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実際の治療例 “お腹が張って、すっきり便が出ず何度もトイレに行きたくなる”

[2024.12.17]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

40代 女性 お腹が張って、すっきり便が出ず何度もトイレに行きたくなる

【症状】

数か月前からお腹が張るすっきり便が出ず何度もトイレに行きたくなる感覚があり、会社の産業医に相談したところ過敏性腸症候群ではないかと言われ、薬を出されましたが一向に改善なく、当院を受診されました

 

【診察】

お腹が張る・便がすっきりと出ない要因として、過敏性腸症候群に代表される大腸の蠕動運動の問題の他に、腫瘍などの出来物による大腸の内腔の狭窄大腸炎、などでも生じることがあり、症状が改善しないこともあり、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行い病気があるかどうかを状態を確認することにしました。

 

【大腸内視鏡検査】

直腸を超えてすぐのS状結腸のに腫瘍を認め、生検にて大腸がんと診断しました。

※出血を伴う不整な隆起(黄色部分)を認め、進行直腸がんを疑い生検を行い、がんと診断しました

この大腸がんによって腸の管腔が狭まり、便の通り道が細くなることで一度に便がすっきりと出ない状態となっていました。

ガンによって大腸の内腔は狭窄して(矢印部分)、検査スコープは通過ができない状態でした。

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【治療・経過】

大腸ガンは早期の状態であれば内視鏡で治療が可能ですが、進行がんの状態になると手術や抗がん剤治療が必要となります。

今回は残念ながら進行がんの状態であり、高次医療機関でCTなどで大腸がんのステージを評価して治療方針を決める必要があり、対応できる医療機関に紹介となりました。

紹介先の病院では遠隔転移はなく、stageⅢ-Aの診断で手術と抗がん剤治療となりました。

 

S状結腸や直腸に出来る大腸ガンは進行すると次第に大腸の内腔を圧迫するようになり、

  • お腹が張る
  • 便がすっきりと出ない
  • 便が細くなる
  • 血便が混じる

など過敏性腸症候群同様の腹部症状便通異常を伴うことが少なからずあります

放置しておくと腸が詰まってしまい腸閉塞になったり、ガンの進行に伴い転移を来し命に関わることも出てきます。

大腸ガンによる便通異常は進行することはあっても、ガンを治療しない限りは自然治癒することはなく、たとえ過敏性腸症候群と診断を受けていても、2週間以上便通異常が続いた場合は医療機関で検査を受けることが望ましいと考えます。

 

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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