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実際の治療例 “区の胃がんリスク検診でひっかかった(早期胃がん)”

[2024.11.14]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40歳 男性 区の胃がんリスク検診でひっかかった

 

症状

特に自覚症状はありませんでしたが、検診で受けた胃がんリスク検診(ABC検診)C群判定とのことで来院されました。

 

診察

ABC検診は血液検査でピロリ菌と胃炎の状態を評価して胃がんのリスクを判定する検査です。

自治体の胃がん検診として行われており、A~D群までの区分して下記のように評価します。

A群 ピロリ菌感染・胃粘膜萎縮はいずれも否定的で、胃がんになる危険性が比較的低いと考えられています。
B群

ピロリ菌に感染している疑いがあります。

胃粘膜の萎縮は軽度ですが、胃潰瘍・胃がんになる危険性を否定できないので、ピロリ菌を除菌し定期的に胃カメラを受けることが望ましいです。

C群

ピロリ菌感染および萎縮性胃炎があります。

胃がんになる危険性があるので、ピロリ菌を除菌し定期的に内視鏡検査を実施することが望ましいです。

D群

高度の胃粘膜萎縮がありピロリ菌が住めない状態です。

胃がんになる危険性が相当に高いので、年1回以上の内視鏡検査を行い注意深く経過を観察する必要があります。

今回はC群の判定でしたので、胃カメラを行い状態を確認してみました。

 

胃カメラ

胃カメラを行うと、ピロリ菌による萎縮性胃炎を認めました。

また胃の一部に境界明瞭な陥凹を認め、生検を行うとがんとの結果であり、早期胃がんと診断しました

胃の粘膜が白っぽさを帯びたまだらな色調となっておりピロリ菌による萎縮性胃炎の状態です。そして前庭部とよばれる胃の出口付近に境界性のある発赤調の陥凹部分があり(矢印部分)、この部分からの生検でガンが検出され、早期胃がんと診断しました。

 

治療

幸いにも早期の胃がんでしたので内視鏡治療での根治が可能な状態でした。

入院が必要となるため、対応できる高次医療機関へ紹介し無事根治することが出来ました。

その後の胃がん予防のためピロリ菌除菌まで行い治療は一旦終了し、定期的に胃カメラで再発のチェックや胃の他の部位にがんが出来ないかを見ていく方針としました。

 

ABC検診は偽陽性も多い検査ではありますが、今回のように実際に胃がんが見つかるケースもあり、B・C・D群と判定された方は胃カメラを受けることが重要です。

またA群の方も胃がんリスクとしては非常に少なくはありますが0%ではないため、

  • 50歳以上の方は2年毎の定期胃カメラ
  • 胃痛・胃もたれ・胸焼けなどの症状がある方はそのタイミングでの胃カメラ

を行うことが望ましいと考えます。

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

 

 

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