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実際の治療例 “背中が痛い(膵がん)”

[2024.11.29]

当院を受診された患者さんの実際の治療経過です。

 

50代 男性 背中が痛い

【症状】

数か月前から背中の張りを感じており、ここ数週間は痛みが出現。

糖尿病でかかりつけの内科で相談したところ、消化器内科で見てもらった方がいいと言われ、当院を受診されました。

 

【診察】

背中が痛む場合は膵臓病変由来の可能性があり、また糖尿病は膵がんの高リスク因子であり、腹部エコー血液検査で膵臓の状態をチェックしてみることとしました。

 

【検査】

腹部エコーでは膵体部に50mm大の低エコー腫瘤(点線部)を認め、また血液検査で膵酵素腫瘍マーカーの上昇を認め、膵がんを強く疑いました。

◆関連ページ:

腹部エコー

なぜ、膵臓はエコー検査で観察しづらいのか?

 

【治療】

確定診断のため造影CTなどの検査が必要なため高次医療機関に紹介とし、同院にてstageⅣの膵がんの診断となり、手術での治療が難しく抗がん剤治療を行うこととなりました。

 

膵がんの症状の一つに背部痛がありますが、症状が出た時には進行していることが多く治療が後手に回ってしまうことも少なくありません。

エコー検査や血液検査は外来でも簡便に出来る検査であり、背部痛がある場合にはなるべく早めに検査を受けること、また症状が出る前の早期の状態で発見するためには定期的に腹部エコーや血液検査を受けることが重要です。

 

特に以下の方は膵がんの高リスクであり、しっかりと定期検査を行う必要があります。

糖尿病(発症1年未満:5.4倍のリスク、2年以降:1.5倍のリスク)

膵のう胞(3倍~22.5倍のリスク)

膵がん家族歴(近親者の膵がんが2名:6.4倍のリスク、3名以上:32倍のリスク)

膵管拡張(6.4倍のリスク)

慢性膵炎(13.3~16.2倍のリスク)

 

文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

 

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