実際の治療例 “明け方に気持ち悪くなって目が覚めてしまう”
当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
40代 女性 明け方に気持ち悪くなって目が覚めてしまう
【症状】
数か月前に明け方に気持ち悪くなってしまい目が覚めるという症状が始まり、
最初は2週間に1度くらいでしたが、徐々に頻度が増え最近は週に3回ほど起こり症状を何とかしたいとのことで当院を受診されました。
【診察】
気持ち悪さはみぞおちの辺りから胸の辺りに感じるとのことで、胃や食道由来の症状を考え、胃カメラを行い状態を状態を確認することとしました。
【検査】
胃カメラでは胃と食道のつなぎ目部分に炎症を認め、胃酸の逆流によって生じる逆流性食道炎と診断しました。
実際の内視鏡画像です。胃と食道のつなぎ目に線状の炎症(黄色部分)を認め、GradeAの逆流性食道炎と診断しました。
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【治療】
逆流性食道炎とは胃酸の分泌過多や胃や食道の動きの低下により、胃酸が胃から食道に逆流し、胃と食道のつなぎ目の部分に炎症が起きている状態です。
食後に胸やけやげっぷなどの症状が出ることが多い他、
胃酸は夜間に出やすく、また座っている時に比べて寝ている時には胃酸が上がってきやすくなるため、今回のように明け方・就寝時に気持ち悪さや胸やけの症状が出ることもしばしばあります。
逆流性食道炎の治療は
- 胃酸の分泌過多を抑える制酸薬
- 胃の動きを改善し胃酸の流れをよくする機能改善薬
- 逆流性食道炎を引き起こす生活習慣の改善
を軸に行っていきます。
今回は明け方の症状が強く、夜間の胃酸の分泌過多を抑える制酸剤と胃の動きを改善し逆流を抑える漢方を眠前に飲んでいただくこととしました。
また逆流性食道炎を引き起こしやすい生活習慣として晩酌がありました。
アルコール摂取をすると食道運動機能が低下してしまい食道の内圧が下がり、逆流し易くなります。アルコールについては休肝日を作りつつ、飲むときには就寝の3時間前までにということを心がけて頂きました。
<治療内容まとめ>
- 夜間の胃酸分泌過多を抑える制酸剤
- 胃の運動を改善する漢方
- アルコール関連の生活習慣改善
【経過】
投薬開始するとその日のうちから症状はでなくなり、再診までの2週間は全く問題ない状態でした。
逆流性食道炎はぶり返しやすいため、本人からは予防治療をやっていきたいとの希望があり、制酸剤については長期服用での副作用のリスクもあるため一旦中止し、漢方は継続としました。
また引き続きアルコールについての注意点を守ることと、当院オリジナルサプリのi-katsuを飲んで頂くこととしました。
i-katsuは胃酸の分泌過多を抑えてを正常に保つ作用により逆流性食道炎の予防効果があり、また、制酸剤の服用をやめた際に一時的にリバウンド反応を起こし胃酸が分泌しやすくなり胸やけの再発を起こすことが少なからずありますが、胃酸の分泌を正常化するi-katsuを服用することで、そのリバウンドを抑えることが出来ます。
そして薬と違い乳酸菌と生薬のみで構成されたサプリのため、通常は副作用が出ることがなく長期に安全に飲んで頂けるというメリットもあります。
その後も状態は安定しておられ、1年後に行った胃カメラでの再検でも逆流性食道炎再発は認めませんでした。
このように逆流性食道炎は、
- 状態をきちんと把握して適切な投薬を行うこと
- ぶり返しやすいためきちんと予防を行っていくこと
が重要です。
症状でお悩みの方は当院へご相談ください!
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文責:巣鴨駅前胃腸内科クリニック院長 神谷雄介
(消化器学会・内視鏡学会専門医)