Gastroenterology 2019; 156: 46-58.e7 , 過敏性腸症候群ガイドライン2020:p5-6

一般社団法人日本感染症学会,公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会 腸管感染症ワーキンググループ:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015 ―腸管感染症―.感染症誌2015;90:31-65

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

 

 

■関連ページ■

感染性腸炎

なぜ下痢が起こるのか?その原因と治療法は?

潰瘍性大腸炎

大腸がん

腹部エコー

大腸内視鏡(大腸カメラ)

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